第37回 定積分の計算 部分積分 [微分積分]
第37回 定積分の計算 部分積分
定理 (部分積分)
f(x)、g(x)が[a,b]でC¹級ならば、
【証明】
したがって、
(証明終)
問1 次の値を求めよ。
【解】
(解答終)
問2 次の定積分の値を求めよ。
【解】
とおく。
したがって、
これをI、Jについて解くと
(解答終)
【別解】
(別解終)
問3 とするとき、次の問に答えよ。
(1) 次のことを示せ。
(2) を求めよ。
【解】
(1)
(2) だから、
(解答終)
類題 とするとき、
が成り立つことを示し、これを利用して、次の値を求めよ。
【解】
だから、
(解答終)
問4 次の値を求めよ。
【解】
(解答終)
問5 とすると、
であることを示し、これを利用して、の値を求めよ。
【解】
とおくと、
n≧1のとき、
したがって、
(解答終)
第36回 微積分の基本定理 [微分積分]
第36回 微積分の基本定理
f(x)が[a,b]で連続ならば、f(x)は[a,b]で積分可能である。
定理1 (積分の平均値定理)
f(x)が[a,b]で連続ならば、
を満たすξが存在する。
【証明】
f(x)が[a,b]で定数cのとき、
だから、
となり、a<ξ<bである、任意のξについて成り立つ。
f(x)が[a,b]で定数でないとき、f(x)は有界閉区間[a,b]で最小値mと最大値Mを持つ。
したがって、中間値の定理より
(証明終)
定理2
f(x)は区間Iで連続とする。定点と任意のに対し、
とおくと、F(x)はIの各点xで微分可能で、
【証明】
f(x)はIで連続だから、積分の平均値の定理より
となるθが存在する。
したがって、
(証明終)
定理3
f(x)を[a,b]で連続とする。F(x)がf(x)の原始関数、すなわち、
ならば、
【証明】
定理2より
はf(x)の原始関数の1つで、
したがって、
だから、
したがって、
(証明終)
問1 次の定積分の値を求めよ。
【解】
(1) はの原始関数なので、
(2)
(3)
m≠nのとき
m=nのとき、
(解答終)
問2 f(x)を[a,b]で連続な関数とするとき、次のことを示せ。
任意のx∈[a,b]に対してならば、である。
【解】
の両辺を微分すると、
(解答終)
問3 次の条件を満たす連続な関数f(x)を求めよ。
【解】
(1) は定数なので、
とおくと、
したがって、
よって、
(2) 両辺を微分すると、
両辺を積分すると
また、
だから、x=1を代入すると、
よって、
したがって、
(解答終)
問4 次のことを示せ。
(1) f(x)が区間Iで連続、φ(x)が区間Jで微分可能であって、ならば、a∈Iと任意のx∈Iに対して、
(2) f(x)が実数全体の集合Rで連続であって、任意のx、h∈Rに対して
ならば、f(x)は定数値関数である。
【解】
Fとφが微分可能であるから、Φは微分可能であって、
また、
だから、
(2) xを固定し、両辺をhで微分すると、
これが任意のhについて成り立つので、f(x)は定数値関数である。
特にh=−xとすれば、
(解答終)
無限級数への定積分の応用 [微分積分]
無限級数への定積分の応用
関数f(x)が有界閉区間[a,b]で連続であるとき、その定積分は
と定義できる(区分求積法)。
特に、a=0、b=0のとき
大学入試問題で、次のように、この逆の問題が多数出題されてきたので、無限級数への定積分の応用の話をすることにする。
例題 次の極限値を求めよ。
【解答】
(1)
とすると、
(2) とおくと、
(解答終)
問題1 次の極限値を求めよ。
【解答】
(解答終)
問題2 次の極限値を求めよ。
【解答】
したがって、
(解答終)
問題3 次の極限値を求めよ。
【解答】
したがって、
よって、
(解答終)
これくらいできれば、大学入試でこの手の計算問題が出題されても、困ることはないでしょう(^^)。
数式などが正常に表示されないヒトは、ネムネコの部屋の次の記事↓
無限級数への定積分の応用
https://nemneko.blogspot.com/2019/10/blog-post_64.html
第35回 区分求積法 [微分積分]
第35回 区分求積法
関数f(x)が有界閉区間[a,b]で連続であるとすると、f(x)は[a,b]で積分可能である。
すなわち、分割
の全てに関して、の選び方によらず、リーマン和
は、
になる。
したがって、[a,b]をn等分し、
として得られるリーマン和
とすると、
である。これによって定積分の値を求めることを区分求積法という。
例1 [a,b]で定義される定数値関数f(x)=cの積分は
