お前らに質問 (近似値 1月15日) [お前らに質問]
お前らに質問 (近似値 1月15日)
YouTubeに、の近似値を求めよ、という動画があったので、お前ら、この近似値を求めるにゃ。
ただし、ネイピア数e=2.71828・・・って値を使っちゃ〜ダメだケロよ。
念のために言っておくけれど、これは常用対数じゃなく、自然対数だからね。
たとえば、
だから、中点公式
を用いると、
って感じになるわな〜。
だから、積分区間[1,2]を2分割した[1,3/2]と[3/2,1]にそれぞれ中点公式を用いると、
とかね…。
シンプソン法
を使うと…。
さらに、被積分関数1/xを
と変形し、
と無限級数にし、これを[1,2]で積分するとか(^^)。
この無限級数は1≦x≦2のとき、
だから、に収束する!!
てなわけで、
さっ、張り切って、
この計算をしてもらいましょうか。
たぶん、この計算は、として、置換積分すると、ずっと楽になるはず!!
ちなみに、4次までしか取っていないけれど、これ、5次の項をとっても、値は変わらないケロよ。
何故だろうか?
さらに、6次の項まで計算すると
となって、
とほとんど一致する。
ネムネコの指示に従うなんてまっぴらゴメンだ。
だから、オレは
とし、区分求積法を用いて
と計算する!!
なるほどね〜。
でも、これは計算が大変な割に、先に中点公式を用いて求めた近似値0.667とさして変わらない。
下の図を見ると、この方法が賢明でないことがすぐにわかる。
その反骨精神、心意気は買うけれど…。
それはそれとして、
対数が発見されて間もなく対数表が作られたらしいけれど、昔の人はどうやって対数の値を求めたんだろうね。
(参考記事) ジョン・ネイピアが20年かけた対数表について
https://is.gd/WuNPfi
第54回 一様収束する関数列の性質 [微分積分]
第54回 一様収束する関数列の性質
定理1 (連続性)
区間Iで連続な関数列がf(x)に一様収束するならば、f(x)はIで連続である。
【証明】
はf(x)に一様収束するので、任意の正数ε/3>0に対して、ある自然数が存在し、任意のx∈Iに関して、
a∈Iとすると、は点aで連続なので、任意の正数ε/3>0に対して、あるがあって、
したがって、任意のε>0に対して、にすると、
(証明終)
問1 次の関数列は各点で収束するが、一様収束でないことを示せ。
【解】
(1) 任意の自然数nに対しては[0,1]で連続だが、その極限関数
(2) 任意の自然数nに対しては[0,∞)で連続であるが、その極限関数
(解答終)
で定義される関数列は定数関数f(x)=0に各点収束し、また、f(x)=0はx≧0で連続であるが、はf(x)=0に一様収束しない。
したがって、この定理の逆は成立しない!!
問2 で定義される関数列は定数関数f(x)=0に各点収束するが、はf(x)=0に一様収束しないことを示せ。
【解】
x=0のとき、任意の自然数nに対して。
また、x>0のとき
関数の増減を調べるためにを微分すると、
となるから、はx=1/nのときに極大かつ最大。
また、
だから、
ゆえに、
よって、はx≧0でf(x)=0に一様収束でない。
(解答終)
定理2 (定積分)
有界閉区間I=[a,b]で連続な関数列がIでf(x)に一様収束するならば、
【証明】
連続な関数列が[a,b]でf(x)に一様に収束するので、定理1より、f(x)は[a,b]で連続であり、積分可能。
また、はf(x)に一様収束するので、任意の正数ε>0に対して、
したがって、
(証明終)
問3 とするとき、関数列は定数関数f(x)=0に一様収束する。このとき、が成り立つことを確かめよ。
【解】
したがって、
(解答終)
問4 関数列の極限関数をf(x)とするとき、次の関数列はが成り立つか。
【解】
(1)
また、極限関数は
