第23回 2変数関数の極値のまとめ [偏微分]
第23回 2変数関数の極値のまとめ
これまで2変数関数の極値の求め方について説明してきましたにゃ。
で、ここで改めて2変数関数の極値に関する定理をまとめて書くにゃ。
まず、極値(極大値、極小値)の定義から。
関数f(x)=f(x,y)の定義内の点をa=(a,b)とする。正の数δを適当に小さくとれば、fの定義内の点xに対して、
になるとき、fは点aで(狭義の)極大という。
になるときfは点aで(狭義の)極小という。
ここで、斜体字のxはx=(x,y)、a=(a,b)だと思ってくださいな。斜体の太字は、ベクトルを表すんだにゃ。
で、次は2変数関数の極大・極小の判定に関する定理。
定理 (2変数関数の極値の判定)
関数f(x,y)を開集合Uで定義された関数とする。
である。この条件を満たす点(a,b)を停留点という。
(2)fが級の関数とする。点(a,b)が停留点ならば、
とするとき、
である。
極値の判別式であるDは、基本的に2次方程式の判別式と同じものなので、本によっては
で定義しているものがある。このとき、D<0になる時に極値が存在することになるので、ここは注意して欲しいにゃ。
2次不等式のところで、
としたとき、すべての実数でf(x)>0がになるとき、
になるという話をしたけれど、これと基本的に同じなんだにゃ。
判別式のacの前の係数が1と4で違うじゃないかと疑問に思うかもしれないけれど、極値の判定のときは
の時の判別式になっていて、
になるので、
になる。判別式で欲しいのは、正負の符号と、それが0になるかどうかだから、このD/4も判別式と呼ぶんだにゃ。
つぎは、f(x,y)で定まる陰関数y=φ(x)の極値に関する定理。
定理 (f(x,y)=0で定まる陰関数の極大・極小)
f(x,y)を級の関数、y=φ(x)がf(x,y)=0で定まる陰関数であるとする。このとき、このときy=φ(x)がaで極値b=φ(a)をとるならば、
であり、
である。
何でこうなるかは、極値をとる点(a,b)では
となり、極大のとき
で、極小のとき
となるから。
「−」がかかっているので、0との大小関係が変わっていることに注意して欲しいにゃ。
最後にラグランジュの未定乗数法の定理。
定理 (ラグランジュの未定乗数法)
f(x,y)、g(x,y)が級関数とする。条件g(x,y)=0でf(x,y)が極値をとる点(a,b)では、定数λがあって、次が成り立つ。
これも本によったら、
式の形が少し違っているから面食らうかもしれないけれど、この2つの式は同じ内容を表しているにゃ。
これまでにも何度も出てきているけれども、級関数というのはn回(偏)微分できて、その(偏)微分した関数が連続である関数のことね。
や三角関数、指数関数、対数関数は何回でも微分できて、その微分した関数は連続だから、理論的な問題以外では、級なんて気にすることないにゃ。
コメント 0