なぜならば、
例2 [a,b]で定義される連続関数f(x)=xの場合、
[a,b]をn等分し、
に取ったとき
念のために、
を取ったとき、
なお、この計算では
という公式を使っている。
問1 区分求積法を用いて、次のことを示せ。
【解】
f(x)=x²とし、[a,b]をn等分に分割し、
とすると、
(解答終)
上の計算では
という公式を使っている。
問2 区分求積法を用いて、の値を求めよ。
【解】
[0,1]をn等分し、
にとる。
とおくと、
(解答終)
x=1/nとおくと、n→∞のときx→0。
したがって、
上の計算では、ロピタルの定理を使っていることに注意。
あるいは、
第34回 定積分 [微分積分]
第34回 定積分
§1 積分の定義
f(x)は有界な閉区間[a,b]で定義されている有界な関数である。
分割
に対し、次の和(リーマン和)を考える。
任意の分割Δに関して、であるの選び方によらず、
となる実数Sが存在するとき、f(x)は[a,b]で(リーマン)積分可能であるといい、
で表す。
すなわち、
ここで、はの最大値で、分割の幅である。
また、
a<bのとき、
と定義する。
さらに、a=bのとき、すなわち、
と定義する。
例1 cを定数とするとき、
は、[a,b]で積分可能で、
何故ならば、
である全ての分割に関して、であるの選び方に関わらず、
例2 は[a,b]で積分可能で、
である。
任意の分割Δに関して、
に取ると、
また、任意のに対して、
したがって、
例3 a<c<bとし、
とすると、f(x)は[a,b]で積分可能で、
分割
で、点cを含む区間の数が最も多くなるのは、となる自然数kが存在するときで、このとき、
任意のに対して、
例4
は、[a,b]で(リーマン)積分可能でない。
何故ならば、に無理数の点をとれば、
有理数の点をとれば、
となるので。
§2 定積分の基本的な性質
定理1 有界閉区間I=[a,b]上でf(x)、g(x)は積分可能で、λ、μを定数とするとき、はI上で積分可能で
【証明】
分割Δ、を任意にとると、
したがって、はI上で積分可能で、
(証明終)
定理2 関数f(x)、g(x)はI=[a,b]上で積分可能とする。
ならば、
特に、
【証明】
Iの分割Δ、を任意にとると、仮定より
したがって、
|Δ|→0とすると、
(証明終)
(注) 例2から、
は、一般に成り立たないことがわかる。
次の2つの定理の証明は、すこし、厄介なので、定理だけをあげる。
定理3 f(x)は[a,b]で積分可能ならば、
定理4 f(x)が[a,b]で単調または連続であれば、f(x)は[a,b]で積分可能である。
定理5 f(x)、g(x)が[a,b]で連続ならば、
は、[a,b]で積分可能である。
【略証】
f(x)、g(x)が[a,b]で連続ならば、は[a,b]で連続。したがって、定理4より、積分可能である。
(略証終)
問1 f(x)、g(x)は[a,b]で連続な関数とする。
このとき、
は[a,b]で積分可能であることを示せ。
【解】
f(x)、g(x)が[a,b]で連続だから、も[a,b]で連続。
したがって、は[a,b]で積分可能である。
(解答終)
定理6
f(x)は[a,b]で連続とする。任意のx∈[a,b]についてf(x)≧0、かつ、ならば、f(x)≡0である。
【証明】
f(c)>0であるcがa<c<bに存在すると、f(x)は連続なので、十分ちいさなδ>0を選ぶと、
とすることができる。
となり矛盾。
よって、f(x)≡0。
(証明終)
問2 f(x)、g(x)は[a,b]で連続である。[a,b]でf(x)≧g(x)かつならば、f=gであることを示せ。
【解」
h(x)=f(x)−g(x)とおくと、h(x)は[a,b]で連続なので、h(x)は[a,b]で積分可能。
また、[a,b]でh(x)≧0で、かつ、
したがって、定理6よりh(x)は[a,b]で恒等的にh(x)=0。
ゆえに、f=g。
(解答終)
定理7(積分の三角不等式)
f(x)が[a,b]で連続ならば、
【証明】
f(x)は[a,b]で連続なので、f(x)と|f(x)|は[a,b]で積分可能。
分割Δ、を任意に取ると、
したがって、
(証明終)
【別証」
だから
(別証終)
第33回 無理関数の不定積分 [微分積分]
第33回 無理関数の不定積分
被積分関数が無理関数を含む場合、適当な変数変換をすると、不定積分を求めることができる場合がある。
定理1
R(x,y)がxとyの有理関数ならば、はとおくと、有理関数の積分に帰着できる。
問1 次の不定期分を求めよ。
【解】
