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お前ら、ddt³さん提出の次の問題(7月18日)を解くにゃ [お前らに質問]

ddt³さんから次のような質問をいただいた。

 

 微分方程式を差分法で解くとすると(ローカルには選点法とも言いますが)、問題の関数f(x)の定義域Xをn等分割でもして、分割点(選点)だけでは微分方程式を満たすような条件を付ける。分割を無限に細かくすれば、「いつかはX上の全ての点を取り尽くせるはず」だから、そうのようにして解いたf(x)の離散化近似g(x)の離散化極限は(分割を無限に細かくする)、f(x)に収束する。

 本当ですか?(^^)

 

常微分方程式の場合、一般に、xの分割幅Δxを細かくすればするほど打切誤差が小さくなり、Δx→0のとき、差分方程式(の解)は元の微分方程式(の解)に収束する。

なのですが、偏微分方程式の場合、Δx→0Δt→0のとき、差分方程式の解は、元の微分方程式

  

の解とは違うものに収束することがある。

のみならず、放物型の偏微分方程式から作った差分方程式が、Δx→0Δt→0のとき、放物型の偏微分方程式が双曲型の偏微分方程式に変わってしまうなど 偏微分方程式の型が変わってしまうこともあるんだケロ。

ここ

http://spinda2.blog48.fc2.com/blog-entry-345.html

の定義に従うと、

差分スキームの適合性とは、

離散化間隔を0に近づけたときに、差分方程式が元の微分方程式に一致する性質

のことを言います。

つまり、「その差分スキームは本当に元の微分方程式を近似していますか??」ということ。

 

収束性の定義とLaxの適合定理はコチラ↓

http://spinda2.blog48.fc2.com/blog-entry-346.html

 

こういうことが、偏微分方程式の差分法を用いた数値解法では起きることがある。

そして、諸々の理由(ΔxΔtが有限ならば精度よく、しかも、安定的に速く計算できるなどの理由)から、適合性(consistency)を持たない差分スキームが実際の数値計算で使われることがある。

 

ただ、ddt³さんのこの質問は、次の文を読むと、差分スキームの適合性に関する質問ではないようだにゃ。

 

 上記状況を一般化・理想化すると、定義域X上の連続関数f(x)の離散化近似として、Xの等分割点xjg(xj)f(xj)となるようにg(x)を定める。分割を無限に細かくした時、gfに収束する。

 

反論:

 定義域Xの等分割点の離散化極限とは、X上の有理数をシミュレートしたのと同等である。よってg(x)は、Xの部分集合である、Xに属する有理数全体の集合Aの要素xでしかg(x)f(x)とならないはずである。

 しかし良く知られているように、対角線論法により、Aに属さないXの要素はAの要素よりも無限に多い。Aがカスになるくらいに無限に多い!。

 そうするとg(x)の離散化極限は、Xのほとんど全ての点で、いたるところg(x)≠f(x)となってはいないのか?。「いつまでたってもX上の全ての点を取り尽くせない!」から。

 

 これで君は、連続関数を近似できると思うのか?。出来ると言うなら、理由を言うてみいっ!。

 

Δx→0のとき、離散化近似の極限として得られる極限関数g(x)Xで連続、そして、Xに含まれる有理数の全ての点でf(x)=g(x)ならば、くらいの条件があれば、Xf=gになるでしょうね。

 

ということで、上の主張の根拠になる次の問題、補題、定理(?)をお前ら示すにゃ。

 

問題 2つの連続関数f(x)g(x)が有理数の点xに対してf(x)=g(x)であるならば、すべての実数xに対してf(x)=g(x)である。

このことを示せ。

 

 

ヒント1 背理法を使う。

ヒント2 「h(x)が点x=aで連続かつh(a)≠0ならば、aの十分近くの点ではf(x)f(a)は同符号である」

ヒント3 ある無理数の点af(a)≠g(a)ならば、h(a)=f(a)−g(a)≠0で、かつ、f(x)g(x)x=aで連続だからh(x)x=aで連続。よって、ヒント2からaの十分近くのすべての点xaの近傍)でh(x)≠0になる。しかし、無理数aの近傍をどんなに小さくしても、その近傍内には有理数の点xが必ず存在し(これを有理数の稠密性という)、その点xでh(x)は・・・となり、矛盾が・・・。

 

 

 

ここまでヒントを出したのだから、お前ら、この証明を「ちゃんとやれ!」

 

