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変分原理 [ddt³さんの部屋]

変分原理]

 

 ddt^3です。ネコ先生に促されて渋々(?)書き始めましたが、だんだん楽しくなってきた(^^)。あらためて自分は変態と自覚(^^;)

 

 以下、

「重力と力学的世界(古典としての古典力学),山本義隆,1981年,現代数学社」を山本ボン(本)、

「古典力学,ゴールドスタイン,吉岡書店,1978年」をゴールド本、

「力学,ランダウ,リフシッツ,東京図書,1986年」をランダウ本、

と称します。

 

5.活力論争という思い込み(?)

 

 昔から・・・といってもほとんど20世紀の中頃まで・・・いや今でもかな?・・・次のような考えがありました。

 

  ・この世は(宇宙は)神様が造った。

  ・神様は完全である。

  ・完全である神様に無駄なんかある訳ない。

  ・よって神様は宇宙の設計においても、何らかの極限設計をなさったはずだ!。

 

 運動について言えば、極限設計において運動は、何かの量を最小化するように設計されてるのではないか?。

 ニュートン力学以前から、その極限設計の設計項目の筆頭に上がっていたのが、運動量と運動エネルギーでした。

 運動量や運動エネルギーは、自然な運動状態では保存量である。従って運動の変化は、それらを最小化するように起こるのではないか?(極限設計だから)。ニュートン力学出現以降は、ニュートン力学を用いてそれらを確認する時代に入ります。さらに進んで、それらを最小化する事を力学原理にするのが本当だと。だからこその活力論争だったと思います。

 

 ニュートン力学出現以降、力学はもはや人知を超えたものではなくなっていました。次のような意味で。

 ニュートン力学は技術的に余りにも優秀だったため、人知を超えた部分は「なぜ成り立つかの問い」として切り捨て、「どのようにだけを問う」パラダイムシフトが技術的に可能になりました。これをもう一歩進めれば、物理原理とはしょせん経験事実だという現代的態度につながります。この経緯に、(あえて言いますが)哲学かぶれした一部の人達が今でもナンクセを付けます(そしてトンデモに分類されます)。

 哲学的にはいびつな態度というのはわかります。しかしそれも、物理は思考のみによって解明できるという思い込みだと個人的には思います。じっさい現代物理は、数学(思考)を導きの糸ととして得た原理を、実験によって確認するという当たり前過ぎる手法を採用しています。

 

6.変分原理

 

 変分法とは簡単に言えば、定積分の値を最小にする関数を見つける技術です。以下、山本ボンの引用抜粋です。

 自らの運動法則がなぜ成り立つかが人知を超えたものなのは、ニュートンにとっても同じでしたが、ニュートンは「何故の問い」を諦めませんでした。テーラー級数にも似た限界効用理論を唱えた経済学者ケインズは、ニュートンに魅了された一人です。彼はニュートンの遺稿を散逸から防ぐため収集したのですが、内容を見た彼は「ニュートンこそ最後の錬金術師だ」と言います。ニュートンにとって錬金術的研究こそ本当にやりたかった宇宙の解明です。プリンピキア(自然哲学の数理原理)は、その数学的一里塚に過ぎなかった訳です。

 ニュートンは非常に憶病だったので、批判を受けそうな錬金術師の裏の顔を公には封印し、安全そうな数理原理の部分だけ公表しました(それも知人の説得で)。そのためケインズが裏の顔を公にするまで、その事実は20世紀末までほとんど知られていませんでした。そういうニュートンが活力論争を無視できる訳がありません。最初に最速降下線問題に解を与えたのは、恐らく17世紀のニュートンです。これは定積分で計算される運動の経過時間を最小にする問題です。

 

 そういう訳で変分法のやり方は、最速降下線問題や等周問題を通じて18世紀には概ね知られていたと思われます。変分法の基礎式(18世紀)はオイラー・ラグランジュ方程式と言われますが、これこの前のラグランジュ方程式と全く同じものなんです。なのでラグランジュは、次のようなやり方も可能だったと思えます。

 普通に(普通の(x1x2x3)(xyz)座標で)ラグラジアンを書くと、Uをポテンシャルエネルギー,'を時間に関する微分として、

  

となりますが、ラグラジアンL(x1x2x3x1'x2'x3')の時間積分、

  

を「作用積分」と言います。積分Sを最小化する条件は変分法を使い、

  

になります。ラグランジュ方程式(変分法を意識する場合はオイラー・ラグランジ ュ方程式)は、じつは

Sの最小化の必要条件なんですが、慣習的に「最小作用の原理」と呼ばれます(活力論争の影響)。

 (3)を具体的に計算してみると、

    

なので(3)は、

  

とニュートンの運動方程式が出てきます。逆にニュートンの運動方程式(4)が成立すれば、(2)の作用積分Sは多くの場合、最小になります。よってニュートンの「運動方程式」と「最小作用の原理」は同等です。従ってラグランジュは、

 

 「我々は、最小作用の原理を運動の法則にしよう」

 

と言っても良かったはずなんです。じっさい彼は、運動方程式に従う運動がラグラジアンの時間積分を最小にするのを具体的に確認する事までしています。オイラー・ラグランジュ方程式の名の示す通り、ラグランジュが変分法を知らなかったとは、とても思えません。彼が先のような定式化を躊躇し、ダランベールと仮想仕事の原理を採用したのは、Fma0という変形さえ議論の的になる時代背景にあったのかな?と、勝手に想像します(^^;)


(執筆:ddt³さん)

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