ワンポイントゼミ 1次変換と図形2 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 1次変換と図形2
問題1 1次変換
は、平面上では相似変換であることを示せ。またこのこと利用して、放物線y=ax²(a¬0)はy=x²と相似であることを示せ。
【解】
P(x,y)の像をP(x',y')とすると、
したがって、この変換はOを中心としたa倍に拡大縮小する変換であり、相似変換である。
また、P(x,y)をy=ax²上の点とすると、
だから、
したがって、P(x',y')はy=x²上に存在する。
よって、放物線y=ax²はy=xと相似である。
(解答終)
問題2 平面上に点P(1,2)とQ(3,4)がある。1次変換fによってPがQに、QがPに写される。
このとき、次の問に答えよ。
(1) 1次変換fを表す行列を求めよ。
(2) fにより原点からの距離が変わらない点の軌跡を求めよ。
(3) fにより直線PQ上の点は直線PQ上に写されることを示せ。
【解】
(1) 1次変換fを表す行列をAとする。
fにより(1,2)は(3,4)に、(3,4)は(1,2)に写されるので、
(2) P(x,y)、fによるPの像をP'(x',y')とすると、
OP=OP'だからOP²=OP’²。
したがって、
よって、
(3) P(1,2)、Q(3,4)を通る直線の方程式は
この直線上の点(t,t+1)(tは実数)のfによる像は
よって、fによりP、Qを通る直線y=x+1上の点は直線y=x+1上に写される。
(解答終了)
1次変換fを表す行列だから、|A|=(−5)・5−4・(−6)=−1¬0となり、Aは正則行列。したがって、直線l₁は直線l₂に写される。
l₁は点P、Qを通る直線であり、l₂は、P、Qの像であるQとPを通る直線なのだから、l₁とl₂は一致する。
Q(3,4)とP(1,2)を通る直線l₂の方程式は
で、l₁:y=x+1と一致する。
なお、この1次変換により自分自身に写される直線の方程式は、
k=0とおけば(2)で求めた直線になり、k=1とすれば(3)の直線PQになる。
これは偶然、それとも、何か関係がある(^^)
問題3 方程式x²−y²=a²(a>0)で表される曲線を、原点のまわりに45°回転して得られる曲線の方程式を求めよ。
【解】
曲線x²−y²=a²上の点P(x,y)を原点まわりに45°回転した点をP'(x',y')とすれば、
したがって、P’を原点まわりに−45°回転させればPになる。
これをx²−y²=a²に代入すると、
したがって、求める曲線の方程式は
(解答終)
このことから、x²−y²=a²は双曲線xy=a²/2を原点まわりに−45°回転させた双曲線であることが分かる。
問題4 行列が表す1次変換
によって円x²+y²=1がx²+y²=r²に写されるとする。このとき、
であることを示せ。
【解】
円x²+y²=r²上の点(x’,y’)とすると、
これが、x²+y²=1²と一致するためには、
でなければならない。
逆に、
のとき、
したがって、①とx²+r²=1は一致する。
(解答終)
問題1のや原点まわりの回転はこの特殊なケース。
宿題の解答例 [線形代数の基礎]
宿題の解答例
宿題 次の1次変換で自分自身に戻る直線を求めよ。
Aによって自分自身に写される直線lの方向ベクトルを、l上の任意の点PとAによるその像P’の位置ベクトルをそれぞれとする。
このとき、とは直線上にあるので
また、
したがって、
である。
と置くと、①より
②−③は
t=0のとき、x+y=0
a=bのとき、で、このことはlがy=xと平行な直線であることを示している。したがって、x−y=k(kは任意の実数)。
また、直線x+y=0とx−y=k(kは実数)はAによって自分自身に写るので、求めるべき直線は
である。
(解答終)
上の解答を読んで、きっと、「何が書いるのかかわからない」、「どうしてこうなるのがかわからない」と思ったに違いない。
上の解答を読んで「あ〜なるほど」と思うヒトは、よほど数学的才能に溢れるヒトか、そうでなければ、分かっていないのにわかったふりをするいいカッコしいか、本当は分かっていないのにわかった気になれるお目出度い人だと思う。
したがって、これは、自分が⑨であることを自覚する、我ら⑨の一族が目指すべき解答ではない!!
