光の波動性と粒子性 [ねこ騙し物理]
光の波動性と粒子性
右図に示すように、幅の狭い2つのスリットを通過した光は、距離の違いにもとづく位相差によって、互いに強め合ったり、弱め合ったりして、壁面で明暗のある干渉縞が生じる。
光の波長をλとすると、光路差S₂P−S₁Pが波長の整数倍のところで明い、波長の半分の奇数倍のところで暗い、明暗をもった縞模様ができる。
三平方の定理より
となるので、光路差は
lがx、dより十分に大きいとき、
と近似することができる。
したがって、
(※)
この2重スリットの干渉縞は、光を粒子と考えると説明がつかない。
ヤングの干渉実験によって、光の粒子説は命脈を絶たれ、「光の正体は波である」ということになった、とされている。
§2 光電効果
金属の表面に、光、特に、紫外線を照射すると、金属表面から電子が飛び出すことがある。これを光電効果といい、飛び出す電子を光電子という。
実験結果から、光電効果には次の特徴があることが知られている。
1) 光を強くすると、飛び出す電子の数が増加するだけで、光電子の運動エネルギーは変わらない。
2) 光電子の運動エネルギーの最大値はある光の振動数に関係し、振動数が増加するとともに大きくなる。また、限界振動数があり、それより小さい振動数の光をどんなに強く照射しても、光電子は飛び出さない。
右のグラフから、
といった実験式がすぐに得られと思うのだけれど、アインシュタインが光量子仮説を唱えるまで、誰も光電効果を説明することができなかった。
ちなみに、上の式のWを金属の仕事関数という。
この光電効果という現象は、光の波動説では説明できないんだケロ。
そこでアインシュタインは、「光はhνのエネルギーをもった粒子である」と考え、光電効果を次のように説明した。
光電子の最大運動エネルギーを、光の振動数をν、限界振動数をν₀とすると、
ここで、hはプランク定数。
そして、2つの式を比較すれば、仕事関数Wと限界振動数ν₀の間には、
という関係があることがわかる。
そして、アインシュタインは、この光量子仮説をもちいた光電効果の説明で、のちに、ノーベル賞を受賞することになる。
ヤングの干渉実験によって止めを刺されたはずの光の粒子説が復活し、「光の正体は粒子か波か」という振り出しに戻ってしまった(^^ゞ
そして、(理論)物理学は、混迷の時代へと突き進むのであった。
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