(1) t=√xと置き、両辺を2乗すると、x=t²。したがって、dx=2tdt。
よって、
(2) とおき、両辺を3乗してxについて解くと
ゆえに、
(2) とおき、両辺を2乗し、xについて解くと
したがって、
よって、
(解答終)
定理2
R(x,y)がxとyの有理関数ならば、は次の変換によって有理関数の積分に帰着する。
(1) a>0のとき、
(2) のとき、
問2 次の不定積分を求めよ。
【解】
(1) とおくと、
両辺を2乗してxについて解くと、
ゆえに
(2) とおくと
両辺を2乗してxについて解くと
したがって、
ゆえに
(3) だから、
とおき、この両辺を2乗すると、
よって、
ゆえに
(解答終)
問3 次の問に答えよ。
(1) 次の不定積分を求めよ。
(2) (1)の結果を利用して、次の不定積分を求めよ。
【解】
(1)
(2)
t=x+1/2とおくとdx=dtだから
(解答終)
演算子法入門 その2 [微分積分]
演算子法入門 その2
非同次の2階線形方程式
がある。
これは
と変形し、とおくと
となり、この一般解
である。
したがって、
である。
ゆえに、同次方程式
の一般解に特殊解に
を加えたものになっていることがわかる。
さて、a≠bのとき
を部分積分すれば、
前回、導入した、演算子
ならびに
を用いて、この結果を表すと、次のようになる。
したがって、
が成立する。
また、このことは、微分演算子Dをあたかも実数のように考え、
と部分分数に分解して良いことを示している。
a=bのときは
である。
以下、同様に、
が成り立つ。
また、
が成立する。
より一般に
であるとき、
が成り立つ。
なお、上の計算では、前回の公式
を使っていることに注意。
問1 次の微分方程式を解け。
【解】
微分方程式
の一般解は
非同次の微分方程式
の特殊解については、
よって、
(解答終)
問2 次の微分方程式を解け。
【解】
同次方程式
の特性方程式は
したがって、同次方程式の一般解は
非同次方程式の特殊解については
ここで、
とマクローリン展開(?)すると
ゆえに、一般解は
(解答終)
と部分分数(?)に分解し、
と計算し、
と、特殊解を求めてもよい。
問1はともかく、問2の場合、(部分)積分を一切せず、微分するだけで非同次方程式の特殊解を求められるという利点はあるけれど、計算が楽かといえば、何とも微妙。
しかも、演算子法の演算公式をあらたにいくつか覚えないといけないので、ねこ騙し数学では、(微分)演算子法による微分方程式の解法を推奨しません。
まぁ、
としたとき、非同次のn階微分方程式
の特殊解y₀は
であると簡潔に表せるメリットはあるけれど・・・。
今回は、こういう微分方程式の解き方もあるんだということで・・・。
演算子法入門 [微分積分]
演算子法入門
非同次の1階線形微分方程式
のf(x)を定数関数0にした同次方程式(補助方程式)を
とすると、(2)の一般解
である。
定数係数の線形方程式の解法の復習として(1)を解いてみる。
(1)の両辺にを掛けると
積分すると
さて、(3)と(4)を比較すると、非同次の1階線形方程式(1)の一般解(4)は、同次方程式(2)の一般解(3)に、(1)の特殊解の1つであるを加えたものになっていることがわかる。
ここで、次の微分演算子
を導入し、
と表すことにすると、(1)は
になる。
そして、新たに
と定義すると、(5)は非同次方程式(1)の特殊解になることがわかる。
したがって、(1)の一般解は
特に、a=0のとき、だから、
ただし、不定積分は、積分定数を含まないものとする。
たとえば、
だにゃ。
f(x)は何度でも微分可能、つまり、級とする。
部分積分すると
したがって、
ここで、
さて、
と変形し、演算子Dをあたかも実数のように考え、
とマクローリン展開すると、
となり、これは(8)と一致する。
【参考】
だ・か・ら、
例えば、
といった計算をしてもいいってこと。
現に
と一致する。
(部分)積分と微分のどちらの計算が楽かといえば、微分の方が楽だから、この計算法のメリットは計り知れない。
そして、一切積分することなく、同次方程式
の一般解が
であることがわかる。
さらに、α≠aのとき、
また
になる。
ただの積分だから次の関係が成り立つことは明らかだろう。
問 次の微分方程式を解け。
【解】
の一般解は
(1)
よって、
(2)
したがって、
(3)
したがって、
(解答終)
9月17日の問題の解答例 [微分積分]
問題の解答例
問 次の微分方程式を解け。
(1)については、
とすると、
だから、これを代入すると
となり、これから
