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慣性系について by ddt³さん [ddt³さんの部屋]

等価原理はとりあえず省略しました。

 ddt^3です。呼ばれて出てきました(^^)。
 プロゲラさんのもともとの話がどんなものだったかは、調べきれなかったのですが・・・。

 前にも言ったように、慣性系を論理的に基礎づける事はできません。それは、次の二つの定義が循環してるからです。

[定義-1:慣性系]
 自由粒子(質点)が等速直線運動を行う観測系を、慣性基準系と言う。

[定義-2:自由粒子]
 慣性基準系で等速直線運動を行う粒子(質点)を、自由粒子と言う。

 という訳で、慣性系を先に認めるか自由粒子を先に認めるかの、鶏と卵の後先問題になります。なのでその循環を断ち切るためには、定義-1,2で無定義用語(意味は当然分かるだろう)として使用した自由粒子を、まっさきに決めておく必要があります。多くの専門書では(ランダウでも)、自由粒子は暗黙の定義になります。

[定義-0:自由粒子]
 力を受けない粒子(質点)を、自由粒子と言う。

 もし定義-0を受け入れるならば、慣性系とは、力を受けない粒子が等速直線運動する観測系の事です。そして慣性系で粒子が等速直線運動するならば、その粒子に力は作用していないと結論できる事になります。
 よって定義-0が慣性系の、本当の物理的定義です。定義-0こそが、理論物理と現実との接点です。つまり、「力の有る無しは、経験的に判定できるはずだ」という思いがあるのです(^^;)。

 では力の有る無しは、本当に経験的に判定できるのかのでしょうか?。

 17世紀にニュートンは、今風に言えば、地球が慣性系だと仮定してニュートン力学を提出します。これは、地球に対して等速直線運動するものには、力が作用していないと仮定したのと同じです。それはニュートンなりの経験事実のまとめでしたが、観測により惑星は地球に対して等速直線運動していないので、そこには力が作用しているはずです。そこから帰納的に導かれたのが万有引力の法則です。そう仮定して提出されたニュートン力学はその後、太陽系の全ての惑星運行を説明し予想し当たります。そこから暗黙に引きだされた結論は、地球は近似的な慣性系であるだと思います。
 次に当時から地球の自転は知られていました。そこで慣性系における回転する場合の影響を調べてみると、遠心力とコリオリの力という慣性力の存在を導けます。遠心力による重力加速度の変化が観測されるのは20世紀に入ってからですが、コリオリの力はフーコーの実験や台風の左巻き/右巻きによって実証されて行きます。
 そこから暗黙に引きだされた結論は、少なくとも太陽は地球よりもより確かな近似的慣性系である、でしょう。そして慣性系は、この宇宙にたった一個あればそれで十分なのです。何故なら慣性系に対して等速直線運動する全ての観測系は慣性基準系だからです。慣性系が一個でも判明すれば、それに対する相対運動は、原理的には観測可能なはずだからです。

 という訳で、近似的慣性系は目の前に地球という形であるではないか!。それは経験的に実証されたものだ。もう少し精度が欲しいなら太陽でどうだい?。エッ、もっと?。では銀河の重心では?。
 エッ、もっと?。では、現在観測可能な宇宙全ての重心というはどうだ?。地球が慣性系であろうとなかろうと観測結果により、広域な宇宙を考えれば考えるほどその平均的な動きはスローリーになって行く。その観測とは地球との相対運動ではないのか?。それはさっき原理的には観測可能と言ったものだ。

 地球には、地球を近似的慣性系と言って良いだけの十分な経験的実証がある。広域な宇宙ほど平均的な動きが地球に対してスローリーになるなら、この宇宙には理想化された慣性系を仮定しても、良いのではないか?。従って、力の有る無しを経験的に判定するのは、恐らく可能であろう。

 ・・・これが現在の結論と思います(^^;)。

(執筆:ddt³さん)

フーコーの振り子


コリオリの力


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