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第10回 全微分の続き [偏微分]

第10回 全微分の続き


今回する話は、まったく分からなくても、まったく問題なし。何か具体的な関数を偏微分するとき、こんなもの使いやしない。こんな細かいことを気にする必要はないケロ。


全微分の定義
領域D上で定義された関数f(x,y)Dの全ての点で全微分可能であるとき、fは全微分可能であるといい、

第10回 全微分の続き_htm_m62ec2dc2.gif

f(x,y)の全微分という。

一点(a,b)で全微分可能か、関数が定義されている定義域Dのすべての点で全微分可能か、この違いだケロ。ちなみに、

第10回 全微分の続き_htm_6191b4ea.gif

のことだにゃ。

そして、

第10回 全微分の続き_htm_abc7f.gif

のことだにゃ。

で、これは何を言っているかというと、

shiki-10-1.png

第10回 全微分の続き_htm_695fcc81.gifからすこしだけ離れた点(x,y)でのf(x,y)の値を一次式で近似できるということ。

一変数の場合は、

第10回 全微分の続き_htm_m52c8509b.gif

と接線で近似できるけれど、2変数の場合は、接平面で近似できるというわけだケロ。

 

ということで、天下り的に,接平面の定義(^^


接平面の定義

関数f(x,y)が点(a,b)で全微分可能とする。このとき、

第10回 全微分の続き_htm_m9473d73.gif

z=f(x,y)(a,b,f(a,b))における接平面という。

 

2次元から急に3次元の話になっているので申し訳ないんですが・・・。

 

で、ちょっと問題をひとつ。

 

問題 第10回 全微分の続き_htm_m5734ce92.gifで定義される

第10回 全微分の続き_htm_m4502a94e.gif

第10回 全微分の続き_htm_m5ffa0175.gifで全微分可能であることを示すケロ。

【解】

第10回 全微分の続き_htm_m7bb62be9.gif

になる。

hkの前のやつが定数になっているんだから、これは文句なく全微分可能だろ。

そして、ここでさり気なくhydxdyにすり替え、

第10回 全微分の続き_htm_6191b4ea.gif

とすれば、

第10回 全微分の続き_htm_m64413871.gif

になっているケロ。

 

でも、こんな答をテストの答案に書いたら、大学の先生は怒るかもしれない(^^ゞ


そこで、次の定理を上げることするにゃ。

定理

f(x,y)第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif級ならば、f(x,y)は全微分可能である。

 

第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif級というのは、定義域内の全ての点で(偏)微分可能で、その(偏)導関数が連続な関数のことね。

 

【証明】

証明すべきことは、

shiki-10-3.png

とするとき、

第10回 全微分の続き_htm_10079cb7.gif

になることだにゃ。

そこで、

平均値の定理より

shiki-10-4.png
となる第10回 全微分の続き_htm_333ff0b5.gifが存在する。

よって、

shiki-10-5.png

となる。

ここで、

第10回 全微分の続き_htm_mfbfa845.gif

とおくと、第10回 全微分の続き_htm_m58b29147.gifの連続性より、

第10回 全微分の続き_htm_41bf58f0.gif

よって、

第10回 全微分の続き_htm_mdf72d43.gif

よって、

第10回 全微分の続き_htm_m10b3dc1f.gif

 

みたいな証明。

普通の多変数の微分・積分で扱う関数は第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif級や、何度でも(偏)微分できて、その偏導関数が連続な第10回 全微分の続き_htm_m61da9e6c.gif級とかだから、よほど変な関数でもないかぎり、全微分可能なんだケロ。

問題として取り上げた

第10回 全微分の続き_htm_m4502a94e.gif

第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif級だから、この定理から全微分可能になる。

第10回 全微分の続き_htm_442123ee.gif

みたいな関数も第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif球だから、全微分可能になる。

だから、細かいところを気にすることなく、おおらかに行こう!!
何か変なことが起きたら、そのとき、細かいところを気にすればいいんだケロ.

