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無限級数 [微分積分]

無限級数

 

 

数列が与えられたとき、

  

とおく。

数列が収束するとき、級数mk-001.png収束するという。

また、を級数mk-001.pngの和といい、と表す。

すなわち、

任意の正数ε>0に対し、ある自然数Nが存在し、

  sk-003.png

また、収束しないmk-001.png発散級数という。

 

 

sk-016.pngが収束するとき、mk-001.png絶対収束するという。はmk-001.png収束するが絶対収束しないとき、mk-001.png条件収束するという。

 

 

特に、が等比数列

  

であるとき、部分和

  sk-004.png

になるので、|r<1のとき

  

は収束し、それ以外では発散する。

 

無限級数の定義とコーシーの収束条件から、ただちに、次のことが言える。

 

 

定理1 (無限級数の収束に関する必要十分な条件)

級数mk-001.pngが収束するための必要条件は、任意のε>0に対し、次の自然数Nが存在することである。

  

 

 

定理2

mk-001.pngが収束するならば、である。

【証明】

mk-001.pngが収束するので、定理1より、任意のε>0に対して、ある自然数Nが存在し、

  

m=n+1とおくと、任意のε>0に対し、

  

よって、

(証明終)

 

【別証】

  

とおくと、

仮定より、は収束するので、とおくと、

  

(別証終)

 

 

定理2の系

ならばmk-001.pngは発散する

 

 

定理2の逆、つまり、「ならばは収束する」は一般に成り立たない。

たとえば、であるがは収束しない。

 

 

問1 sk-007.pngが収束しないことを示せ。

【解】

ε=1/2>0とすると、どのような自然数Nに対しても、m=2n>n≧Nにとると、

  sk-008.png

よって、は収束しない。

(解答終)

 

 

定理3

λμを実数とする。

sk-009.pngがともに収束するならば、も収束し、

  sk-015.png

【証明】

λ=μ=0のときは、明らか。

同時にλ=0μ=0でないものとする。

は収束するので、任意のε>0に対して、ある自然数Nが存在して

  sk-010.png

よって、三角不等式から、

  

(証明終)

 

 

問2 次の無限級数の和を求めよ。

sk-012.png

【解】

(1)

  

a<1だから、

よって、

  

したがって、は収束し、

  

 

(2) とおくと、

  

よって、

  

したがって、

  

よって、

  

 

(3)

  

したがって、

  

(解答終)

 

 

定理4

mk-001.pngが絶対収束すれば、mk-001.pngは収束する。

【証明】

mk-001.pngが絶対収束する、すなわち、sk-016.pngが収束するので、定理1より、任意の正数ε>0に対して、ある自然数Nが存在し、

  

よって、mk-001.pngが絶対収束すれば、sk-016.pngは収束する。

(解答終)

 

問3 mk-001.pngは収束するが、絶対収束しない(無限)級数の例を1つあげよ。

 


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数列の極限その2 [微分積分]

数列の極限その2

 

 

§2 部分列

 

φからへの狭義単調増加関数(n₁<n₂ならばφ(n₁)<φ(n₂))とする。数列sk2-001.pngが与えられたとき、数列sk2-002.pngを数列sk2-001.png部分列という。

 

定理8 (部分列の収束)

収束する数列sk2-001.pngの部分列sk2-002.pngsk2-001.pngの極限値に収束する。

すなわち、

  

【証明】

数列sk2-001.pngの極限値をαとすると、任意の正数εに対して、ある自然数Nがあって、

  

である。

φ(n)≧nなので、

  

よって、収束する数列sk2-001.pngの部分列sk2-002.pngsk2-001.pngの極限値に収束する。

(証明終)

 

定理9 (Boltano-Weiestrassの定理)

有界な数列は、収束する部分列をもつ。

【証明】

数列sk2-001.pngは有界とすると、ある実数m₁M₁が存在し、

  

である。

ここで、

  

とおくと、閉区間[m₁,c₁][c₁,M₁]を作ると、少なくともどちらか一方に無数のが存在する。

もし、[m₁,c₁]に無数のが存在すれば、

  

そうでないとき、

  

と置く。

以下、同様な操作をし、

  

とすると、を構成する。

すると、

  sk2-003.png

であるから、

  sk2-004.png

したがって、とおくと、カントールの区間縮小法(定理7)を満たしており、ある実数cが存在し、

  