が特殊解。
また、
の一般解は
だから、
紹介していないが、演算子法を使うと、特殊解y₀は
と簡単に求められる。
ここで、
であり、
という謎の公式を使っている(^^ゞ。
(2)では、特殊解は
であろうと推測し、これを微分方程式の左辺に代入すると
だから
となってしまう(^^)。
困ったね〜。
ではあるが、
として、これを微分方程式の左辺に代入し、それがになるようにAとnを定めればいいんじゃなかろうか。
これを代入すると、
したがって、
よって、n=2、A=1/2。
また、
の一般解は
なので、
上の方法は、意外に面倒だね。
ならば、定数変化法を用いて
【定数変化法を用いた解法】
はy''−2y'+y=0の(基本)解の1つなので、
とおくと、
これを代入すると
したがって、
よって、
これではちょっと見栄えが悪いので、として、
(定数変化法を用いた解法終)
【直接積分する解法】
なので、
とおくと
両辺を倍すると
よって、
両辺を倍すると
見た目が悪いので、と置き直して
(直接積分する解法終)
【ロンスキアンを使う】
同次方程式
の基本解は、だから、
したがって、
は、
の特殊解の1つ。
よって、
(ロンスキアンを使う解法終)
【定理】
y₁、y₂を同次方程式
の基本解とすると、
は
の特殊解である。
ここで、
謎の公式⑨を使うと、
塩梅が悪いのであった。
問題2 非同次の微分方程式
を解きたい。
そこで、次の指示に従って、①の一般解を求めよ。
【指示1】
(1) 同次方程式を解け。
(3) 非同次方程式の一般解を答えよ。
【指示2】
(1) は同次方程式の解である。そこで、
として、①をuの微分方程式に書き換えよ。
(2) とおいて、(1)で得られた微分方程式を解け。
(3) このようにして求めた解が【指示1】のそれと一致することを確かめよ。
【解答】
【指示1】
(1) 特性方程式は
となるので、
よって、
(3)
【指示2】
(1) とすると、
だから、これを左辺に代入すると
(2)(3) v=u'とおくと、
両辺にを掛けると
したがって、
よって、
ここで、とおくと
(解答終)
直接、積分することで、非同次の2階線形微分方程式は解けないのか [微分積分]
直接、積分することで、非同次の2階線形微分方程式(せめて定数係数くらい)は解けないのか
次の非同次の2階線形微分方程式があるとする。
右辺を0にした同次方程式
の特性方程式
だから、は(2)の基本解で
が一般解になる。
そして、何らかの方法で(1)の特殊解y₀を求めれば、
が(1)の一般解なる。
これが非同次の2階線形微分方程式を解く流れるなる。そして、(1)の特殊解y₀を求める方法としては、例えば、次の2つが考えられるだろう。
【解法1】
y₀=ax+bが(1)の解であるとすると、
だから、これを(1)に代入すると
右辺と左辺の係数を比較すると、a=1/2、b=5/4。
よって、
したがって、(1)の一般解は
【解法2】
(2)の基本解は。
ロンスキー行列式(ロンスキアン)
なので、
は、(1)の特殊解の1つ。
したがって、(1)の一般解は
【参考】
同次方程式
の基本解をy₁、₂とするとき、
は
の特殊解の1つである。
ここで、
この他にもいくつか特集解を求める方法はあるが、
ロンスキアンを使った解法2は一般的であるかわりに、計算量が多く、この問題に関しては【解法1】に劣る。
さてさて、次に
を、直接、積分することによって、(1)の一般解を求める方法について考えてみよう。
(1)は、
あるいは、
と変形することが出来る。
【解法3】
とおくと、①は
という1階線形微分方程式になる。
この両辺を倍すると、
③の中辺と右辺を倍すると
ここで、とおくと、
【解法4】
また、
とおくと、②は
この両辺を倍すると
y'を消去するために、③と④の差を取ると
ここで、とおくと、
直接、積分することによって、(1)の一般解を求めることが出来た(^^)。
微分方程式に限ったことではないが、記事を読んでわかったで済ますのではダメで、どんな簡単な問題でもいいから自分で解く必要がある。
ということで、どのような方法を使ってもよいので、次の微分方程式を解くように。
問 次の微分方程式を解け。
(2)は、少しだけ意地悪問題。
というのは、(2)の特殊解は、ちょっと、予想が難しいから(^^)
(1)に関しては、
とすると、
だから、これを代入すると
となり、これから
が特殊解の1つであることがわかり、したがって、
が(1)の一般解になる。
(2)でも同様に
とし微分方程式の左辺に代入すると
だから
となってしまう(^^)。
困ったケロね〜。