第6回 関数の連続 [微分積分]
第6回 関数の連続
点aの近傍で定義されている関数f(x)が
であるとき、関数f(x)は点aで連続であるという。
すなわち、
f(x)が点aで連続であるとは、
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して、
であることである。
論理記号を用いて、より厳密に書くと、
したがって、f(x)が点aで連続でない、すなわち、不連続であるとは、(3)を否定すればよく、
すなわち、
ある正数εが存在して、任意の正数δに対して、
を満たすxが存在することである。
問1 x=0で次の関数f(x)は連続か。
【解】
任意のε>0に対して、δ=εとすると、
ならば
よって、f(x)はx=0で連続である。
(解答終)
【別解】
よって、(ハサミ打ちの定理より)のとき、
したがって、f(x)はx=0で連続である。
(別解終)
問2 x=0で次の関数f(x)は連続か。
【解】
とすると、
δ>0をどんなに小さくしても、
となるがに存在し、このとき
よって、f(x)はx=0で連続でない。
(解答終)
問題
(1) x=1/2でf(x)が連続であることを示せ。
(2) x=1/2以外の点xで、f(x)は連続か?
また、
であるとき、f(x)は点aで右連続であるという。
これをε−δ論法で表すと、
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して
が成り立つことである。
さらに、
であるとき、f(x)は点aで左連続という。
これをε−δ論法で表すと、
任意の正数εに対して、ある正数δが存在して
が成り立つことである。
定理1 (連続であるための必要十分条件)
関数f(x)が点aで連続である必要十分条件は、f(x)が点aで右連続かつ左連続であることである。
すなわち、
【証明】
f(x)が点aで連続であるとすると、任意の正数εに対して、ある正数δが存在して、
よって、
したがって、f(x)が点aで連続ならば、f(x)は点aで右連続かつ左連続である。
逆に、f(x)が点aで右連続、かつ、左連続であるとすると、
任意のε>0に対して、あるδ₁>0、δ₂>0があって、
したがって、
にとると、
また、x=aのとき、任意の正数εに対して
が成り立つので、
(証明終)
定理2
関数f(x)、g(x)が点aで連続、α、βを実数とすると、
も点aで連続である。
【証明】
基本的に関数の極限の公式の証明と同じなので、αf(x)+βg(x)が点aで連続であることだけを示す。
α=0、β=0のときは明らかなので、αとβがともに0でないとする。
任意の正数εに対し、
とおくと、ε'>0である。
f(x)、g(x)は点aで連続なので、任意の正数ε'に対して、あるδ₁>0、δ₂>0があって、
したがって、
とおくと、
任意のε>0に対して、δ>0があって、ならば、
よって、αf(x)+βg(x)は連続である。
(証明終)
定理3
関数f(x)が点aで連続でf(a)≠0ならば、点aの近傍でf(x)とf(a)は同符号である。
【証明】
(ⅰ) f(a)>0の場合
f(x)は点aで連続なので、
任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して、
ε>0は任意なので、とし、これに応じてδ>0を定めると、であるすべてのxについて
(ⅱ) f(a)<0の場合
をとし、δ>0を定めると、であるすべてのxについて
よって、証明された。
(証明終)
f(a)<0の場合は、(ⅰ)の結果を使い、次のように証明してもよいでしょう。
(ⅱ’) f(a)<0の場合
f(x)は点aで連続なのでg(x)=−f(x)も点aで連続で、g(a)=−f(a)>0。
よって、(ⅰ)より、g(x)は点aの近傍でg(x)>0。
したがって、f(x)は点aの近傍でf(x)=−g(x)<0である。
定理3は、色々な局面で使用する重要な定理なので、覚えておいたほうがよい。
問題の解答例
問題
(1) x=1/2でf(x)が連続であることを示せ。
(2) x=1/2以外の点xで、f(x)は連続か?
【解】
(1) xが無理数のとき
xが有理数のとき
したがって、xが無理数、有理数であっても
よって、任意のε>0に対して、δ=ε>0をとれば、
が成立するので、f(x)は点x=1/2で連続である。
(2) 点x=1/2以外の点xでf(x)は連続でない、つまり、不連続である。
(解答終)
【(1)の別解】
という関数を導入すると、
さらに、
よって、ハサミ打ちの定理より
したがって、f(x)は点x=1/2で連続。
(別解終)
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