ロンスキアンと2階線形非同次微分方程式の特殊解 [微分積分]
ロンスキアンと2階線形非同次微分方程式の特殊解
線形方程式
を非同次方程式、
を同次方程式という。
y₁、y₂を(2)の解であるとすると、その1次結合を
とすると、
となるので、も(2)の解になる。
また、ある定数c₁、c₂があって
であるとする――少なくとも、c₁=c₂=0が存在する――。
両辺を微分すると
よって、
行列で表すと
が成り立つ。
したがって、(ロンスキー)行列式
であるとき、行列の逆行列が存在し、
したがって、ロンスキーの行列式(ロンスキアンという)
が0でないならば、y₁、y₂は1次独立である。
以上のことから、次の定理が成り立つことがわかるだろう。
定理1
y₁、y₂が方程式(2)の解とする。
(ⅰ) その一次結合も解である。
(ⅱ) 方程式(2)の1次独立な解を基本解という。y₁、y₂が(2)の基本解である必要十分な条件はロンスキアン
であることである。
(ⅲ) y₁、y₂が(2)の基本解ならば、一般解はである。
例1 2階線形同次方程式
があるとすると、はこの微分方程式の解である。
また、
なので、はこの微分方程式の基本解であり、一般解は
例2 2階線形同次方程式
があるとすると、はこの微分方程式の解。
また、
したがって、はこの微分方程式の基本解。
よって、一般解は
【注意1】
をロンスキー行列(ロンスキアン)と呼ぶ場合がある。こちらの方が主流派!!
【注意2】
2階線形同次方程式の基本解は1つ(1組)ではない。
たとえば、
の場合、もこの微分方程式の解で、しかも、このロンスキアンなので、も基本解である。
定理2
非同次の2階線形方程式
とその同次方程式(余関数)を
とするとき、次のことが成り立つ。
(ⅰ) (1)の一般解=同次方程式(2)の一般解+(1)の特殊解
(ⅱ) y₁、y₂を同次方程式(2)の基本解、とするとき、
は(1)のⅰつの特殊解である。
したがって、に(3)を加えたものが同次方程式(1)の一般解である。
【証明】
(ⅰ) y₀を(1)の特殊解とすると
φを(2)の一般解とすると、
(ⅱ) この証明は問題にしますか(^^ゞ
(証明終)
問題 y₁、y₂を同次方程式の基本解、とするとき、
が非同次の方程式の(特殊)解であることを確かめよ。
として、これをの左辺に代入し、真面目にコツコツと、途中で計算を間違えることなく、計算すれば左辺はR(x)になる。
定数変化法を用いた(ⅱ)の証明
【解】
が非同次方程式の解になるようにu₁、u₂を定めることにする。
だから、
そこで、
となるようにu₁、u₂を定める。
の両辺をxで微分すると、
よって、
となり、φは非同次方程式
の解である。
①の連立方程式をについて解くと、
したがって、
よって、
(証明終)
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