各区間には無数のの項が含まれていたから、自然数を項とする狭義単調増加数列sk2-002.pngを、各自然数kに対して

  

となるように選ぶことができる。

このとき、

  

であるから、ハサミ打ちの定理より

  

(証明終)

 

 

§3 コーシー列

 

数列sk2-001.pngが任意の正数εに対して、ある自然数Nが存在し、n≧Nm≧Nを満たす任意の自然数mnに対して

  

が成り立つとき、sk2-001.pngコーシー列であるという。

 

定理10 (コーシー列の有界性)

コーシー列は有界である。

【証明】

数列はコーシー列であるとする。ε=1とすれば、ある自然数Nが存在し、

  

となる。

m=Nとすると、

  

となるから、

  

そこで、

  

とおけば、任意の自然数nに対して、

  

よって、数列sk2-001.pngは有界である。

(証明終)

 

定理11 (コーシーの収束条件)

数列が収束するための必要十分条件は、コーシー列であることである。

【証明】

数列sk2-001.pngが実数αに収束するとする。

任意の正数εに対して、ある自然数Nがあって、

  

が成り立つ。

したがって、m≧Nn≧Nならば、

  

となり、sk2-001.pngはコーシー列である。

逆に、sk2-001.pngがコーシー列であるとする。

数列sk2-001.pngは、コーシー列なので有界だからBoltzano-Weirstrassの定理より、収束する部分列sk2-002.pngをもつ。

ε>0を任意の正数とする。sk2-001.pngはコーシー列なので、ある自然数N₁が存在して、

  

が成立する。

また、ある自然数Kが存在して、

  

が成り立つ。

ここで、自然数k₀k₀≧Kかつを満たすように1つに固定し、N=N₁とおけば、

  

よって、sk2-001.pngαに収束する。

(証明終)

 

 


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数列の極限 [微分積分]

数列の極限

 

 

§1 数列の極限

 

定理0 任意の正数ε>0に対して、

  sk-050.png

ならば、a=0である。

【証明】

a>0とすると、a/2>0

εは任意の定数なので、ε=a/2>0とおくと、

  sk-051.png

となり矛盾。したがって、a=0である。

(証明終)

 

 

自然数全体の集合から実数全体の集合への写像

  sk-053.png

を(実)数列と言い、sk-052.png、あるいは、単にsk-000.pngで表す。

数列sk-000.pngにおいて、任意の正数εに対して、適当な自然数Nを選ぶと、n≧Nのすべての自然数nについて、

  

となるとき、

  sk-002.png

であらわし、数列sk-000.pngα収束するという。また、αを数列sk-000.png極限値という。

すなわち、

  

であるとき、

  sk-002.png

と表す。

 

定理1 (極限値の一意性)

数列sk-000.pngが収束するならば、その極限値は1つである。

【証明】

実数αβを数列sk-000.pngの極限値とする。

αβsk-000.pngの極限値なので、任意の正数εに対し、

  sk-003.png

となる自然数N₁N₂が存在する。

そこで、sk-044.pngとおくと、n≧Nならば、三角不等式より、

  sk-004.png

εは任意の正数なので、α−β=0、すなわち、α=βとなる。

(証明終)

 

 

定理2 (数列の極限の公式)

sk-009.pngとするとき、次のことが成り立つ。

sk-005.png

【略証】

(1) c=0のときは明らか。

c≠0のとき、sk-002.pngだから、任意の正数εに対して、ある自然数Nが存在し、

  

よって、

  sk-006.png

 

(2) sk-009.pngだから、任意のε>0に対して、ある自然数N₁N₂があって、

  sk-007.png

よって、sk-044.pngとおくと、

  sk-008.png

 

(3) 任意のε>0に対し、

  sk-010.png

とすると、ある自然数Nが存在して、

  sk-011.png

したがって、

  

 

(4) 任意のε>0に対して、

  sk-013.png

とおくと、ある自然数Nが存在して、

  sk-014.png

となる。

このとき、

  sk-015.png

よって、

  sk-016.png

したがって、

  sk-017.png

ゆえに、(3)より

  sk-018.png

 

(5) sk-002.pngだから、任意のε>0に対して、ある自然数Nが存在し、

  sk-041.png

三角不等式より、

  sk-042.png

したがって、数列sk-000.pngαに収束するとき、数列も収束し、

  sk-043.png

(証明終)

 

 