 

そして、さり気なく定理をもうひとつ付け加える。


定理

f(x,y)第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif級ならば、f(x,y)は連続関数である。

第10回 全微分の続き_htm_m6b80f288.gif級ならば、全微分可能。そして、全微分可能ならば、連続。よって、この定理が成立するにゃ。




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第9回 全微分の定義 [偏微分]

第9回 全微分の定義

 

一変数の微分(係数)を思い出して欲しいにゃ。微分係数の定義は

第9回 全微分_htm_m10661cc4.gif

だったにゃ。

でも、これは、正確なことを言うと、微分係数の定義であって、微分の定義ではないんだケロ。

微分の定義は

第9回 全微分_htm_m3c893cb4.gif

となる定数Aが存在するとき、fx=aで微分可能という、

というのが微分の定義なんだケロ。

そして、これから

第9回 全微分_htm_7c0ccf7f.gif

となり、

第9回 全微分_htm_1ae8c108.gif

となるんだにゃ。

 

であるならば、これを2変数に拡張したいと考えるのが人情だにゃ。

そして、2変数関数の拡張すると

shiki10-1.png

となる定数ABが存在するとき、f(a,b)で微分可能というとなるのであろう。

k=0のとき、

第9回 全微分_htm_mcad7d9b.gif

h=0のとき

第9回 全微分_htm_7c61d405.gif

となることがわかるにゃ。

試しに、k=0のときは

shiki-10-2.png

となるにゃ。

 

こういうのを微分可能、全微分可能と言うんだケロ。

そして、点(a,b)で全微分可能なとき、xに関しても、yに関して偏微分可能であることがわかるケロ。

 

そして、

第9回 全微分_htm_3d6aa79b.gif

になるので、

第9回 全微分_htm_m3159476e.gif

となって、全微分可能な点(a,b)fは連続になる。

 

一変数関数のとき、fが点x=aで微分可能ならば、fx=aで連続というのをやったと思うにゃ。念のために

shiki10-3.png

ということで、全微分というのが一変数の微分の自然な拡張になっていることがわかると思うにゃ。

 

以上のことをまとめると、

f(x,y)が点(a,b)で全微分可能なとき、点(a,b)において連続で、

第9回 全微分_htm_m762aaa5e.gif

となる。

 

で、第9回 全微分_htm_2cac3404.gifとして、この定義域Dで全微分可能ならば、

第9回 全微分_htm_m3b9aea4d.gif

みたいに書くんだケロ。

これは
  
と近似できることを表しているんだにゃ。

 

で、問題をひとつ。

 

問題 次の関数は,(0,0)で全微分可能ケロか?

第9回 全微分_htm_m18fb6fb3.gif

【解】

(0,0)で全微分可能であれば、f(x,y)は点(0,0)で連続。

でも、(0,0)で連続でないから、全微分可能でない。

たぶん、何処かでやったと思うけれど、この関数は(0,0)で連続ではない。

たとえば、x=y=tとして、t→0とすれば、(x,y)→(0,0)になるけれど、

第9回 全微分_htm_2a3423a5.gif

となり、このとき、

第9回 全微分_htm_m7d6dcc0.gif

になる。

だから、fは点(0,0)で連続でないんだケロ。

 

さらに、

第9回 全微分_htm_m3ab14aa3.gif

というのを何処かでやったと思うけれど、

(0,0)で偏微分可能だから、(0,0)で連続というわけでもない。

 

今、全微分の有り難みが分からなくても、そのうちにこの有り難みがよくわかるようになるケロ。

 


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第8回 偏導関数 [偏微分]

第8回 偏導関数

 

偏導関数の定義


領域D上で定義された関数f(x,y)D上の全ての点で偏微分可能なとき、関数f(x,y)は偏微分可能であるという。また、
第8回 偏導関数_htm_b238ded.gif

を偏導関数という。

 

z=f(x,y)の偏導関数の表記法は

第8回 偏導関数_htm_4e4fcc1b.gif
などなど色々あるにゃ。


「∂」は一般的に「デル」と呼びますが、人によっては「ラウンド・ディー」と呼んだりもするケロ。

 

偏微分の計算の元になるのは一変数の微分公式だから、

第8回 偏導関数_htm_m3f7e267f.gif

第8回 偏導関数_htm_55339885.gif

くらいは思い出してもらわないといけないにゃ。


 