【別解】
とし、Aによって自分自身に写される直線lの方程式をax+by+c=0(a≠0またはb≠0)とする。
l上の点の座標を(x,y)とすると、その像(x',y')は
(2x+y,x+2y)は直線l:ax+by+c=0上にあるので、
これがax+by+c=0と一致するためには、
c≠0のとき、
したがって、このとき、直線lの方程式は
でなければならない。
c=0のとき、
b=−aの場合は、c≠0のときに求めた結果をk=0としたものになるので、b=aの場合をだけを考えればよい。
よって、
また、Aによって、直線x+y=0とx−y=k(kは任意の実数)は、それぞれ自分自身に写されるので、求める直線の方程式は、
である。
(解答終)
先の「1次変換と直線の追加問題」の問題1の解答、別解より、別解2に倣った上の「別解」の方がわかりやすいでしょう。
ところで、
c≠0のとき、
だから、これは行列を用いると、
c≠0のとき、
とおくと、
①は②のλ=1の場合と考えれば、
を満たす(a,b)≠(0,0)である連立1次方程式の問題に帰着できる。
(1)は
と変形が可能。
そして、行列が逆行列を持つとき、(2)の解(a,b)=(0,0)になるので、(a,b)≠(0,0)であるためには、
でなければならない。
そして、この問題から、|A−λE|=0を満たす解に1が含まれるとき、Aによって自分自身に写される直線の中に原点を通らないものが含まれるという異常(?)な事態が発生することが予想される。
前回の問題1は
だから、
λ=2に対応する直線はx+y=0、λ=5に対応する直線はx−2y=0で、ともに原点を通っているだろう。
実は、
とし、(3)の相異なる実数解をα、βとする。
α≠1、β≠1のとき、Aによって自分自身に写される直線は
になるのであった。
λ=2のとき、
λ=5のとき
ただし、これらのことは、証明せずに(テストの答案などで)使ってはならない!!
しかし、計算結果の確認には使えるだろう(^^)
ワンポイントゼミ 直線と1次変換の追加問題 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 直線と1次変換の追加問題
問題1 ある直線l上の任意の点(x,y)に対し、点(4x+2y,x+3y)が常に直線l上にあるという。直線lの方程式を求めよ。
【解】
点(x,y)を点(4x+2y,x+3y)に対応させる1次変換を表す行列は
であり、
直線lがy軸と平行の場合
直線lの方程式をx=c(cは定数)とすると、この直線上の点は(c,t)と書くことができ。この点のAによる像は
となり、この点は直線x=c上にないので、直線x=cは不適。
直線lがy軸と平行でない場合
直線lの方程式をy=mx+nとすると、この直線上の点は(t,mt+n)と書くことができ、この点のAによる像は
((4+2m)t+2n,(1+3m)t+3n)は直線y=mx+n上にあるので、
任意の実数tに関してこれが成り立たないといけないので、
したがって、m=−1、1/2、n=0。
よって、直線の方程式lの方程式は、y=−x、y=x/2である。
(解答終)
【別解】
は、|A|=4・3−2・1=10≠0だから、逆行列
を持つ。
直線lの方程式をax+by+c=0とし、Aによって、この直線上の点(x,y)が(x',y')に写されたとすると、
(x,y)は直線l:ax+by+c=0上の点なので、これをax+by+c=0に代入すると、
これがax+by+c=0と一致するためには、
c≠0のとき、
となり、解として不適。
c=0のとき
したがって、求めるべき直線の方程式は
(別解終)
この別解は、突っ込む気になれば、突っ込みどころ満載の解法なのでオススメしない。次のように解く方が自然だろう。
【別解2】
直線lの方程式をax+by+c=0とし、この直線上の任意の点を(x,y)とし、Aによってこの点が(x’,y’)に写されたとすると、
問題の条件より、(x’,y’)は直線ax+by+c=0上にあるので、
これがax+by+c=0と一致するためには、
c≠0のとき、
よって、a=b=0となり、解として不適。
c=0のとき、
よって、求める直線の方程式は
(別解2終)
問題2 直線2x+3y−6=0がそれ自身に写されるような1次変換を求めよ。
【解】
直線2x+3y−6=0上の点は(3t、−2t+2)で表される。
fによる(3t、−2t+2)の像は
で、これも直線2x+3y−6=0上に存在するので、
これが任意の実数tで成立しなければならないので、
また、fによる直線2x+3y−6=0の像が直線2x+3y−6=0全体であるためには、3a−2b≠0でなければならない(なぜですか?)。
したがって、求めるAは
(解答終)
直線2x+3y−6=0上の相異なる2点(3,0)と(0,2)の像が直線2x+3y−6=0上に存在することに注目すると、次のような別解を作ることもできる。
【別解】
直線2x+3y−6=0上の相異なる2点(3,0)と(0,2)の像は、それぞれ、
この2点(3a,3c)、(2b,2d)は直線2x+3y−6=0上にあるので、
問題の条件より、(3a,3c)≠(2b,2d)でなければならないから3a≠2bでなければならない。
したがって、求める1次変換を表す行列は
(別解終)
問題3 直線2x+3y+1=0が直線2x+7y+2=0に写され、直線x+y+2=0が直線x+3y−2=0に写される1次変換を求めよ。
【解】
直線2x+3y+1=0上の点は(3t−2、−2t+1)と表すことができ、fによるこの点の像