定理3 (ハサミ打ちの定理)

数列に対して、

  

が成り立ち、

  sk-019.png

とする。このとき

  sk-020.png

である。

【証明】

数列sk-000.pngαに収束するので、任意の正数εに対して、ある自然数N₁があって、

  sk-021.png

数列αに収束するので、任意の正数εに対して、ある自然数N₂があって、

  sk-022.png

sk-044.pngとおくと、n≧Nならば、

  sk-023.png

よって、

  sk-020.png

(証明終)

 

定理4 (数列の大小と極限)

数列は収束し、

  sk-047.png

が成り立つならば、

  sk-46.png

が成り立つ。

【証明】

sk-009.pngとし、α>βと仮定する。

数列αに収束するので、に対して、ある自然数N₁があって、n≧N₁ならば、

  sk-024.png

数列βに収束するので、に対して、ある自然数N₂があって、n≧N₂ならば、

  sk-025.png

したがって、sk-044.pngとおくと、n≧Nならば、

  sk-026.png

となり、矛盾する。

よって、α≦βである。

(証明終)

 

 

数列sk-000.pngのすべての元について、nによらない正の定数Mがあって、

  sk-048.png

となるとき、数列sk-000.png有界であるという。

 

定理5 (収束する数列の有界性)

収束する数列は有界である。

【証明】

数列sk-000.pngが実数αに収束するとすると、ε=1に対して、あるNが存在して、

  

である。

そこで、nによらない正の定数M

  sk-027.png

とおくと、

  

である。

また、n≧Nに関しては

  sk-028.png

よって、すべての自然数nについてが成り立つので、数列sk-000.pngは有界である。

(証明終)

 

 

sk-039.pngであるとき、数列sk-000.png単調増加数列という。

sk-040.pngであるとき、数列sk-000.png単調減少数列という。

集合が上に有界なとき、数列sk-000.pngは上に有界であるといい、集合が下に有界なとき、数列sk-000.pngは下に有界であるという。

 

定理6 (単調数列の収束)

数列sk-000.pngが単調増加かつ上に有界(単調減少かつ下に有界)ならばsk-000.pngは収束する。

【証明】

上に有界な単調増加数列の場合について証明する。

数列sk-000.pngは上に有界なので上限αをもつ(実数の連続性)。

上限の定義より、

(1) すべての自然数nについて、

(2) 任意の正数εに対して、

  

となるが存在する。

したがって、n≧Nであるすべてのnについて、

  sk-029.png

よって、上に有界な単調増加数列は収束する。

(証明終)

 

 

定理7 (カントールの区間縮小法の原理)

閉区間を満たすならば、

  sk-030.png

である。

さらに、sk-033.pngならば、共通部分

  sk-031.png

とただ1点からなり、sk-034.pngである。

【証明】

条件より、

  sk-032.png

である。

よって、数列sk-000.pngは上に有界な単調増加数列、数列は下に有界な単調減少数列となり、定理6より収束する。


sk-009.pngとおくと、より、α≦βである。

また、sk-037.pngなので、

  

である。

したがって、

  sk-035.png

である。

また、sk-033.pngより、α=β

sk-038.pngとすると、すべての自然数nに対して

  

となるので、c=α

よって、

  sk-036.png

(証明終)

 


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微分可能の新たな定義 [微分積分]

微分可能の新たな定義

 

 

ddt³さんがランダウのO記号を使った微分の定義を提示したので、ネムネコはランダウのo記号を使った微分の定義を提示するにゃ。

 

f(x)を区間Iで定義される関数とし、a∈Iとする。

ある(1つの)定数Aがあって、

  bio-001.png  

であるとき、関数f(x)は点aにおいて微分可能といい、

  bio-000.png

であらわす。また、を関数f(x)の点aにおける微分係数という。

 

【注意】

は、少なくともこの時点では、導関数の点aにおける値ではなく、(1)で定まる定数A

  bio-000.png

とおいた単なる値に過ぎない。

 

 

f(x)が点aで微分可能であるとき、

(1)式は、任意のh≠0について成り立つので、

  bio-002.png

h→0のとき、

  

したがって、

  bio-003.png

に収束する。

逆に、bio005.pngが収束するとき、bio-004.pngとおき、

  

とする。

h≠0のとき、

  bio-006.png

が成り立つ。

h→0のとき、

  

に収束するので、

  

 

