第10回 全微分の続き [偏微分]
第10回 全微分の続き
今回する話は、まったく分からなくても、まったく問題なし。何か具体的な関数を偏微分するとき、こんなもの使いやしない。こんな細かいことを気にする必要はないケロ。
全微分の定義
領域D上で定義された関数f(x,y)がDの全ての点で全微分可能であるとき、fは全微分可能であるといい、
をf(x,y)の全微分という。
一点(a,b)で全微分可能か、関数が定義されている定義域Dのすべての点で全微分可能か、この違いだケロ。ちなみに、
のことだにゃ。
そして、
のことだにゃ。
で、これは何を言っているかというと、
とからすこしだけ離れた点(x,y)でのf(x,y)の値を一次式で近似できるということ。
一変数の場合は、
と接線で近似できるけれど、2変数の場合は、接平面で近似できるというわけだケロ。
ということで、天下り的に,接平面の定義(^^ゞ
接平面の定義
関数f(x,y)が点(a,b)で全微分可能とする。このとき、
をz=f(x,y)の(a,b,f(a,b))における接平面という。
2次元から急に3次元の話になっているので申し訳ないんですが・・・。
で、ちょっと問題をひとつ。
【解】
になる。
とhとkの前のやつが定数になっているんだから、これは文句なく全微分可能だろ。
そして、ここでさり気なくhとyをdxとdyにすり替え、
とすれば、
になっているケロ。
でも、こんな答をテストの答案に書いたら、大学の先生は怒るかもしれない(^^ゞ
そこで、次の定理を上げることするにゃ。
定理
級というのは、定義域内の全ての点で(偏)微分可能で、その(偏)導関数が連続な関数のことね。
【証明】
証明すべきことは、
とするとき、
になることだにゃ。
そこで、
平均値の定理より
よって、
となる。
ここで、
よって、
よって、
みたいな証明。
普通の多変数の微分・積分で扱う関数は級や、何度でも(偏)微分できて、その偏導関数が連続な級とかだから、よほど変な関数でもないかぎり、全微分可能なんだケロ。
問題として取り上げた
だから、細かいところを気にすることなく、おおらかに行こう!!
何か変なことが起きたら、そのとき、細かいところを気にすればいいんだケロ.
そして、さり気なく定理をもうひとつ付け加える。
定理
級ならば、全微分可能。そして、全微分可能ならば、連続。よって、この定理が成立するにゃ。
第9回 全微分の定義 [偏微分]
第9回 全微分の定義
一変数の微分(係数)を思い出して欲しいにゃ。微分係数の定義は
だったにゃ。
でも、これは、正確なことを言うと、微分係数の定義であって、微分の定義ではないんだケロ。
微分の定義は
となる定数Aが存在するとき、fはx=aで微分可能という、
というのが微分の定義なんだケロ。
そして、これから
となり、
となるんだにゃ。
であるならば、これを2変数に拡張したいと考えるのが人情だにゃ。
そして、2変数関数の拡張すると
となる定数A、Bが存在するとき、fは(a,b)で微分可能というとなるのであろう。
k=0のとき、
h=0のとき
となることがわかるにゃ。
試しに、k=0のときは
となるにゃ。
こういうのを微分可能、全微分可能と言うんだケロ。
そして、点(a,b)で全微分可能なとき、xに関しても、yに関して偏微分可能であることがわかるケロ。
そして、
になるので、
となって、全微分可能な点(a,b)でfは連続になる。
一変数関数のとき、fが点x=aで微分可能ならば、fはx=aで連続というのをやったと思うにゃ。念のために
ということで、全微分というのが一変数の微分の自然な拡張になっていることがわかると思うにゃ。
以上のことをまとめると、
f(x,y)が点(a,b)で全微分可能なとき、点(a,b)において連続で、
となる。
みたいに書くんだケロ。
これはと近似できることを表しているんだにゃ。
で、問題をひとつ。
問題 次の関数は,点(0,0)で全微分可能ケロか?
