さて、問題です、と、その答 [お前らに質問]
回転するプロペラのまわりに発生している泡の正体はなんでしょうか?
なぜ、こんな泡が発生するのでしょうか?
問題の答
プロペラのまわりに発生している泡の正体は、水蒸気です。
重力の影響を無視し、水の密度ρ、静止している水の圧力をP₀、プロペラまわりのすぐそばの水の速さと圧力をv、Pとすると、ベルヌーイの式(力学的なエネルギー保存則です)から、
という関係が成立するので、
となる。
だから、プロペラ周辺の水の速さvが大きくなればなるほどプロペラの周辺の水の圧力は低下する。そして、この圧力Pが水の飽和蒸気圧より小さくなると、プロペラまわりの水の一部が蒸発し水蒸気になるんだケロ。そして、この小さな泡ができる。
というわけで、
という条件を満たすとき、プロペラ周辺の水の一部が水蒸気になり、このような気泡、キャビティー(Cavity)が発生する。そして、この現象をキャビテーション(Cavitation)という。
をキャビテーション係数というが、このキャビテーション係数が1より小さいとき、キャビテーションが発生する。
さらに、プロペラが回転する速度を大きくすると、この気泡、キャビティーがプロペラ(の片側)全面をすっぽりと覆うようになる。この現象をスーパーキャビテーションという。
そして、驚くことなかれ、水の中で超高速移動する物体は、このスーパーキャビテーションで、液体の水ではなく、水蒸気にすっぽりと覆われるんだケロ。
液体の水よりも、気体の水蒸気の方が抵抗が小さいので、より高速移動が可能になる。
この原理を利用した兵器すら既に実在するにゃ。
英語の動画なのでわからないというヒトは、ウィキペディアの次の記事を。
シクヴァル
キャビテーションによって発生した小さな泡、これ、これはただの泡と思わないほうがいい。水蒸気から形成される気泡、キャビティーの中の小さなヤツは、ものすごく硬い鋼の小さな球みたいなもの。だから、この、ものすごく小さなキャビティーがプロペラに衝突すると、破壊、侵食するにゃ。この現象をキャビテーション壊食(エロージョン)という。プロペラのみではなく、ポンプ、配管などを破壊し、事故につながったりしている。現に、過去に起きた日本のH2ロケットの打ち上げ失敗はこのキャビテーションが原因である。
ところで、「ふしぎの海のナディア」というアニメがある。ここには、失われたアトランティスの超古代文明の技術でつくられたノーチラス号という超ハイテクな潜水艦が登場する。この潜水艦はかなり高速で移動できるはずだから、船体のまわりではキャビテーションが起きていると考えられるにゃ。ひょっとしたら、スーパーキャビテーションを利用した、新しいコンセプトの潜水艦なのかもしれないね。
厨ニ病ではないんだにゃ、ネムネコとこのブログは。
コメント 0