というわけで、

従来の微分可能の定義

  bio-007.png

と、新しい微分可能の定義(1)はまったく同じもの、同値ということになる。

 

 

問1 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x²は、Rで微分可能であることを示せ。

【解】

a∈Rとすると、

  

2aは、hに無関係な定数で、また、o(h)=h²とおくと、

  bio-008.png

よって、f(x)Rで微分可能である。

(解答終)

 

問2 実数全体の集合Rで定義された関数f(x)=x³は、Rで微分可能であることを示せ。

【解】

a∈Rとすると、

  

3a²hに無関係な定数なのでA=3a²、さらに、

  

とおくと、

  

このとき、

  bio-009.png

よって、f(x)=x³Rで微分可能である。

(解答終)

 

ここまで読んだヒトは、おそらく、「o(h)hの関数の意味だ」と思うに違いない。

しかし、o(h)として使われている記号o(ランダウのo記号という)は、いわゆる、関数でないことに注意。

 

ランダウのo記号の定義

  

であるとき、

  

と表す。

特に、のとき、

  

と表す。

 

とすると、

  

 

 

問3 α>1のとき、

  

であることを示せ。

【解】

  

(解答終)

 

そして、問3から多項式の最高次数を表すものでもないことがわかる。

 

問4 次のことを示せ。

【解】



(解答終)

 

 

さらに、

  

であるとき、

  

と表すと、約束する。

 

 

定理 (漸近展開)

f(x)が原点を含む区間で級であるとき、

  bio-014.png

【証明】

マクローリン展開すると

  

よって、x≠0のとき、

  bio-017.png

ところで、f(x)級なので

  

よって、

  bio-016.png

(証明終)

 

 


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第51回 定積分の応用 曲線の長さ [微分積分]

第51回 定積分の応用 曲線の長さ

 

 

曲線の長さについて考える。

 

曲線弧ABは閉区間[a,b]で定義される級関数y=f(x)で与えられるとする。

まず、[a,b]の分割

  

をとり、曲線y=f(x)上の点で表す。を持つ切線をとり、この切線の長さの和を作ると

  

全ての分割に関して、分割の幅|Δ|を限りなく小さくしたとき、この和がある1つの値に収束するならば、この極限値をもって曲線弧ABの長さと定義する。

切線の長さは

  

仮定より、関数f(x)[a,b]上で微分可能なので、平均値の定理より

  

したがって、

  

よって、

  

仮定より、f'(x)[a,b]で連続なので、|Δ|→0のとき、右辺のリーマン和は

  

に収束する。

したがって、

  

 

定理 (曲線の長さ)

f(x)[a,b]級の関数とする。曲線y=f(x)a≦x≦bの部分の弧の長さL

  

である。

 

定理の系 (媒介変数表示された曲線の長さ)

関数φ(x)ψ(x)[α,β]級とする。曲線x=φ(x)y=ψ(t)α≦t≦β)の長さは

  

【略証】

    

(略証終)

 

問1 次の曲線の流さを求めよ。

【解】

(1) この曲線はy軸に関して対称

  

だから、

  

catenary.png

 

(2) x軸、y軸に関して対称

  

だから、

  

asteroid2.png

 

 

(3)

   

cyclroid.png

 

(解答終)

 

 

問2 次の極座標表示された曲線の曲線の流さをもとめよ。

  

【解】

だから、

  

になる。

  

弧の長さは、0≦θ≦πの部分の長さを2倍すればよいので、

  

casiode.png

 

(解答終)

 


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第49回 定積分の応用 面積 [微分積分]

第49回 定積分の応用 面積

 

 

関数y=f(x)が閉区間[a,b]で連続、かつ、f(x)≧0とする。このとき、曲線y=f(x)、直線x=ax=bx軸で囲まれた部分の面積Sについて考える。

[a,b]の分割を

  me-001.png

とし、小区間f(x)の最大値、最小値を、さらに、曲線y=f(x)≧0と2つの直線x軸に囲まれた部分の面積をとすると、だから、

  me--2.png

だから、

  me-003.png

また、f(x)[a,b]で連続なので積分可能だから、リーマン和の定義から、

  

したがって、

  me-005.png

である。

 

UpperSum.png

 

LowerSum.png

 

 

同様に、関数x=g(y)が閉区間[c,d]で連続、かつ、g(x)≧0とするとき、曲線x=g(y)、直線y=cy=by軸で囲まれた面積S

  me-005.png

である。

 

