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位相速度と群速度 [ねこ騙し物理]

今日、Tastenkastenさんからいただいたコメントの返信で大ポカをしてしまったので、反省と自身の知識の確認のために、波の速度に関して記事を書くことにするにゃ。

 

 

位相速度と群速度

 

 

角振動数ω、波数kの次の波がある。

  

位相一定、つまり、

  

の状態が移動するようすは

  

であらわされるので、位相速度

  

になる。

 

次に、分散などがあり、波の振動数ωと波数kが少し異なる2つの波の合成について考えると、

  

と、「うなり」をもった振動になる。

この振幅

  

  

という速さで伝わることになり、これが群速度である。

ωkの関数であるとき、群速度は

  

になる。

 ――数学とは違って、Δk→0のときΔω/Δkがある1つの値に限りなく近づく、といった細かいことは言わない(^^ゞ――

 

以上のことをまとめると、

  

 

したがって、角振動数ωが波数kに比例するとき、になる。

 

 

周波数、つまり、角振動数がすこしだけ異なる2つの波を合成すると、合成された波は下の図に示すように元の2つの波の(位相)速度と異なる波の速度、群速度を持つことになるんだケロ。

 

 

次に、位相速度と群速度の関係について考えることにする。

 

波長をλとすると、

  

一方、群速度に関しては、

  

という関係があるので、

  

という関係式が得られる。

 

たしか、

  

という関係式は、重要な式だったはず。

 

ネムネコが物理を勉強したのは大昔のことなので、このあたりの話はすっかり忘れてしまった。

たまにこうしたことを復習しないと、今回のTastenkastenさんのお便りへの返信のように、大嘘をつくことになってしまうんだにゃ(^^

勘違いや記憶違いは、誰にもあることだにゃ。だから、今回のことで、ネムネコを責めてはいけないと思うケロ。

 

そして、

ネムネコが考えるに、

光の位相速度が真空中の光の速さc=3×10⁵km/sを越えることがあること、この場合でも、「(真空中の)光よりも情報を早く伝えることはできない」とする(特殊)相対性理論の仮定(?)が破れないことについては、

ddt³さんが、きっと、実例をあげて、詳しく解説してくださるのではないだろうか(^^)

 




これを読むと即死!!

 

以下の話は、量子力学、量子論が絡む話ですので、これを読むヒトは注意!!

 

問題 波動の式

  

は、相対論的な力学では

  

ただし、

  

が成り立つ。この波の位相速度と群速度を求めよ。

【解】

  

したがって、

  

ここで、

  

となるので、

  

(解答終)

 

問題文中の

  

というのは、ド・ブロイの物質波の関係式

  

から出てくるもの。ちなみに、pは運動量。

  

は、量子仮説(?)

  

から出てくるもの。

 

ここで注目して欲しいのは、位相速度

  

と、真空中の光速c=3×10⁵km/sを越えていること。

このことは、(特殊)相対性理論に矛盾するのか否か?

 

原島鮮の初等量子力学には、このことについて、次のよう書かれてある。

 

 は古典的粒子類推のvに等しくなるが、位相速度の方は光速度cより大きい。相対性理論に合わないようであるが、φは信号を伝えることができないので矛盾するものではない。

 エネルギーEの標準、すなわちエネルギーを0にとる粒子の状態は任意である。ところが、角振動数ωで与えられるので、ωには不定の定数が存在しているはずである。それゆえ、ωがなまのまま入っている位相速度はこの定数のとり方によって違う値をとってしまう。しかしその違いは物理的な意味があるものではない。これに反して群速度は物理的にははっきりした意味があるので、エネルギーの標準のとり方に無関係な値をもつ。

 

数学的な部分について少しだけ解説をすると、微分(正確には導関数)の定義は、

  

だから、不定の定数cωに加わっても、分子の部分は

  

が成立するので、たとえ不定定数分の違いがあっても、群速度はの値は変わらない。

これに対して、位相速度の方は、

  

となるので、この値に物理的な意味を見いだせないということになるのでしょう。

 

ちなみに、相対論的力学でない場合は、

  

となるので、

  

となり、位相速度はv/2、群速度はvとなり、粒子(たとえば電子)の速度vと一致する。

上記の理由から位相速度がv/2vの半分になるからといって、この物理的な意味をあれこれと詮索しても詮なきことになる。さらに言うと、vが光速度cと比較して十分小さいとき、ニュートン力学は相対論的力学の近似になるはずなのに、位相速度は大きく異なっている。何故なのだろうか(・・?

 

また、原島鮮の初等量子力学には次のような問題が出ている。

興味のあるヒトは、チャレンジしてみるといいと思う。

 

問題1 Fizeau(1851)は水を流してこれにそって光の速さを測定した。この光速は位相速度か、群速度か。

 

物理屋さんでないネムネコには、数式が出てこないので、この問題は超〜難問だにゃ。数式が出てこない物理の問題は難しいケロ(^^ゞ

答を読んでも理解できないんだから(笑)。

 




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ddtddtddt

 ddt^3です。

 群速度と位相速度の違いなんて、仕事で使わないのでほとんど考えた事はないのですが(←完全な仕事人間(^^;))、本質的にはこういう事らしいです。
 
  http://www.pp.teen.setsunan.ac.jp/lecture/lightspeed.html

 上記では、情報を伝えるためには搬送波が必要だとあります。搬送波の群速度は常に光速度以下なのでOKと。でもその最後には単色光なら、搬送波もくそもないのだから群速度と位相速度は同じと読める部分もあります。

 いつものように(ちあきなおみ「喝采」(^^))ここが良くわかんねぇなぁ~と思っていたら、

  https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1459896794

てのがありました。このベストアンサーの内容を地道に考えたら、解決しそうな気もします(^^)。
by ddtddtddt (2018-09-01 15:48) 

nemurineko

ddt³さんは、電磁気学に詳しく勉強なさったそうなので、「ddt³さんならば」と期待していたのですが(^^ゞ
電波・通信工学の搬送波なんて話になると、もう、素人の私にはついていけない(>_<)
by nemurineko (2018-09-01 22:27) 

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