で、xf(x,y)を偏微分するとき、yは定数と考えて微分すればいいだケロ。
たとえば、

第8回 偏導関数_htm_m51bfe2e8.gif
の場合、xで偏微分するとき、yは定数として考えていいので、

第8回 偏導関数_htm_m1a65741.gif
となるケロ。


そして、

第8回 偏導関数_htm_2dc21b1f.gif
になるんだにゃ。

何故ならば、xで偏微分するとき、yは一定で値が変化しないからだにゃ

だから、
第8回 偏導関数_htm_m1c4af051.gif

となる。


同様に、yで偏微分するときは、xを定数と考えてyで微分すればいい。
すると、

第8回 偏導関数_htm_m3e1e7879.gif
になる。

第8回 偏導関数_htm_6da2bcaa.gif

になるところだけを注意して欲しいにゃ。

そして、こういう計算は暗算で出すものだケロ。



問題 次の関数の偏導関数を求めるケロ。

第8回 偏導関数_htm_7f23decf.gif
【解】

これは2変数関数なんだけれど、(1)はu=x+yとすると、g(u)=sin(u)という1変数関数(?)になっているケロ。こいう偏微分はちょっとテクニックが必要なんだケロ。

こういうタイプの偏微分は

第8回 偏導関数_htm_m4365cd7e.gif
という風に計算すると楽なんだケロ。


1変数の合成関数の微分

第8回 偏導関数_htm_m8a1400e.gif
を偏微分に流用するというわけ。

(1)の場合、u=x+yとすると、
第8回 偏導関数_htm_a221c15.gif

同様に、

第8回 偏導関数_htm_4b25eb03.gif

もちろん、三角関数の加法定理を使ってもよい。

第8回 偏導関数_htm_m6a17c383.gif
になるので、
siki-8-1.png

当然のことながら、計算結果は同じになるケロ。

(2)

第8回 偏導関数_htm_m56096599.gif
として、

第8回 偏導関数_htm_507d76de.gif

 

ですが、とりあえず、

【問題】

第8回 偏導関数_htm_m4b8d16c.gif
【答】

第8回 偏導関数_htm_68f3c436.gif

という計算ができれば、現時点では十分にゃ。

 

そして、このことから、次の偏微分方程式を導くことが出来るケロ。
第8回 偏導関数_htm_m587cf2ca.gif
問題の(1)(2)はこの偏微分方程式の解の一つになっているのであった。


第7回 偏微分の定義とその(簡単な)計算法 [偏微分]

第7回 偏微分の定義とその(簡単な)計算法

 

いよいよ多変数関数の微分、偏微分ですにゃ。今までやってきたことは、このための準備ですにゃ。

まずは、偏微分可能の定義から。

 

 

偏微分可能の定義

(a,b)の近傍で定義された関数f(x,y)に対して、極限

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m46dd765.gif

が存在するとき、f(x,y)は点(a,b)でxに関して偏微分可能であるといい、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_3d9b4693.gif

を点(a,b)におけるf(x,y)xにおける偏微分係数という。

同様に、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_1d4baefa.gif

が存在するとき、f(x,yは点(a,b)yに関して偏微分可能であるといい、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m4e5a509c.gif

を点(a,b)におけるf(x,y)yにおける偏微分係数という。

 

 

こういうのは、具体的な例を上げるのが一番わかり易い。

 

例1

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_26047c5.gif

の点(2,1)におけるxとyの偏微分係数を求めてみるにゃ。
定義に従うと、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m2f1ccac2.gif

だから、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m41b7f7ef.gif

同様に、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_6f7b7e8a.gif

だから、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m18d02c05.gif

 

例2

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_56b355b6.gif

の点(a,b)におけるxとyに関する偏微分係数を求めるにゃ。

まず、xに関する偏微分係数。
siki-7-1.png

で、h→0の極限を取ると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_2d826901.gif

となる。

siki-7-2.png

で、k→0の極限を取ると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_117b25c4.gif

となる。

結果をまとめると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m1a739d67.gif

となる。

 

しかし、いちいち、こういうふうに定義から計算したら面倒でしょうがない。

実は、簡単に計算出来るんだケロ。

x
に関する偏微分係数を求めるとき、y=bとする。

例2の場合だと

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m49b0f85a.gif

そうすると、xの一変数関数g(x)になるんで、これをxで微分する。

そうすると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m50181379.gif

になり、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_3a981558.gif

yに関する微分係数は、x=aと固定すると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m5339afbd.gif