問1 次の曲線とx軸とで囲まれた部分の面積を求めよ。

me-006.png
 

【解】

曲線とx軸で囲まれた面積をSとする。

 

(1) y=sin xは閉区間[0,π]y≧0なので、

  me-007.png

 

(2) x軸都の交点のx座標を求めると、x=0x=1。また、[0,1]y≧0なので

  me-009.png

とおき、置換積分を適用すると、x=1−t²dx=−2tdtだから、

  

(解答終)

 

 

問2 次の問に答えよ。

(1) 楕円の囲む面積を求めよ。

(2) アステロイドの囲む面積を求めよ。

【解】

(1) 求める面積は第1象限の部分の面積の4倍。

第1象限ではy≧0だから

  

よって、求める面積S

  me-010.png

とおくと、だから、

  me-011.png

特に、a=b>0であるとき、

  

 

(2) 求めるべき面積は第1象限の部分の4倍。

asteroid.png

第1象限ではy≧0だから

  me-012.png

よって、求める面積S

  me-013.png

とおくと、

  me-014.png

から、

  me-015.png

さて、

  me-016.png

だから、

  me-017.png

(解答終)

 

 

問3 次の曲線によって囲まれた面積を求めよ(a>0)。

(1) サイクロイドme-029.pngx

(2) アステロイド

【解】

(1) 求める面積はで与えられる。だから

  

 

cyclroid.png

 

(2) 求める面積は第1象限の部分の4倍なので

asteroid2.png

また、だから、

  

(解答終)

 

なお、(2)では、

  me-020.png

を使っている。

 

 

定理 (2曲線で囲まれた部分の面積)

閉区間[a,b]において、f(x)g(x)は連続で、かつ、f(x)≧g(x)であるとき、2曲線y=f(x)y=g(x)と、2直線x=ax=bで囲まれた部分の面積S

  me-021.png

【証明】

[a,b]において、f(x)≧0g(x)≧0とする。

このとき、曲線y=f(x)と2直線x=ax=bx軸に囲まれた部分の面積は

  

曲線y=g(x)と2直線x=ax=bx軸に囲まれた部分の面積は

  

であるから、

  me-022.png

[a,b]において、f(x)≧0かつg(x)≧0でないとき、適当な定数cを加えると、[a,b]においてy=f(x)+c≧0y=g(x)+c≧0とすることができる。y=f(x)y=g(x)で囲まれた部分の面積は、y軸の正の方向に平行移動しても、その値は変わらない。

したがって、

  me-023.png

(証明終)

 

 

問4 次の面積を求めよ。

(1) 2つのy=2x²−7x+8y=−x²+5x−1で囲まれた面積

(2) 曲線y²=xと直線y=x−2とで囲まれた面積

【解】

(1) y=2x²−7x+8y=−x²+5x−1の交点のx座標は、

  

より、x=1x=3

したがって、求める面積は

  

 

menseki-graph-000.png

 

y^2=x,y=x-2.png(2) 方程式y²=xy=x−2からxを消去すると、

  

したがって、y²=xy=x−2の交点のy座標はy=−1y=2

よって、曲線x=y²と直線x=y+2とで囲まれた面積は

  me-025.png

(解答終)

 

(2)は、y²=xyについてy=±√xと解いて、

  

と面積を求めることができるが、こうすると計算が少し大変。

 

また、公式(?)

  me-027.png

を使うと、定積分を計算することなく

  

と解くこともできる。

 

 


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第47回 定積分の近似計算 その1 [微分積分]

第47回 定積分の近似計算 その1

 

 

§1 矩形公式

f(x)[a,b]で連続とするとき、定積分

  

または

  

と近似する方法を矩形法、または、矩形公式と呼ぶ。

f(x)[a,b]級であるとき、定積分を(1)、(2)で近似した誤差は、次式で与えられる。

  teke-001.png

【証明】

部分積分と、x−a≧0b−x≧0なので、定積分の第1平均値の定理より

  

したがって、

  teke-003.png

(証明終)

 

定積分の近似値を求めるとき、矩形公式がそのまま用いられることはなく、

  

とし、閉区間[a,b]と小区間に分割し、小区間に矩形公式(1)、(2)を用いた、次の複号矩形公式が用いられる。

  

特に、[a,b]n個の小区間に等分割した場合、すなわち、

  

