SSブログ

数列の極限 [微分積分]

数列の極限

 

 

§1 数列の極限

 

定理0 任意の正数ε>0に対して、

  sk-050.png

ならば、a=0である。

【証明】

a>0とすると、a/2>0

εは任意の定数なので、ε=a/2>0とおくと、

  sk-051.png

となり矛盾。したがって、a=0である。

(証明終)

 

 

自然数全体の集合から実数全体の集合への写像

  sk-053.png

を(実)数列と言い、sk-052.png、あるいは、単にsk-000.pngで表す。

数列sk-000.pngにおいて、任意の正数εに対して、適当な自然数Nを選ぶと、n≧Nのすべての自然数nについて、

  

となるとき、

  sk-002.png

であらわし、数列sk-000.pngα収束するという。また、αを数列sk-000.png極限値という。

すなわち、

  

であるとき、

  sk-002.png

と表す。

 

定理1 (極限値の一意性)

数列sk-000.pngが収束するならば、その極限値は1つである。

【証明】

実数αβを数列sk-000.pngの極限値とする。

αβsk-000.pngの極限値なので、任意の正数εに対し、

  sk-003.png

となる自然数N₁N₂が存在する。

そこで、sk-044.pngとおくと、n≧Nならば、三角不等式より、

  sk-004.png

εは任意の正数なので、α−β=0、すなわち、α=βとなる。

(証明終)

 

 

定理2 (数列の極限の公式)

sk-009.pngとするとき、次のことが成り立つ。

sk-005.png

【略証】

(1) c=0のときは明らか。

c≠0のとき、sk-002.pngだから、任意の正数εに対して、ある自然数Nが存在し、

  

よって、

  sk-006.png

 

(2) sk-009.pngだから、任意のε>0に対して、ある自然数N₁N₂があって、

  sk-007.png

よって、sk-044.pngとおくと、

  sk-008.png

 

(3) 任意のε>0に対し、

  sk-010.png

とすると、ある自然数Nが存在して、

  sk-011.png

したがって、

  

 

(4) 任意のε>0に対して、

  sk-013.png

とおくと、ある自然数Nが存在して、

  sk-014.png

となる。

このとき、

  sk-015.png

よって、

  sk-016.png

したがって、

  sk-017.png

ゆえに、(3)より

  sk-018.png

 

(5) sk-002.pngだから、任意のε>0に対して、ある自然数Nが存在し、

  sk-041.png

三角不等式より、

  sk-042.png

したがって、数列sk-000.pngαに収束するとき、数列も収束し、

  sk-043.png

(証明終)

 

 

定理3 (ハサミ打ちの定理)

数列に対して、

  

が成り立ち、

  sk-019.png

とする。このとき

  sk-020.png

である。

【証明】

数列sk-000.pngαに収束するので、任意の正数εに対して、ある自然数N₁があって、

  sk-021.png

数列αに収束するので、任意の正数εに対して、ある自然数N₂があって、

  sk-022.png

sk-044.pngとおくと、n≧Nならば、

  sk-023.png

よって、

  sk-020.png

(証明終)

 

定理4 (数列の大小と極限)

数列は収束し、

  sk-047.png

が成り立つならば、

  sk-46.png

が成り立つ。

【証明】

sk-009.pngとし、α>βと仮定する。

数列αに収束するので、に対して、ある自然数N₁があって、n≧N₁ならば、

  sk-024.png

数列βに収束するので、に対して、ある自然数N₂があって、n≧N₂ならば、

  sk-025.png

したがって、sk-044.pngとおくと、n≧Nならば、

  sk-026.png

となり、矛盾する。

よって、α≦βである。

(証明終)

 

 

数列sk-000.pngのすべての元について、nによらない正の定数Mがあって、

  sk-048.png

となるとき、数列sk-000.png有界であるという。

 

定理5 (収束する数列の有界性)

収束する数列は有界である。

【証明】

数列sk-000.pngが実数αに収束するとすると、ε=1に対して、あるNが存在して、

  

である。

そこで、nによらない正の定数M

  sk-027.png

とおくと、

  

である。

また、n≧Nに関しては

  sk-028.png

よって、すべての自然数nについてが成り立つので、数列sk-000.pngは有界である。

(証明終)

 

 

sk-039.pngであるとき、数列sk-000.png単調増加数列という。

sk-040.pngであるとき、数列sk-000.png単調減少数列という。

集合が上に有界なとき、数列sk-000.pngは上に有界であるといい、集合が下に有界なとき、数列sk-000.pngは下に有界であるという。

 

定理6 (単調数列の収束)

数列sk-000.pngが単調増加かつ上に有界(単調減少かつ下に有界)ならばsk-000.pngは収束する。

【証明】

上に有界な単調増加数列の場合について証明する。

数列sk-000.pngは上に有界なので上限αをもつ(実数の連続性)。

上限の定義より、

(1) すべての自然数nについて、

(2) 任意の正数εに対して、

  

となるが存在する。

したがって、n≧Nであるすべてのnについて、

  sk-029.png

よって、上に有界な単調増加数列は収束する。

(証明終)

 

 

定理7 (カントールの区間縮小法の原理)

閉区間を満たすならば、

  sk-030.png

である。

さらに、sk-033.pngならば、共通部分

  sk-031.png

とただ1点からなり、sk-034.pngである。

【証明】

条件より、

  sk-032.png

である。

よって、数列sk-000.pngは上に有界な単調増加数列、数列は下に有界な単調減少数列となり、定理6より収束する。


sk-009.pngとおくと、より、α≦βである。

また、sk-037.pngなので、

  

である。

したがって、

  sk-035.png

である。

また、sk-033.pngより、α=β

sk-038.pngとすると、すべての自然数nに対して

  

となるので、c=α

よって、

  sk-036.png

(証明終)

 


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。