【解】
(0,0)で全微分可能であれば、f(x,y)は点(0,0)で連続。
でも、(0,0)で連続でないから、全微分可能でない。
たぶん、何処かでやったと思うけれど、この関数は(0,0)で連続ではない。
たとえば、x=y=tとして、t→0とすれば、(x,y)→(0,0)になるけれど、
となり、このとき、
になる。
だから、fは点(0,0)で連続でないんだケロ。
さらに、
というのを何処かでやったと思うけれど、
点(0,0)で偏微分可能だから、(0,0)で連続というわけでもない。
今、全微分の有り難みが分からなくても、そのうちにこの有り難みがよくわかるようになるケロ。
第8回 偏導関数 [偏微分]
第8回 偏導関数
偏導関数の定義
領域D上で定義された関数f(x,y)がD上の全ての点で偏微分可能なとき、関数f(x,y)は偏微分可能であるという。また、
を偏導関数という。
z=f(x,y)の偏導関数の表記法は
「∂」は一般的に「デル」と呼びますが、人によっては「ラウンド・ディー」と呼んだりもするケロ。
偏微分の計算の元になるのは一変数の微分公式だから、
くらいは思い出してもらわないといけないにゃ。
で、xでf(x,y)を偏微分するとき、yは定数と考えて微分すればいいだケロ。
たとえば、
そして、
何故ならば、xで偏微分するとき、yは一定で値が変化しないからだにゃ。
となる。
同様に、yで偏微分するときは、xを定数と考えてyで微分すればいい。
すると、
になるところだけを注意して欲しいにゃ。
そして、こういう計算は暗算で出すものだケロ。
問題 次の関数の偏導関数を求めるケロ。
これは2変数関数なんだけれど、(1)はu=x+yとすると、g(u)=sin(u)という1変数関数(?)になっているケロ。こいう偏微分はちょっとテクニックが必要なんだケロ。
こういうタイプの偏微分は
1変数の合成関数の微分
同様に、
もちろん、三角関数の加法定理を使ってもよい。
当然のことながら、計算結果は同じになるケロ。
(2)は
ですが、とりあえず、
【問題】
という計算ができれば、現時点では十分にゃ。
そして、このことから、次の偏微分方程式を導くことが出来るケロ。
問題の(1)と(2)はこの偏微分方程式の解の一つになっているのであった。
第7回 偏微分の定義とその(簡単な)計算法 [偏微分]
第7回 偏微分の定義とその(簡単な)計算法
いよいよ多変数関数の微分、偏微分ですにゃ。今までやってきたことは、このための準備ですにゃ。
まずは、偏微分可能の定義から。
偏微分可能の定義
点(a,b)の近傍で定義された関数f(x,y)に対して、極限
が存在するとき、f(x,y)は点(a,b)でxに関して偏微分可能であるといい、
を点(a,b)におけるf(x,y)のxにおける偏微分係数という。
同様に、
が存在するとき、f(x,yは点(a,b)でyに関して偏微分可能であるといい、
を点(a,b)におけるf(x,y)のyにおける偏微分係数という。
こういうのは、具体的な例を上げるのが一番わかり易い。
例1
の点(2,1)におけるxとyの偏微分係数を求めてみるにゃ。
定義に従うと、
だから、
同様に、
だから、
例2
の点(a,b)におけるxとyに関する偏微分係数を求めるにゃ。
で、h→0の極限を取ると、
となる。
で、k→0の極限を取ると、
となる。
結果をまとめると、
となる。
しかし、いちいち、こういうふうに定義から計算したら面倒でしょうがない。
実は、簡単に計算出来るんだケロ。
xに関する偏微分係数を求めるとき、y=bとする。
例2の場合だと
そうすると、xの一変数関数g(x)になるんで、これをxで微分する。
そうすると、
になり、
yに関する微分係数は、x=aと固定すると、
になる。これをyで微分すると、
となり、
となる。
そうすると、
そして、こうした計算に慣れてくると、
だから、
と暗算で計算できるようになる。
ただし、こうした手法がいつも可能というわけではない。特に、偏微分可能性を問うような、いやらしい問題では、こういう手法は通用しないケロ。
例3 次の関数の点(0,0)における偏微分可能性を調べるケロ!!
これを次のようにしてやると、地獄を見るんだにゃ。
であるから、
となり、(0,0)で偏微分可能でない。
なんてことをやってはいけない。
こいう問題は、定義に従ってやるのが原則なんだにゃ。
定義に従うと、
計算はしないけれど、定義に従って計算すると、
となり、(0,0)で偏微分可能なんだケロ。
(x,y)≠(0,0)では、確かに
になるけれど、(0,0)で連続でないから、x=y=0として計算してはいけない!!第6回 多変数関数の連続 [偏微分]
第6回 多変数関数の連続
2変数関数の連続の定義
f(x,y)をの部分集合D上の関数、a=(a,b)∈Dとする。
任意の正の数εに対して、ある正の数δが存在し、
を満たす全てのx=(x,y)について
であるとき、f(x,y)は(a,b)で連続であるといい、
と表す。
極限の定義と連続の定義の違いがわかるケロか?