だから、
よって、
(2)
また、極限関数はf(x)=0だから
(解答終)
したがって、一般に、この定理も逆が成立しないことがわかる。
問5
で定められる関数列について、次の問に答えよ。
(1) 関数列は[0,∞)で一様収束であることを示せ。
【解】
(1) x∈[0,∞)について
であるから、だから、ハサミ打ちの定理より
また、
だから、はf(x)=0に一様に収束する。
(2)
一方、
だから、
(解答終)
定理3 (微分)
区間IでC¹級な関数列がI上でf(x)に各点収束し、さらに、がI上でg(x)に一様収束するならば、
【証明】
a∈Iとし、aを固定すると、はIで連続なので、
また、はf(x)に各点収束し、はg(x)に一様収束するので、定理2より
g(x)はIで連続なので、
よって、f(x)はI上で微分可能で
(証明終)
お前らに質問(関数列の収束 1月13日)の解答例 [お前らに質問]
お前らに質問(関数列の収束 1月13日)の解答例
定義 (一様収束)
任意の正数ε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在して、任意のx∈Iと任意のn≧N(ε)に対して、
定理 (一様収束の必要十分条件)
この定理を一様収束の定義にするものもある。
ここに出るなる記号は、x∈Iにおけるの上限を表すのだけれど、「上限なんてわからない、知らない」というヒトは、とりあえず、x∈Iにおけるの最大値(のようなもの)だと思って欲しい。
【解答例】
x=0のとき、。
x>0のとき、
の増減を調べるために微分すると、
よって、x=1/nのときに、は極大かつ最大で、その最大値は
ゆえに、
x=0のとき、
x>0のとき、
したがって、極限関数f(x)は
の増減を調べるために、微分すると
よって、はのときに極大かつ最大で、最大値は
したがって、
(解答終)
(1)は、
ε=1/eとすると、どんな自然数Nを与えても、x=1/Nにとると、
としてもいい。
【解答例】
x=0のとき、だから、
x>0のとき
したがって、極限関数f(x)は
また、
なので、はx≧0でf(x)に各点収束するが、一様収束しない。
(解答終)
【別解1】
ε=1/eとすると、どんな自然数Nを与えても、x=1/Nにとると、
(別解1終)
別解1では、x=1/Nとしているけれど、x=2/Nにとってよい。
このとき、
になるので、自然数Nをどんなに大きくしても、ある一定の正の実数(この場合は1/e²)を決して下回らない点が少なくとも1つx≧0に存在することを示せれば、それだけで問題2の関数列が一様収束でないことの証明で十分なんだケロ。
【別解2】
に属するはx≧0で連続であるが、極限関数f(x)はx≧0において連続でない。よって、はx≧0において一様収束でない。
(別解2終)
定理
連続関数列がIで極限関数f(x)に一様収束するならば、f(x)はIで連続である。
この定理から、が連続で、極限関数f(x)が連続でなければ、は一様収束でないことになる。
そして、問題1の(1)は極限関数が連続なのでこの定理は使えないけれど、一様収束か否かを問う多くの問題は、この定理で片がつくのであった(^^)。
この他に、一様収束の定義にしたがって、
x>0のとき、
任意のε>0に対して
したがって、
任意のε>0に対して
とすると、
とすることもできる。
お前らに質問(関数列の収束 1月13日) [お前らに質問]
お前らに質問(関数列の収束 1月13日)
数列や関数列の収束に関する記事では、といった記号が数式中の至るところで登場するので、So-netブログの1記事10万字以内という制限にすぐに抵触し、このため、どうしても、問題数が制限されてしまう。
というわけで、
お前らには、次の問題を解いてもらおうじゃないか。
念のため、一様収束の定義!!
