お前らに質問(5月20日、21日)の解答と対数関数、指数関数の微分に関する話 [お前らに質問]
問題2 次の不等式を証明せよ。
とすると、
よって、f'(1)=0、f''(1)>0となり、x=1のとき、f(x)は極小で最小。
したがって、
1/x>0だから、
(解答終)
y=log xとおいたとき、y''>0だから、y=log xは上に凸。そして、y=x−1はx=1におけるy=log xの接線だから、y=x−1はy=log xの下側にはない(下図参照)。「よって、x−1≧log x」という解答もありなんでしょう。
問題
と定義する。
x>0、y>0のとき、次のことが成り立つことを示せ。
【解答例】
(1)
(2)
t=xsとおくと、t=xにはs=1/x、t=xyにはs=yが対応し、dt=xdsだから、置換積分より
よって、
(3)
(4)
(解答終)
n、mを正の整数とすると、
(1)から
以下同様に、
また、
したがって、
ゆえに、正の有理数にqに対して、
さらにここから拡張ができて・・・。
このように、対数関数の性質も
という定義から芋づる式に出てくるにゃ。
積分関数は被積分関数の連続性を引き継ぐから、
がなりたつことは言わずもがな。
――問題2の不等式を用いて、「お前らに質問(5月20日)」にあるように、直接証明することも可能。問題2の解答では微分を使って不等式を証明したが、微分を使わず、1/xの積分から不等式を導くことだってできる。――
しかも、微積分の基本定理から自然と
も出てくる。
というわけで、
そもそも、
を出発点に指数関数、その逆関数である対数関数を構成する必要なんてないんだケロ。
さらに、
1/xはx>0で狭義単調増加関数だから、log xも狭義単調増加関数となり、逆関数が存在する。
y=logxとおいたとき、その逆関数
と定義すれば、
逆関数の微分公式
より、
となる。
つまり、
したがって、指数関数は何度でも微分が可能で、
よって、次のマクローリン級数が得られ
これから
という関係式が得られる。
――(3)は(2)の証明で出てくる!!――
だから、(2)を微分積分から追放しても何にも困らないにゃ。
なのに、(2)から始めるから、指数関数、対数関数の極限や連続の扱いに困るんだケロよ。
x=1のとき等号が成立するのは明らか。
1<xとする。
1<t<xである任意のtに関して、
0<x<tの場合、x<t<1である任意のtに対して
となるので、
よって、
(別解終)
問題2の時と同様に、
0<x<1の場合、xの逆数をとると、
となるので、
としてもよいだろう。
対数関数の定義を
とし、この解答によって得られた不等式
を用いることにより、
であることは次のように証明されるに違いない。
x/a>0だから、
不等式(4)より
が成立し、
よって、ハサミ打ちの定理より、
ddt^3です。
そう言えばこういう事柄は、昔はどう考えてたんだろうか?と、ノートを引っ張り出しました。そうしたら、
「微分にも、その一般的性質を扱った基礎理論は当然ある。しかしその基礎理論をやろうとする段階で既に、初等関数が必須の計算道具として必要になってくる」
・・・なぁ~んて、偉そうに書いてありました(^^;)。その後やった事は、基本的にはネコ先生と同じです。もっと大雑把でしたけど(^^)。
by ddtddtddt (2019-05-22 18:13)
こんばんは。
そのノートは、ddt³さんご自身が自分のために作ったものですよね〜。
まさか、大学でうけた数学の講義のノートなんてことはないですよね。
私の場合、実家のどこかに、大学で受講した数学のノートが幾つか残っているはずです。
なのですが、
実家に預けておいたものは本を含めてほとんどすべて、邪魔臭いということで、ネムネコ母に焼かれたり捨てられてしまいましたからね〜。
大学時代に集めたクラシックのアナログディスクは、知らない間にすべて消えていたし・・・。
by nemurineko (2019-05-22 21:23)
>まさか、大学でうけた数学の講義のノートなんてことはないですよね。
はい、ないです。教養レベルでそんな事言い出すわけないし、実際に数学科の講義を受けたけれど、「そのような事は既に済んだ事」として取り扱われる傾向にあるので、数学科でもそういう話はあまり出ない気がする。
ノートの方針はこうでした。指数関数y=a^xを、次のように定義します。
まず任意の実数a>0,0でない任意の整数m,任意の整数nに対して、y=a^(n/m)を、
y^m=a^n (1)
の正の解として定義する。(1)の解の存在と一意性は、g(x)=x^mの連続性と中間値の定理に帰着するだろうという目論見です。面倒くさがってやってませんでしたが(^^;)、x^mの連続性は四則演算だけで可能だろうと。
y=a^(n/m)が定義できるなら任意の有理数qに対し、写像q→a^qを考えられる。実数体Rは分離位相であり、有理数全体QはRの密集合なので、等式延長の原理より、Qでy=a^qに一致するRで連続な関数fは存在すればただ一つ。
Rは正則分離位相でもあるので、極限延長定理よりfが存在する条件は、qが実数xに近づいた時、f(q)が極限を持つこと。これもg(x)=x^mの連続性に帰着できるだろう。ただし面倒がってやっておりません(^^;)。
さらにf(x)=a^xは狭義単調増加のはず。それも(1)の関係を利用すれば、x^mの連続性に帰着するだろう。でもやっていない(^^;)。
狭義単調増加で連続であれば、逆関数があり両側連続。これはさすがにやってた(^^)。連続な逆関数があるので、それがlogだと・・・。
以上の裏の意図はけっきょく、四則演算にまで落とし込んで証明しなければ本当の証明にはなっていない、という問題意識です。グラフの刷り込みによる証明はやっぱり不備だと思っていました。もっとも、殺意は持ってなかったようですが・・・(^^)。
by ddtddtddt (2019-05-23 07:22)