のとき、(3)、(4)式は次のようになる。

  teke-005.png

 問 [0,1]を4等分し、(複号)矩形を用いての近似値を求めよ。

【解】

  

したがって、

  teke-007.png

LeftSum-graph-001.png 


RightSum-graph-001.png


(解答終)

 

(参考)

  

 

なお、複号矩形公式の誤差は、

  teke-008.png

とおくと、

  teke-009.png

で与えられる。

 

【証明】

  

ここで、

  

とおくと、

  

(証明終)

 

gosa-n-graph.png誤差の評価式は、[a,b]n等分とするとき、

  teke-012.png

となるので、分割数を10倍にすれば(複号)矩形公式の誤差は約1/10になる。

 

右の図は、を(複号)矩形公式を用いて(近似)計算した結果を縦軸に誤差、横軸に分割数をとり示したものである。

分割数を10倍にすると、誤差が1/10になっていることがわかる。

 

 

§2 台形公式

 

f(x)[a,b]で連続とするとき、定積分

  teke-013.png

と近似する方法を台形則、台形公式という。

 

で近似したときの誤差は次式で与えられる。

  

【証明】


に対して部分積分を用いると、

  

また、x∈[a,b]において、(b−x)(x−a)≧0なので、積分の第一平均値の定理より

  

これを代入すると、

  

(証明終)

 

閉区間[a,b]n等分し、

  teke-018.png

とおき、各区間に台形公式を適用すると、

  

となるので、

  teke-019.png

gosa-daikei-graph.pngf(x)[a,b]級であるとき、複合台形公式の誤差は

  

と置いたとき

  teke-021.png

で与えられる。

したがって、[a,b]n等分すると、

  teke-026.png

となるので、分割数nを10倍にすると、台形公式の誤差はおよそ1/10²になる。

 

右の図は、台形公式を用いて

  

を(近似)計算した結果を、横軸に分割数、縦軸に誤差をとり表したものである。

分割数を10倍にすると、誤差が約1/100になっていることがわかる。

 

 

 

また、複号台形公式と複号矩形公式の間には

  

という関係が成立する。

 

問 [0,1]を4等分し、台形公式を用いて の近似値を求めよ。

【解】

  

したがって、

  

(解答終)

 

【別解】

§1の問より、

  

だから、

  

(別解終)

 


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Γ(1/2)の値を求める [微分積分]

Γ(1/2)の値を求める

 

 

ガンマ関数

  

nが自然数のとき、ガンマ関数の値は

  

となるが、これだけでは、応用上、何かと不便なので、ガンマ関数の値

  

を求めることにする。

 

ガンマ関数の定義式(1)より、

  

x=t²とし置換積分すると、x=0にはt=0x=∞にはt=∞が対応し、また、だから、

   

となるので、これは広義積分

  

の値を求める問題に帰着することができ、

  

になる。

 

2重積分の広義積分を用いると、

  g-000.png

であるから、

  g-001.png

x=rcosθy=rsinθと置き、極座標変換すると

  

となるので、

  

したがって、

  

と求めることができる。

 

なのですが、

以下、

前回、証明したウォリスの公式を

  

を用いて、Γ(1/2)=√πを求める方法を紹介することにする。

 

 

問題 を次の順に示せ。

【解】

(1) x≧0とし、0≦t≦xとすると、は減少関数だから、

  

したがって、

  

左辺と中辺より、

  

中辺と右辺より

  

したがって、

  

 

(2) x=√ntとし、置換積分すると、dx=√ndtだから

  g-006.png

 

(3) (1)より

  

したがって、

  g-007.png

t=tanθとおくと、

  

また、

  

なので、

  

また、nが偶数のとき

  g-009.png

だから、

  

 

(4) だから、

  

また、(1)より

  

したがって、

  

t=sinθと置き、置換積分すると、dt=cosθdθだから、

  

したがって、

  

 

(5) (3)と(4)より

  

また、ウォリスの公式より

  


したがって、ハサミ打ちの定理より

  

(解答終)

 

よって、

  

 

ガンマ関数の公式

  

を用いると、

  g-015.png

したがって、一般に、

  

ただし、0!=1とする。

 

 


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ウォリスの公式 [微分積分]

ウォリスの公式

 

 

ウォリスの公式

  wallis.png

 

ウォリスの公式を証明する前に、復習を兼ねて次の問題を解くことにする。

 