極限の定義は
であるのに対して、
連続の定義は
とちょっとだけ違う。
関数の連続の場合、点(a,b)で関数fは定義されていて、f(a,b)という値を持つけれど、極限の場合、(a,b)で関数fが定義されていない。ここが違うんだにゃ。連続の場合、極限の
から「0<」の部分がとれているのは、このため。
微妙な違いだけれど、ここが違うんだケロ。
で、fとgを(a,b)で連続な関数、λ、μを実数とするとき、
が成り立つ。
このあたりの話も1変数の連続の場合と同じ。
証明は1変数の時の関数の連続を見てもらって、xやaをxやaに、そして、1変数の時は
だったのを
に変えれば、あの証明をそのまま流用できる。
絶対値も距離だし、1次元の点もn次元の点も点であることには変わりがない。1次元、2次元、・・・、n次元と分けて考える必要がそもそもないんだケロ。
これまでに、何でしつこいくらいに距離に関する話をしてきたかというと、このためだケロ。
なのだけれど、一番上の公式だけを証明するにゃ。
λ=0、μ=0のときは、f(x,y)、g(x,y)の値に限らず、
になるので、連続。
何故ならば、λ=μ=0のとき、任意の正の数εに対して
だから、λとμがともにゼロでない時を考えるにゃ。
f(x,y)は(a,b)で連続なので、
同様に
が成立する。
で、
という例の「お呪い」を唱える。
そうすると、
となる。
上級者向けの証明は、
(^^ゞ
見た目はすこし違うけれど、中身は同じだにゃ。
で、この証明を見ると、
のところ、
でしか2次元を使っていない。
―――表記上、2次元としているだけ―――
とすれば、3次元の証明になる。
―――3次元ならば、f(x,y,z)、g(x,y,z)などとすればよい。
そして、
とすれば、n次元のユークリッド空間の証明になるし、n=1ならば、1変数関数の連続の証明になっている。
(位置)ベクトルを表す太字の斜体字にすることも面倒なので、
として、
としてもいいにゃ。
では、問題を幾つか、解いてみますかにゃ。
問題1 次の関数の連続性を調べよ。
【解】
(x,y)≠(0,0)で連続なのは明らか。
とするにゃ。
で、
|sin(t)|≦1だから、
そして、
だから、ハサミ打ちの定理より
となり、(0,0)で連続。
問題2 次の関数の連続性を調べよ。
【解】
(x,y)≠(0,0)で連続なのは明らか。
なので、(0,0)での連続性を調べるケロ。
連続ならば、
にならなければならないのに、これは矛盾。
よって、(0,0)で連続でないにゃ。
問題3 次の関数の連続性を調べるケロ。
【解】
(x,y)≠(0,0)で連続なのは明らか。
さらに、
これで準備完了!!
で、ハサミ打ちの定理より、
よって、(0,0)で連続。
第5回 極限の計算 [偏微分]
第5回 極限の計算例
問題のための問題を解く以外に、2変数関数の極限の計算を実際にすることはないと思うけれど、幾つかやってみますにゃ。
問題1 次の関数の極限を求めよ。
【解】
(1)極限値を推測しないことには始まらないので、x=t、y=tとおいて、t→0とでもするにゃ。
となる。
よって、
①のところでハサミ打ちの定理を使っているよ。
(2)この問題は、微分積分の演習書にかならず掲載されている有名問題。
極限が存在すれば、近づき方によって値は変わらない。つまり、近づき方によって値が変わるとすれば、極限値が存在しない。
ということで、y=mxにそって(0,0)に近づくとする。x=t、y=mtとして、極限があるとして、t→0の極限を求めてみよう。
これはmの値によって変わるケロ。
m=0のとき(これはx軸にそって(0,0)に近くづくことと同じ)は0になり、m=1のときは1/2になる。
値が一つに定まらないので、問題の極限は存在しない、となるケロ。
【解】
y=mxにそって(0,0)に近づくとする。
だから、「ワーイ、0が極限だ」と大喜びすると、地獄を見る(^^ゞ
にそって(0,0)に近づくとする。つまり、
とおく。
すると、
y=mxという直線に沿って(0,0)に近づけば0になるけれど、という放物線に沿って(0,0)に近づくと、値が1/2になる。近づき方によって値が変わるので、この極限値は存在しない。
問題3 次の極限値を求めよ。
【解】
(2)は
ということで、
意地悪問題を最後に一つ。
大学の数学の先生でさえ間違える(?)という難問(?)だケロ。
「微積分の演習(理系の大学生向けの本です)」で間違った答えを書いてあるとか・・・。
問題4 次の極限を求めよ。
【解1(?)】
y=mxで(0,0)に近づくとすると、
【解2(?)】
x=rcosθ、y=rsinθ(r>0)とすると
そして、r→+0にすると、
さて、これは正しいだろうか?
