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第8回 全称命題と特称命題 [集合と論理]

第8回 全称命題と特称命題

 

数学の命題の中には「すべてのxについて・・・である」、あるいは、「すべてのxは・・・である」という形の命題がある。

たとえば、「すべての実数xに対して、x²≧0である」といった命題である。

 

Uを全体集合(普遍集合)、その条件命題がa(x)であるとき、

 「すべてのxについてa(x)である」

を、

 あるいは

で表し、これを全称命題、記号∀を全称記号という。

 

全体集合Uに対して、全称命題「すべてのxについてa(x)である」、すなわち、が真であることは、すべてのx∈Uについてa(x)が真であることを意味しているから、a(x)の真理集合Aは全体集合Uと一致する。すなわち、

 

である。

したがって、

  A=Uのとき、∀x,a(x)は真

  A≠Uのとき、∀x,a(x)は偽

が成り立つ。

 

また、数学の命題には、「・・・であるxが少なくとも1つ存在する」や「あるxは・・・である」という形のものがある。

たとえば、「ある実数xx²>1である」のように、

 「あるxa(x)である」

の形の命題を、

 あるは

で表し、これを存在命題、記号∃を存在記号という。

 

全体集合Uに対して、「∃x,a(x)」が真であることは、a(x)が真であるxUに存在すること意味しているので、a(x)の真理集合Aは空集合でない。すなわち、

 

である。

したがって、

  A≠∅のとき、∃x,a(x)は真

  A=∅のとき、∃x,a(x)は偽

 

問2 xを実数とするとき、自治の問に答えよ。

(1) 「すべてのxについてx²+x+1>0」は真であり、「すべてのxについてx+1=0」が偽であることを示せ。

(2) 「あるxx²−2x+1>0」は真であり、「あるx²−2x+1<0」は偽であることを示せ。

【解答】

実数全体の集合をRとする。

(1) a(x):x²+x+1>0b(x):x+1=0とし、a(x)b(x)の真理集合をそれぞれABとすると、

 

よって、∀x,a(x)は真である。

また、

 

よって、∀x,b(x)は偽である。

 

(2) c(x):x²−2x+1>0d(x):x²−2x+1<0とし、c(x)d(x)の真理集合をそれぞれCDとする。

 

だから、∃x,c(x)は真である。

また、

 

したがって、∃x,d(x)は偽である。

(解答終)

 

b(x)で、x=0とするとx+1=0は成り立たず、よって、B={x|x+1=0}≠Rとなり、∀x,b(x)は偽である。このように全称命題が偽であることを示すことのできる例を反例という。反例は1つ示せ十分である。

 

 

問1 次の命題を記号∀、∃を用いて表し、真偽を判定せよ。

(1) 任意の実数xに対して、である。

(2) を満たす実数xが存在する。

(3) θがどんな値であっても、である。

【解答】

実数全体の集合をRとする。

(1) で、偽である。x=−1のとき

(2) で、偽である。何故ならば、を満たす実数xは存在しないから。

(3) で真である。

(解答終)

 

 


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