問題 とするとき、次のことを示せ。

【解】

(1) とおき、置換積分すると

  

 

(2) 部分積分を適用すると、

  

(解答終)

 

問題1の(2)より、

nが偶数のとき

  

nが奇数のとき

  

となり、

  

なので、

  

あるいは、

nを正の整数のとするとき、

  

 

 

問 上の結果を利用して、次の定積分の値を求めよ。

【解】

(解答終)

 

さて、これで準備が整ったので、次に、ウォリスの公式を証明する。

 

ウォリスの公式

  wallis.png

【証明】

0≦x≦π/2nを正の整数とすると

  

だから、

  

したがって、

  

したがって、

  

が成り立つので、

  

したがって、ハサミ打ちの定理より

  

また、

  

だから、

  wallis-003.png

したがって、

  wallis-004.png

(解答終)

 

 


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第50回 極方程式で表された曲線の面積 [微分積分]

第50回 極方程式で表された曲線の面積

 

 

oogi-kinji.png定理 (極方程式で与えられた図形の囲む面積)

曲線Cが極座標を用いてr=f(θ)α≦θ≦β)と表されていて、f(θ)は連続であるとする。このとき、曲線Cと半直線θ=αθ=βで囲まれる部分の面積S

  

である。

【証明】

閉区間[α,β]の分割

  kyo-men-001.png

をとり、曲線r=f(θ)と半直線に囲まれた微小部分を扇型で近似すると

  kyo-men-002.png

仮定より、f(θ)[α,β]で連続なので、[α,β]で連続。

したがって、|Δ|→0のとき、

  kyo-men-003.png

に収束する。

よって、

  kyo-men-004.png

(証明終)

 

 

 

問題1 次の方程式で表される曲線の囲む面積を求めよ。

  

【解】

r≧0だから、a>0のとき−π/2≦θ≦π/2a<0のときπ/2≦θ≦3π/2

したがって、

a>0のとき、この曲線が囲む面積S

  kyoku-001.png

a<0のとき

  kyoku-002.png

よって、

 

enndakero.png

 

(解答終)

 

この曲線は、点(a,0)を中心とする半径|a>0の円だから面積S=πa²!!

また、この曲線は、x軸に関して対称なので、この曲線の第1象限における面積を2倍することによって面積を求めることもできる。

すなわち、a>0のとき、

  kyoku--003.png

また、a<0のときの曲線は、y軸に関してa>0のときの曲線に対称だから、その面積は等しい。


問題2 カージオイドの面積を求めよ。ただし、a>0とする。

【解】

r≧0だから、0≦θ≦2π

よって、

  

 

casiode.png

 

(解答終)

 

カージオイドはx軸に関して対称なので、対称性に注目し、

  

と計算してもよい。

 

 

問題3 a>0とするとき、次の曲線(4葉線)の囲む面積を求めよ。

  

【解】

の両辺を2乗すると、

  

曲線の対称性から、第1象限で囲まれた図形の面積を4倍すればよい。

したがって、求める面積S

  kyoku-004.png

yotsuba.png

 

 

(解答終)

 

 

問題4 a>0とするとき、次の曲線(レムニスケート)の囲む面積を求めよ。

  

【解】

lemniscate.pngを代入すると、x²+y²=r²だから、

  

r²≧0より、cos2θ≧0

よって、−π≦θ≦πとすると、

図形の対称性から第1象限で囲まれた部分の面積を4倍すればよい)。

 

(解答終)

 

 

Descart-clover.png問題5 a>0とするとき、次の曲線(デカルトの葉線)の囲む面積を求めよ。

  

【解】

を代入すると、

  kyoku-005.png 

よって、求める面積S

  kyoku-006.png

ここで、t=tanθとおくと、で、θ=0→t=0θ=π/2→t→∞に対応するので、

  

(解答終)

 

デカルトの葉線は直線y=xに対称なので、

  kyoku-007.png

ここで、t=tanθとおくと、で、θ=0→t=0θ=π/4→t=1に対応するので、

  

としたほうがいいのだろう。

 

問題5の解答では、

θ=0→t=0θ=π/2→t→∞に対応する」にすこし”やましさ”がある。

正しくは、「θ=0→t=0θ=π/2−0→t→∞に対応する」とすべきところだから。

 

y=xに関して対称なのは、x³+y³=3axyxyyxに入れ換えても同じ式になることからわかる。

 

 


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