になる。これをyで微分すると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_67d2ca9e.gif

となり、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_59fcb025.gif

となる。

そうすると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m1a739d67.gif
となる。

 

 

そして、こうした計算に慣れてくると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_73b95e16.gif

だから、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m1a739d67.gif

と暗算で計算できるようになる。

 

ただし、こうした手法がいつも可能というわけではない。特に、偏微分可能性を問うような、いやらしい問題では、こういう手法は通用しないケロ。

 

例3 次の関数の点(0,0)における偏微分可能性を調べるケロ!!
第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m18fb6fb3.gif

これを次のようにしてやると、地獄を見るんだにゃ。

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_17258550.gif

であるから、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m15c24a09.gif

となり、(0,0)で偏微分可能でない

なんてことをやってはいけない。

こいう問題は、定義に従ってやるのが原則なんだにゃ。

定義に従うと、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m25c8394d.gif

計算はしないけれど、定義に従って計算すると、

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_m3b721294.gif

となり、(0,0)で偏微分可能なんだケロ。

 

(x,y)≠(0,0)では、確かに

第7回 偏微分係数の定義と計算法_htm_17258550.gif

になるけれど、(0,0)で連続でないから、x=y=0として計算してはいけない!!



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第6回 多変数関数の連続 [偏微分]

第6回 多変数関数の連続

 

2変数関数の連続の定義

f(x,y)第6回 多変数関数の連続_htm_m5ffa0175.gifの部分集合D上の関数、a=(a,b)∈Dとする。

任意の正の数εに対して、ある正の数δが存在し、

第6回 多変数関数の連続_htm_2d349931.gif

を満たす全てのx=(x,y)について

第6回 多変数関数の連続_htm_m3c150d5a.gif

であるとき、f(x,y)(a,b)で連続であるといい、

第6回 多変数関数の連続_htm_m7e058c.gif

と表す。

 

極限の定義と連続の定義の違いがわかるケロか?
極限の定義は

第6回 多変数関数の連続_htm_m9c05775.gif

であるのに対して、

連続の定義は

第6回 多変数関数の連続_htm_m13c07d59.gif

とちょっとだけ違う。

関数の連続の場合、点(a,b)で関数fは定義されていて、f(a,b)という値を持つけれど、極限の場合、(a,b)で関数fが定義されていない。ここが違うんだにゃ。連続の場合、極限の

 第6回 多変数関数の連続_htm_m52c8525d.gif

から「0<」の部分がとれているのは、このため。

 

微妙な違いだけれど、ここが違うんだケロ。

で、fg(a,b)で連続な関数、λμを実数とするとき、

siki1.png

が成り立つ。

このあたりの話も1変数の連続の場合と同じ。

証明は1変数の時の関数の連続を見てもらって、xaxaに、そして、1変数の時は

第6回 多変数関数の連続_htm_m338ea08b.gif

だったのを

第6回 多変数関数の連続_htm_134b6399.gif

に変えれば、あの証明をそのまま流用できる。

絶対値も距離だし、1次元の点もn次元の点も点であることには変わりがない。1次元、2次元、・・・、n次元と分けて考える必要がそもそもないんだケロ。

これまでに、何でしつこいくらいに距離に関する話をしてきたかというと、このためだケロ。

なのだけれど、一番上の公式だけを証明するにゃ。

λ=0μ=0のときは、f(x,y)g(x,y)の値に限らず、

第6回 多変数関数の連続_htm_m5e741c79.gif

になるので、連続。

何故ならば、λ=μ=0のとき、任意の正の数εに対して

siki2.png
が成立するから。

 

だから、λμがともにゼロでない時を考えるにゃ。

f(x,y)(a,b)で連続なので、

第6回 多変数関数の連続_htm_m1125e433.gif

同様に

第6回 多変数関数の連続_htm_m47445caa.gif

が成立する。

で、

第6回 多変数関数の連続_htm_m65120c5e.gif

という例の「お呪い」を唱える。

そうすると、

第6回 多変数関数の連続_htm_5faa077c.gif

ならば、
第6回 多変数関数の連続_htm_m7717cd24.gif

 