今回やった内容は、今、分からなくてもいいにゃ。
からなくても悲観するには及ばない。
そのうち、何気なく分かって分かってくると思いますので。
分からなくても構わないな。
今回やっている偏微分でやりたいのは、理論的な部分よりも具体的な計算であって、具体的な関数の偏微分の計算は、1変数の微分の計算ができれば、小学生でも機械的に計算できるんで。
第4回 極限の公式 [偏微分]
第4回 多変数関数の極限の公式など
のとき、
になる。
基本的に証明は1変数の場合と同じなので、一番上の公式だけ証明するにゃ。
となるから、
となり、
で、定理を2つほど紹介するにゃ。
定理
点(a,b)の近傍の点(x,y)≠(a,b)で
f(x,y)≦g(x,y)
が成り立ち、さらに
であるならば、
α≦βである。
この定理は明らかなので、証明は不要のように思うけれど・・・。
明らかな奴の証明は、大体、背理法を使うといいので、α>βと仮定するにゃ。
すると、極限の定義から、任意の正の数εに対して
εは任意の正の数なので、
というあたいを選ぶことにして、このことより、
それで、
になるので、
だケロ。よって、
になる。
だから、
となり、 f(x,y)≦g(x,y)という仮定に反する。
よって、
α≦β
定理(ハサミ打ちの定理)
点(a,b)の近傍上の点(x,y)≠(a,b)について
が成り立ち、
ならば、
である。
これは、
とする。
そうすると、
ならば、
と同じだケロ。
で、
と仮定すると、
0≦h(x,y)より0≦β、そして、h(x,y)≦g(x,y)より、β≦0となり、これからβ=0になるケロ(?)。
これが証明になっているかというと、ちょっと微妙なんだケロ(^^ゞ
これは、極限値が存在すれば0以外ありえないという証明で、極限値が存在することを証明していないんで・・・。
「明らか」の一言で逃げることにしよう。
で、このハサミ打ちの定理を使うと、
の証明は簡単にできるかもしれない。
かりに、
とすると、
(x,y)→(a,b)ならば、|y-b|→0になる。
かえって、難しくしている気もするので、
(x,y)→(a,b)ならば、|x-a|→0、|y-b|→0を使ったほうがいいのかもしれないにゃ(^^)
第3回 多変数関数の極限 [偏微分]
第3回 多変数関数の極限
わかりやすいように2変数関数の場合について説明しますが、独立変数が3個であろうが、より高次元のn次元であろうが基本的には同じですにゃ。
一般のn次元の場合は、点と点の距離は
になり、n=2のとき、2次元のとき
に変わるだけだにゃ。
さらに、特に関数の定義域を明示しないとき、が定義域だと思って欲しいにゃ。いちいち、定義域を明示するのは、冗漫な上に面倒なんで(^^ゞ
また、
といったような関数の場合は、原点O(0,0)は定義域から除外される考えて欲しいにゃ。この関数の定義域をDとするとき、とか、と書くの面倒。
また、扱う関数は、
2変数関数の極限の定義
関数f(x,y)は点a=(a,b)の近傍で定義される関数とする。任意の正の数εに対して、ある正の数δが存在して
をみたす任意のx=(x,y)に対して
や
と表記する。
このδは一般にεによって決まる(?)、定まる(?)ので、δ(ε)と書くこともある。δ(ε)と関数ライクに書くけれど、これはεの関数じゃないので、注意が必要にゃ。
このあたりは流儀なんで、ねこ騙し数学では、δと書くことにする。
例 次の関数
とする。このとき、
を求めよ。
これが0になるのは明らかだけど、これを2変数関数の極限の定義から0であることを示すのは、結構、難しい。
できますかい?