なお、ヒント2の定理(?)は、ε-δ論法を用いて、次のように証明するといい。

 

【証明例】

h(x)x=aで連続だから、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して、

  

である。

h(a)>0のとき、

  

とおくと、あるδ>0があって、|x−aであるすべてのxに対して

  

h(a)<0のとき、

  

とおくと、あるδ>0があって、|x−aであるすべてのxに対して

  

よって、証明された。

(証明終)

 

ヒント2の定理(?)は、微分積分、解析でよく使う重要なものなので、覚えておくといい。

 

 連続という強い条件が入ると、有理数の濃度と無理数(実数)の濃度の違いなど吹き飛んでしまうにゃ。

 




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コメント 2

ddtddtddt

 ddt^3です。いやぁ~、一瞬で回答が付くとは思わなかった(^^;)。

 普通にやっても、さっくり行けそうですね。方針さえ見失分ければ。そして「・・・くらいの条件があれば、Xでf=gになるでしょうね」という信念があれば(^^)。

 位相をかじってると次のようになります。ただし我慢して定義の連続を読む必要はありますが(^^;)、頭の体操です。


[分離空間の定義]
 Xを位相空間とする(位相空間の定義を読む)。
 x,y∈Xかつx≠yについて、共通分が空となるxの近傍とyの近傍がある(位相空間の近傍の定義を読む)。


 Xを集合,x∈Xとして、(x,x)の形の点全体の集合を、積集合X×Xの対角集合Δと言います。

[定理-1]
 Xが分離位相 ⇔ X×XでΔは閉。
[証明]
 省略。でも定義だけから示せます。

 必要な定義:
  分離空間の定義。位相空間の開集合,閉集合,近傍の定義。
[証明終]


[定理-2]
 Xを位相空間,Yを分離空間、f,g:X→Yかつ連続とする。f(x)=g(x)となるxの全体Dは、Xで閉。
[証明]
 h:X→Y×Yで、x→(f(x),g(x))の形のものを考える。
 f,g:X→Yは連続だから、hも連続(積写像と連続写像の定義とそれから導かれる性質)。
 Dは、Y×Yの対角集合Δのhによる逆像に一致する。Δは[定理-1]より閉集合なので、連続関数の性質からDは閉。

 ※もちろんE={(p,q)|f(x)=g(x)となる(p,q)=(f(x),g(x))}は、一般にΔと一致しません。しかしhの定義から、

  h(D)=E∩Δ⊂Δ

になるので、特にDの定義から、

  D=h^(-1)(E∩Δ)=h^(-1)(Δ)

です。本当は証明すべきですが。
[証明終]


[系-1(等式延長の原理)]
 f,g:X→Yかつ連続、Xを位相空間,Yを分離空間とする。
 A⊂XがXで密とすれば、A上でf=gならXでf=g。
[証明]
 1) Dを[定理-2]の集合とすれば、A⊂D(逆像の定義と性質)。またDは閉集合。

 密空間(稠密空間)の定義から、Aの閉包をA’として、
 2) 1)からA’⊂D。Dが閉である事と閉集合の定義。
 3) A’=X。密空間の定義。

 2),3)より、D⊂X=A’⊂Dなので、D=X。
[証明終]


 ・・・以上はブルバキに書いてあることの引き写しですが、これらは目くらましです(^^)。

[設問]
 以上に述べた諸般の事情を考慮して、またネコ先生の仰った事も考慮して、人間が現実的に扱える写像f:X→Yの範囲は、どの程度と考えるか?。発想は自由です(^^)。

 ここに写像fとは、XとYを集合として、各x∈Xに対し、y∈Yが一つだけ対応する事。この時、y=f(x)と書く。

by ddtddtddt (2018-07-20 03:55) 

ddtddtddt

[追伸]
 自然数,整数,有理数,実数,複素数といった普通の数体系の集合、N,Z,Q,R,Cはみな分離位相空間である事を(すぐに)証明できます。分離位相空間は位相空間の特殊なタイプなので、これらはみな位相空間です。
 よって普通の連続関数、f:R→RやB⊂Rに対するg:B→Rなんかはみな、先の定理の条件を満たします。


 ・・・ハードルが高いので、いまゴールドスタインの古典力学を読み返してます。ゴールドスタインに比べるとランダウ先生の力学は、ある意味で超スッキリだなぁ~(^^;)。
by ddtddtddt (2018-07-20 04:08) 

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