となる。

上級者向けの証明は、

siki3.png

(^^


見た目はすこし違うけれど、中身は同じだにゃ。

 

で、この証明を見ると、

第6回 多変数関数の連続_htm_5faa077c.gif

のところ、

第6回 多変数関数の連続_htm_m7459e6bd.gif

でしか2次元を使っていない。

 ―――表記上、2次元としているだけ―――

第6回 多変数関数の連続_htm_3ed4261c.gif

とすれば、3次元の証明になる。

 ―――3次元ならば、f(x,y,z)g(x,y,z)などとすればよい。

そして、

とすれば、n次元のユークリッド空間の証明になるし、n=1ならば、1変数関数の連続の証明になっている。

(位置)ベクトルを表す太字の斜体字にすることも面倒なので、

第6回 多変数関数の連続_htm_20046c05.gif

として、

第6回 多変数関数の連続_htm_155f4a96.gif

としてもいいにゃ。

 

では、問題を幾つか、解いてみますかにゃ。

 

問題1 次の関数の連続性を調べよ。

第6回 多変数関数の連続_htm_6b3f0286.gif

【解】

(x,y)≠(0,0)で連続なのは明らか。

第6回 多変数関数の連続_htm_4cc552d2.gif

とするにゃ。

で、

siki4.png

|sin(t)|≦1だから、

第6回 多変数関数の連続_htm_69da6c62.gif

そして、

第6回 多変数関数の連続_htm_m55f32446.gif

だから、ハサミ打ちの定理より

第6回 多変数関数の連続_htm_m5006af62.gif

となり、(0,0)で連続。

問題2 次の関数の連続性を調べよ。

第6回 多変数関数の連続_htm_45bcd909.gif

【解】

(x,y)≠(0,0)で連続なのは明らか。

なので、(0,0)での連続性を調べるケロ。

第6回 多変数関数の連続_htm_m321c2f69.gif
y=mx
m≠0)にそって(0,0)に近づくとするにゃ。
第6回 多変数関数の連続_htm_m1b79bfbd.gif

連続ならば、

第6回 多変数関数の連続_htm_m4ba0b3f4.gif

にならなければならないのに、これは矛盾。

よって、(0,0)で連続でないにゃ。

 

問題3 次の関数の連続性を調べるケロ。

第6回 多変数関数の連続_htm_m6983f82e.gif

【解】

(x,y)≠(0,0)で連続なのは明らか。

で、(0,0)での連続性を調べるケロ。
第6回 多変数関数の連続_htm_m30af2dcf.gifとすると、第6回 多変数関数の連続_htm_m5ad8b13.gif

さらに、

第6回 多変数関数の連続_htm_7f6b601c.gif

これで準備完了!!

siki5.png

で、ハサミ打ちの定理より、

第6回 多変数関数の連続_htm_m6ea40693.gif

よって、(0,0)で連続。


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第5回 極限の計算 [偏微分]

第5回 極限の計算例

 

問題のための問題を解く以外に、2変数関数の極限の計算を実際にすることはないと思うけれど、幾つかやってみますにゃ。

 

問題1 次の関数の極限を求めよ。

第5回 極限の計算例_htm_m5fe4e61f.gif

【解】
(1)極限値を推測しないことには始まらないので、x=ty=tとおいて、t→0とでもするにゃ。

第5回 極限の計算例_htm_23820f77.gif

になるので、たぶん、この極限は0に違いない。
第5回 極限の計算例_htm_22c2118c.gifとすると、

第5回 極限の計算例_htm_44e2186f.gif

第5回 極限の計算例_htm_224a430d.gif

となる。

よって、

第5回 極限の計算例_htm_459047a0.gif

①のところでハサミ打ちの定理を使っているよ。

(2)この問題は、微分積分の演習書にかならず掲載されている有名問題。

極限が存在すれば、近づき方によって値は変わらない。つまり、近づき方によって値が変わるとすれば、極限値が存在しない。

ということで、y=mxにそって(0,0)に近づくとする。x=ty=mtとして、極限があるとして、t→0の極限を求めてみよう。

第5回 極限の計算例_htm_1b51fdf7.gif

これはmの値によって変わるケロ。

m=0のとき(これはx軸にそって(0,0)に近くづくことと同じ)は0になり、m=1のときは1/2になる。

値が一つに定まらないので、問題の極限は存在しない、となるケロ。

 