定義に従うと、任意のε>0に対して
ならば
となるように、正の数δを決めればいい。
まず、じっと見る。
これより、
で,さらに
ということで、
であるから、
とすれば、
になるんだにゃ。
これは、あくまで、一例。δをかならずこのように取らなければならないというわけではない。
1変数関数の場合と違って、2変数関数の場合は、結構、面倒なんだケロ。
たとえば、f(x,y)=x+yのときを、ε−δ論法を使って証明するなんて、ネコにはちょっとできないにゃ(^^ゞ
第2回 ユークリッド空間の位相の続き [偏微分]
第2回 ユークリッド空間の位相の続き
開集合と閉集合
Aを空でないの部分集合とする。
(1)点a=(a,b)∈Aに対して、
となるδ>0が存在するとき、(a,b)をAの内点という。Aの内点の全てをAの内部といい、記号やで表す。
(2)Aの全ての点がAの内点であるとき、Aを開集合という。つまり、
(3)点に対して
となるδ>0が存在するとき、(x,y)をAの外点という。Aの外点全体の集合をAの外部といい、記号と表す。
(4)がAの内点でも外点でもないとき、つまり、任意のε>0に対して
(5)点x=(x,y)がAの内点、または、境界点であるとき、つまり、任意のε>0に対して
が成り立つとき、(x,y)をAの触点という。Aの触点全体の集合をと書き、Aの閉包という。
(6)が成り立つとき、Aを閉集合という。
(7)Aが有界、かつ、閉集合であるとき、Aは有界閉集合、または、コンパクトである、という。
このあたりの話は、より一般的なものを既にしているのですが、あらためて書いたにゃ。
なんか難しいことを書いているようですが、たとえば、原点を中心とする半径1の円の内部、
を考えるケロ。
a=(a,b)∈Aとすると、このとき、
とすると、
になり、(a,b)はAの内点になる。
ちょっと大袈裟だけれど、三角不等式より、
となるので、
となることが分かるにゃ。
また、これはAの任意の点について成り立つので、Aは開集合。そして、
も成り立つ。
で、
だし、
Aの閉包はになる。つまり、
で、Aの外部は
つまり、
になる。
ずっと前に、x∈Rで連続な関数f(x)があって、
や
は開集合、そして、
は閉集合だということをやったにゃ。ε−δ論法を使って証明したにゃ。
CがAやBの境界になっていることはほとんど明らかだろ。
でだ、これを使うと
や
が、それぞれ、AとBの閉包になっていること、そして、閉集合であることはわかると思うにゃ。
第1回 ユークリッド空間の位相 [偏微分]
第1回 ユークリッド空間の位相
二次元平面、原点を始点、終点(x,y)とするベクトル(位置ベクトル)をx=(x,y)とする。すると、2点、の距離
になる。
で、
と定義することにする。
すると、三角不等式
が成り立つ。
そして、あらためてaのε近傍をつぎのように定義する。
定義
ε>0と座標平面上の点a=(a,b)に対して
を点(a,b)のε近傍という。
何やら難しいことをいっているようですが、これは実は点(a,b)を中心とする半径ε>0の内部
のこと。
図形的に明らかだと思うけれど、外部は
となる。
点列の収束・極限
平面上の点列と点a=(a,b)が、任意のε>0に対して、あるN(ε)が存在して、n≧N(ε)を満たす任意の自然数nについて
を満たすとき点列はaに収束するといい、
または
と書く。
図形的にいうと、点(a,b)を中心とする半径εの円の内部にn≧N(ε)の点はすべて収まるということ。そして、n≧N(ε)に対して
ということ。
また、ほとんど明らかだけれど、これは、と同じこと、同値である。
何故ならば、n→∞のとき
ならば、
になるし、
逆に、n→∞のときは
のとき、
だから、
になるというわけ。
ε-δ論法を使って証明してもいいけれど、ε-δ論法の証明は別のところでやったので、直観的にわかりやすいこの方法で。
有界集合
の部分集合Aが、あるR>0に対して
であるとき、Aを有界集合という。
例えば、
これは原点を中心とする半径1のとその内部だけれど、これはたとえばR=2とすれば、原点を中心とする半径2の円の内部にすっぽり収まる。だから、Aは有界となる。R=2にしたけれど、これは別にR=1.1でもR=3、R=100であっても構わない。
問題
は有界集合か?
【解】
有界ではない。
このことから、