定義 (一様収束)
関数列と関数f(x)はIで定義されているとする。
任意の正数ε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在して、任意のx∈Iと任意のn≧N(ε)に対して、
を満たすとき、関数列は一様収束するという。
定理 (一様収束の必要十分条件)
関数列がI上で関数f(x)に一様収束する必要十分条件は
この定理を一様収束の定義にするものもある。
ここに出るなる記号は、x∈Iにおけるの上限を表すのだけれど、「上限なんてわからない」というヒトは、x∈Iにおけるの最大値だと思って欲しいにゃ。
(2)には、ちょっと読みづらいかもしれないので
だケロよ。
この問題を解くには、
x≧0で定義された関数列の極限関数f(x)をまず求め――極限関数f(x)=0です!!――、
それから、
の最大値
という極限を計算し、それが0ならば一様収束、0でなければ各点収束ということになる。
と書いても、お前らはやらない可能性が高いので、f(x)=0で、ともに非負だから、
となるので、x≧0における最大値はx≧0におけるの最大値に等しい。
ここまで丁寧に書いたのだから、問題1はちゃんとやれよな。
上限がわかるヒトは、さらに、次の問題を解くにゃ。
問題2 次の関数列は一様収束か。
のグラフまで書いているから、もう、答を教えているようなものだけれど…。
第53回 一様収束 [微分積分]
第53回 一様収束
前回の関数列の(各点)収束の復習を兼ねて、関数列の各点収束の定義を再掲する。
定義 (各点収束)
任意の正数ε>0と任意のx∈Iに対して、ある自然数N(x,ε)が存在して、n≧N(x,ε)を満たす任意の自然数nに関して、
が成り立つとき、関数f(x)を関数列の極限関数といい、関数列はIで関数f(x)に各点収束するという。
各点収束の代表例として
である。
0<x<1の場合、任意のε>0に対して、
とすれば、
x=0の場合、任意のε>0に対し、に定めれば、
x=1の場合、 任意のε>0に対し、に定めれば、
で与えられる関数列も
に各点収束するが、任意のε>0に対して、点xの値に無関係に、
と定めると、任意のx≧0の点で
が成立する。
定義 (一様収束)
任意の正数ε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在して、任意のx∈Iと任意のn≧N(ε)に対して、
これを論理記号で書くと、
であるから、がf(x)に一様に収束しないとは、これを否定するばよい。
すなわち、
したがって、
あるε>0が存在し、どのような自然数Nを与えても、
を満たす点x∈Iが存在すれば、はf(x)に一様に収束しないことになる。
【解】
任意のx>0に関して
ε=1とし、任意の自然数Nに対しx=1/N∈(0,∞)にとると、
の極限関数。
任意のε>0に対して、
よって、
にとれば、
(解答終)
もちろん、
任意のε>0に対して、
になるためには、でなければならない。
よって、任意の正数ε>0に対して、
とすれば、
としてもよい。
定理 (一様収束の必要十分条件)
【証明】
I上ではf(x)に一様に収束するので、任意のε>0に対して、ある自然数N(ε)が存在し、任意のx∈Iかつ任意のn≧N(ε)に関して、
が成立する。
任意のx∈Iに対して、
が成り立つので、
(証明終)
問2 次の関数列は各点収束するが、一様に収束しないことを示せ。
【解】
(1)
したがって、は、で極小かつ最小、で極大かつ最大。
よって、
ゆえに、
(2)
(解答終)
【別解】
(1) ε=1/2>0とすると、任意の自然数Nに対して、x=1/Nとすると
したがって、一様収束でない。
(2) ε=1>0とすると、任意の自然数Nに対して、x=Nとすると、
よって、一様収束でない。
(別解終)
問3 次の関数列が一様収束することを示せ。
【解】
よって、極限関数f(x)=0。
また、
よって、はf(x)=0に一様収束する。
(2)
よって、はx=1/nのとき極大かつ最大。
また、だから、
ゆえに、ハサミ打ちの定理より
また、
(解答終)
さて、I=[0,1)とし、はIで定義されているとすると、
となるので、はIで一様収束でない。しかし、問3の(1)より、0<a<1とするとき、任意の閉区間J=[0,a}で一様収束する。このように、Iでは一様収束でないが、Iに包まれる任意の閉区間J(J≠I)で一様収束する場合がある。
定義 (広義一様収束)
区間Iで定義された関数列がI内の任意の閉区間Jでf(x)に一様に収束するとき、はf(x)に広義に一様収束するという。
定義から、関数列がIで一様収束すれば、Iで一様収束する。しかし、この逆は成立しないので注意。
お前らに質問(数列・級数の収束 1月12日) [お前らに質問]
お前らに質問(数列・級数の収束 1月12日)
いい解答を思いつかないので、お前らに次の問題の解答(回答)を募集するにゃ。
問題1 とするとき、数列の極限値は1と1/2の間にあることを示せ。
どんな方法でもいいというのならば、
たとえば、積分を使って
であり、
だから、ハサミ打ちの定理より
そして、1/2< log 2 <1だから…。
なんで、ここで、いきなり積分が出るかわからないって?