 

問題2 次の極限を求めよ。
第5回 極限の計算例_htm_33ff503.gif

【解】

y=mxにそって(0,0)に近づくとする。

第5回 極限の計算例_htm_m6aa5d6d7.gif

だから、「ワーイ、0が極限だ」と大喜びすると、地獄を見る(^^
第5回 極限の計算例_htm_238ded8e.gifにそって(0,0)に近づくとする。つまり、

第5回 極限の計算例_htm_m13bd737c.gif

とおく。
すると、

第5回 極限の計算例_htm_m678ae8c3.gif

y=mxという直線に沿って(0,0)に近づけば0になるけれど、第5回 極限の計算例_htm_238ded8e.gifという放物線に沿って(0,0)に近づくと、値が1/2になる。近づき方によって値が変わるので、この極限値は存在しない。



問題3 次の極限値を求めよ。

第5回 極限の計算例_htm_21138149.gif

【解】

(1)第5回 極限の計算例_htm_m127afe55.gif第5回 極限の計算例_htm_m13fb8497.gifを使いまして、

第5回 極限の計算例_htm_m1673371d.gif

(2)は

第5回 極限の計算例_htm_c60b675.gif

ということで、

第5回 極限の計算例_htm_m60e9ecf2.gif



意地悪問題を最後に一つ。
大学の数学の先生でさえ間違える(?)という難問(?)だケロ。

「微積分の演習(理系の大学生向けの本です)」で間違った答えを書いてあるとか・・・。


 

問題4 次の極限を求めよ。

第5回 極限の計算例_htm_6dc7ad9.gif

【解1(?)】

y=mx(0,0)に近づくとすると、

第5回 極限の計算例_htm_318ddbb6.gif

よって、
第5回 極限の計算例_htm_m74760cc7.gif


【解2(?)】
x=rcosθ
y=rsinθ(r>0)とすると

第5回 極限の計算例_htm_m6f708d66.gif

そして、r→+0にすると、

第5回 極限の計算例_htm_m61be6b55.gif


さて、これは正しいだろうか?


今回やった内容は、今、分からなくてもいいにゃ。
からなくても悲観するには及ばない。
そのうち、何気なく分かって分かってくると思いますので。
分からなくても構わないな。
今回やっている偏微分でやりたいのは、理論的な部分よりも具体的な計算であって、具体的な関数の偏微分の計算は、1変数の微分の計算ができれば、小学生でも機械的に計算できるんで。


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第4回 極限の公式 [偏微分]

第4回 多変数関数の極限の公式など

 

1変数関数の極限の公式と基本的には同じ。

第4回 極限の公式など_htm_m1d208eb7.gif

のとき、

第4回 極限の公式など_htm_m3cd4c7bb.gif

になる。

基本的に証明は1変数の場合と同じなので、一番上の公式だけ証明するにゃ。

第4回 極限の公式など_htm_m1d70e3d7.gif

となるから、

第4回 極限の公式など_htm_m65120c5e.gif

とすると、
第4回 極限の公式など_htm_2ecb7a11.gif

となり、

第4回 極限の公式など_htm_m2b0b4fa3.gif

 

で、定理を2つほど紹介するにゃ。

 

定理
(a,b)の近傍の点(x,y)≠(a,b)
f(x,y)≦g(x,y)
が成り立ち、さらに
第4回 極限の公式など_htm_m662a169.gif
であるならば、
α≦β

である。

 


この定理は明らかなので、証明は不要のように思うけれど・・・。

明らかな奴の証明は、大体、背理法を使うといいので、α>βと仮定するにゃ。


すると、極限の定義から、任意の正の数εに対して

第4回 極限の公式など_htm_m5437324a.gif
となる正の数δが存在する。
すると、

第4回 極限の公式など_htm_m57f70d46.gif
となる。

εは任意の正の数なので、

第4回 極限の公式など_htm_m5a901076.gif

というあたいを選ぶことにして、このことより、

第4回 極限の公式など_htm_m168c37c7.gif

それで、

第4回 極限の公式など_htm_m4d7b9587.gif

になるので、

第4回 極限の公式など_htm_610001d8.gif

だケロ。よって、

第4回 極限の公式など_htm_m78825756.gif

になる。

だから、

第4回 極限の公式など_htm_m44008e4a.gif

となり、 f(x,y)≦g(x,y)という仮定に反する。

よって、

α≦β


定理(ハサミ打ちの定理)
(a,b)の近傍上の点(x,y)≠(a,b)について
第4回 極限の公式など_htm_4a399bba.gif
が成り立ち、
第4回 極限の公式など_htm_m4987e7e1.gif
ならば、
第4回 極限の公式など_htm_m14acb13d.gif