それは、
で、
となるからだよ(下図参照)。
あるいは、
だから、は(狭義)単調減少列。
さらに、任意の自然数nに対して
となるので、1/2はの下界(「げかい」ではなく「かかい」と読むにゃ!!)。
したがって、は下に有界な(狭義)単調減少列なので収束する。
また、
だから、
ゆえに、
しか〜し、
この問題は
であることを示せだから、これじゃ〜ダメなんだケロ。
なお、ここでは、数列の極限に関する次の定理を使っている。
定理 (有界な単調数列)
上に(下に)有界な単調増加(減少)数列は収束する。
定理 (数列の大小と極限値)
ならば
いい解答を思いつかず、途方に暮れているにゃ。
そこで、お前らから、いい回答を募集ってワケ。
ちなみに、
nを自然数とするとき
が成立するらしいケロよ。
で、
をマクローリン展開すると
ちょっとインチキが入るけれど、
これを[0,1]で積分すると、
ということで、
お前らは次の問題も解くにゃ。
問題2 (数学的帰納法を用いて)次のことを示せ。
募集している問題1の回答は、初等的な微分積分の範囲程度(たとえば、このブログの微分積分入門程度)のもので、数学が得意な高校3年生が読んで理解できる範囲なものなので、この点を守るように!!
解けた奴は、この記事のコメント欄にその回答を書き、ネムネコのもとに送信するにゃ。
第52回 関数列とその収束 [微分積分]
第52回 関数列とその収束
任意の点x∈[0,1]から一つ選び、その値を固定すると
そこで、
とすると、
と表すことができる。
定義 (各点収束)
関数列と関数f(x)に対して、任意の点x∈Iを固定したときが収束し、
であるとき、関数f(x)を関数列の極限関数といい、関数列はIで各点収束するという。また、Iを関数列の収束域という。
イプシロン・デルタ論法で表わせば、
任意の正数ε>0任意のx∈Iとに対して、ある自然数N(x,ε)が存在して、n≧N(x,ε)を満たす任意の自然数nに関して、
が成り立つとき、関数f(x)を関数列の極限関数といい、関数列はIで関数f(x)に各点収束するという。
論理記号を用いるならば、
なお、ここで、N(x,ε)は、xとεの関数の意味ではなく、xとεに依存する程度の意味であることに注意。
例えば、
で定まる関数列の場合、
x=0、x=1の場合、任意のε>0に対して、任意の自然数nで、
一方、0<x<1の場合、
中辺と右辺の対数を取ると、
よって、
を満たす自然数Nを選び、それをN(x,ε)にする必要がある。
したがって、0<x<1のとき、
任意のε>0に対し、
とすれば、
問1 次の関数列は(各点)収束するか。収束するとき、極限関数を求めよ。
【解】
よって、
x=±1のとき、
x<−1、x>1のとき、1<x²だから
したがって、各点収束し。極限関数は
したがって、はx=1/nのとき、極大、かつ、最大で
また、
よって、
だからハサミ打ちの定理より
よって、関数列は各点収束し、極限関数は
である。
0<x≦1のとき、である自然数Nを選ぶと、
が成立するので、。
したがって、極限関数f(x)は
(解答終)
問の(1)、(2)の関数列に属する全ての関数は、定義域内で、連続、積分可能であり、微分可能である。
しかし、問の(1)の関数列の極限関数f(x)はx=0、x=±1で不連続で微分可能でなく、関数列の性質を引き継いでいない。
これに対し、(2)の関数列の極限関数f(x)は、定義域で、連続、積分可能であり、微分可能で、関数列の性質を受け継いでいることがわかる。
問2 とするとき、
は成立するか。
【解】
だから、
よって、
(解答終)
問3 とするとき、
は成立するか。
【解】
よって、
(解答終)
お前らに質問 (数列と級数の収束 1月10日) [お前らに質問]
お前らに質問 (級数の収束 1月10日)
これからこういった話をしたいので、お前らに簡単な問題を少し出題するにゃ。
こうした話をするために、その準備として、昨年末に、数列と無限級数のしたんだケロよ。
ネタに困って、書いたわけじゃないにゃ。
問題1 次の極限を求め、その結果をグラフで表わせ。
参考までに、
とし、nを1〜20まで変化させたときのグラフは次のようになるにゃ。
もう、答を教えているようなものだが…。
問題2 次の無限級数の和を求め、その結果をグラフで表わせ。
問題2は、ただの無限等比級数の問題だから、いくら⑨のお前らでも簡単に求められるだろう。
無限等比級数の和
ただし、0⁰=1とする。