である。

 

これは、

第4回 極限の公式など_htm_m480e63b0.gif

とする。
そうすると、

第4回 極限の公式など_htm_m79adbfa3.gif

ならば、

第4回 極限の公式など_htm_6b500513.gif

と同じだケロ。

で、

第4回 極限の公式など_htm_m37332be7.gif

と仮定すると、

0≦h(x,y)より0≦β、そして、h(x,y)≦g(x,y)より、β≦0となり、これからβ=0になるケロ(?)。

 

これが証明になっているかというと、ちょっと微妙なんだケロ(^^

これは、極限値が存在すれば0以外ありえないという証明で、極限値が存在することを証明していないんで・・・。

「明らか」の一言で逃げることにしよう。


で、このハサミ打ちの定理を使うと、

第4回 極限の公式など_htm_m36106cb2.gif

の証明は簡単にできるかもしれない。

第4回 極限の公式など_htm_m6bb386b6.gif

かりに、

第4回 極限の公式など_htm_m62ef4120.gif

とすると、

第4回 極限の公式など_htm_67c03da2.gif

(x,y)→(a,b)ならば、|y-b|→0になる。
かえって、難しくしている気もするので、

(x,y)→(a,b)ならば、|x-a|→0|y-b|→0を使ったほうがいいのかもしれないにゃ(^^)


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第3回 多変数関数の極限 [偏微分]



第3回 多変数関数の極限


わかりやすいように2変数関数の場合について説明しますが、独立変数が3個であろうが、より高次元のn次元であろうが基本的には同じですにゃ。

一般のn次元の場合は、点と点の距離は

  

になり、n=2のとき、2次元のとき

  

に変わるだけだにゃ。

さらに、特に関数の定義域を明示しないとき、が定義域だと思って欲しいにゃ。いちいち、定義域を明示するのは、冗漫な上に面倒なんで(^^
また、

  

といったような関数の場合は、原点O(0,0)は定義域から除外される考えて欲しいにゃ。この関数の定義域をDとするとき、とか、と書くの面倒。


また、扱う関数は、
  

つまり、2次元座標平面から実数への関数、実数値をとる関数ね。



2変数関数の極限の定義

関数f(x,y)は点a=(a,b)の近傍で定義される関数とする。任意の正の数εに対して、ある正の数δが存在して

  

をみたす任意のx=(x,y)に対して
  

になるとき、f(x,y)は点(x,y)αに収束するといい、

  


  

と表記する。

このδは一般にεによって決まる(?)、定まる(?)ので、δ(ε)と書くこともある。δ(ε)と関数ライクに書くけれど、これはεの関数じゃないので、注意が必要にゃ。


このあたりは流儀なんで、ねこ騙し数学では、δと書くことにする。


例 次の関数

  

とする。このとき、

  

を求めよ。


これが0になるのは明らかだけど、これを2変数関数の極限の定義から0であることを示すのは、結構、難しい。


できますかい?

定義に従うと、任意のε>0に対して
  
ならば
  
となるように、正の数δを決めればいい。


まず、じっと見る。
  

に気づく。

これより、

  

,さらに
  

とすると、⑨より

  
ということで、

  

であるから、

  

とすれば、

  

になるんだにゃ。


これは、あくまで、一例。δをかならずこのように取らなければならないというわけではない。



1変数関数の場合と違って、2変数関数の場合は、結構、面倒なんだケロ。

たとえば、f(x,y)=x+yのとき

  

を、ε−δ論法を使って証明するなんて、ネコにはちょっとできないにゃ(^^

第2回 ユークリッド空間の位相の続き [偏微分]

第2回 ユークリッド空間の位相の続き


開集合と閉集合

A
を空でないの部分集合とする。


(1)点a=(a,b)∈Aに対して、

  

となるδ>0が存在するとき、(a,b)A内点という。Aの内点の全てをAの内部といい、記号で表す。


(2)Aの全ての点がAの内点であるとき、A開集合という。つまり、

  

(3)点に対して

  

となるδ>0が存在するとき、(x,y)A外点という。Aの外点全体の集合をA外部といい、記号と表す。
(4)Aの内点でも外点でもないとき、つまり、任意のε>0に対して
  

が成り立つとき、(x,y)A境界点という。また、Aの境界点全体の集合を∂Aで表し、A境界という。

(5)点x=(x,y)Aの内点、または、境界点であるとき、つまり、任意のε>0に対して

  
が成り立つとき、(x,y)A触点という。Aの触点全体の集合をと書き、A閉包という。

(6)が成り立つとき、Aを閉集合という。
(7)Aが有界、かつ、閉集合であるとき、Aは有界閉集合、または、コンパクトである、という。

このあたりの話は、より一般的なものを既にしているのですが、あらためて書いたにゃ。


なんか難しいことを書いているようですが、たとえば、原点を中心とする半径1の円の内部、

  

を考えるケロ。

a=(a,b)∈Aとすると、

このとき、

  

とすると、

  

になり、(a,b)Aの内点になる。
ちょっと大袈裟だけれど、三角不等式より、
  
となるので、
  
となることが分かるにゃ。
また、これはAの任意の点について成り立つので、Aは開集合。そして、

  

も成り立つ。
で、

  

だし、

Aの閉包は

  

になる。つまり、

  

で、Aの外部は

  

つまり、

  

になる。

ずっと前に、x∈Rで連続な関数f(x)があって、

  

  

は開集合、そして、

  

は閉集合だということをやったにゃ。ε−δ論法を使って証明したにゃ。
C
ABの境界になっていることはほとんど明らかだろ。


でだ、これを使うと

  

  

が、それぞれ、ABの閉包になっていること、そして、閉集合であることはわかると思うにゃ。


続きを読む


第1回 ユークリッド空間の位相 [偏微分]

第1回 ユークリッド空間の位相


二次元平面、原点を始点、終点(x,y)とするベクトル(位置ベクトル)をx=(x,y)とする。すると、2点の距離

  

になる。

で、

  

と定義することにする。
すると、三角不等式
  
が成り立つ。



そして、あらためてaε近傍をつぎのように定義する。

定義
ε>0
と座標平面上の点a=(a,b)に対して

  

を点(a,b)ε近傍という。

何やら難しいことをいっているようですが、これは実は点(a,b)を中心とする半径ε>0の内部

  

のこと。
図形的に明らかだと思うけれど、外部は
  

で、内部と外部の境界は

  
となる。

点列の収束・極限
平面上の点列と点a=(a,b)が、任意のε>0に対して、あるN(ε)が存在して、n≧N(ε)を満たす任意の自然数nについて
  
を満たすとき点列aに収束するといい、

  

または

  

と書く。
図形的にいうと、点(a,b)を中心とする半径εの円の内部にn≧N(ε)の点はすべて収まるということ。そして、n≧N(ε)に対して

  

ということ。

また、ほとんど明らかだけれど、これは、

  

と同じこと、同値である。

何故ならば、n→∞のとき
  
ならば、
  

より、

  

になるし、

逆に、n→∞のときは
  
のとき、

  

だから、
 
になるというわけ。

ε-δ
論法を使って証明してもいいけれど、ε-δ論法の証明は別のところでやったので、直観的にわかりやすいこの方法で。

有界集合
の部分集合Aが、あるR>0に対して

  

であるとき、Aを有界集合という。

例えば、
  
これは原点を中心とする半径1のとその内部だけれど、これはたとえばR=2とすれば、原点を中心とする半径2の円の内部にすっぽり収まる。だから、Aは有界となる。R=2にしたけれど、これは別にR=1.1でもR=3R=100であっても構わない。



問題

  

は有界集合か?
【解】
有界ではない。
  

となるケロ。

このことから、
  

となり、どんなに大きなRを与えても、それより大きなxが存在するので、これは有界ではない。

続き


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