は直線2x+7y+2=0上にあるので、
が任意のtについて成り立たないといけないので、
直線x+y+2=0上の点は(t,−t−2)と表すことができ、fによるこの点の像
は、直線x+3y−2=0上にあるので、
これを解くと、a=−19、b=−25、c=6、d=8。
したがって、
(解答終)
【別解】
原点を通らない直線を原点の通らない直線に写すので、Aは逆行列を持つ。
そこで、
とおくと、
直線2x+3y+1=0は、Aによって2x+7y+2=0に写される。
したがって、
と2x+7y+2=0は一致しなければならないので、
直線x+y+2=0は、Aによって直線x+3y−2=0に写される。
したがって、
とx+3y−2=0は一致しなければならないので、
①と③からp=−4、r=3。
②と④からq=−25/2、s=19/2。
したがって、
(解答終)
宿題 次の1次変換で自分自身に戻る直線を求めよ。
この問題は、問題1と少し事情が違う(^^)
答は
中間テストか期末テストだったかは忘れたが、ネムネコが高校生2年2学期の時に、数学の定期テストに出た問題。
オレは解けたケロ。
したがって、これを解けないヒトは・・・。
ワンポイントゼミ 1次変換と図形1 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 1次変換と図形1
§1 平面座標と1次変換
座標平面H=R²={(x,y)|x∈R、y∈R}の1次変換fによる像(の集合)について考える。1次変換fを表す行列をAとすると、次のことが成り立つ。
1 A=O(零行列)のとき、座標平面Hは原点に写される。
2 A≠OかつAの逆行列A⁻¹が存在しないとき、座標平面Hは原点を通る直線に写される。
3 A⁻¹が存在するとき、座標平面HはHに写される。
【略証】
1 とすると、任意の実数x、yについて
したがって、A=0のとき、座標平面Hは原点に写される。
2 Aは逆行列A⁻¹を有さないので
と書くことができる。ただし、aとbは同時に0にはならず、かつ、hとkは同時に0でないとする。
すると、任意の実数x、yについて
したがって、
よって、fによる座標平面Hは原点を通る直線kx−hy=0に写される。
3 Aは逆行列A⁻¹を持つので、とすると、。
したがって、任意の(x’,y')∈Hに対してこれに対応する(x,y)∈Hが存在する。よって、1次変換fによって座標平面HはHに写される。
問1 座標平面は、次の1次変換によって、どのような図形に写される。
【解】
(1)
したがって、
よって、座標平面は原点を通る直線y=2xに写される。
(2) とおくと、|A|=1・4−2・3=−2≠0だから、Aは逆行列A⁻¹をもつ。よって、座標平面は座標平面に写される。
(解答終)
§2 直線の1次変換
直線lの1次変換fによる像については次の関係が成り立つ。
1 A⁻¹が存在しないとき、直線lは点または原点を通る直線に写される。
2 A⁻¹が存在するとき、直線lは直線に写される。
問2 次の1次変換によって、直線y=x+はどのような図形に写されるか。
【解】
直線y=x+1は、x=tとおくと、
と表すことができる。
(1)
したがって、この直線は原点に写される。
(2)
よって、この直線は原点を通る直線y=2xに写される。
(3)
x’=3t+2からtを消去すると、
これをy’=7t+4に代入すると、
よって、
(解答終)
(3)はの逆行列を用いると、次のように解くこともできる。
【(3)の別解】
とすると、|A|=1・4−2・3=−2≠0だから、Aは次の逆行列をもつ。
直線y=x+1上の点(x,y)の1次変換Aによる像を(x’,y’)とすると、
という対応関係がある。
(x,y)はy=x+1上の点だから
したがって、1次変換Aによって直線y=x+1は7x−3y−2=0に写される。
(別解終)
問題1 直線2x+3y=1上の点をすべて点(0,1)に写すような1次変換を求めよ。
【解】
tを媒介変数t(パラメーター)とすると、直線2x+3y=1上の点は、x=3t、y=−2t+1/3で表される。
直線2x+3y=1上の点はすべて点(0,1)に写されるので、任意のtに関して
したがって、a=b=0、c=2、d=3。
よって、
(解答終)
(1) fが平面上の点をすべて、直線y=mx(m≠0)上に写すとき、Aの成分に関する条件を求めよ。
(2) fがなお、直線y=mx上の点をすべて動かさないとき、Aの成分に関する条件を求めよ。
【解】
(1) 平面上の任意の点(x,y)の1次変換による像を(x’,y’)とすると、
(x’,y’)はすべて直線y=mx上にあるから
x、yは任意の実数だから、
(2) 直線y=mx上の点は、媒介変数をtとすると、(t,mt)と表される。
直線y=mx上の点はすべて動かさないから
これが任意の実数に関して成立するので、
(1)からc=am、d=bmを①に代入すると、
したがって、求める条件は
(解答終)
ベクトル万歳 [線形代数の基礎]
ベクトル万歳!!
次のような(証明)問題、学生さんは嫌うよね。
見るだけでなんとも難しそうな問題に感じられ、多くのヒトが考えることをすぐに放棄してしまうに違いない(^^ゞ
問題
座標平面上の1次変換によって、異なる2点P、Qがともに同じ点Rに移るとする。
このとき、lをP、Qを通る直線に平行な直線とすると、l上の全ての点はfによって1点に移ることを示せ。
とし、1次変換fを表す行列を
とすると、
1次変換fによるP、Qの像は点Rだから、
また、この2点P、Qを通る直線の方程式は
なんて解こうとすると、これらの条件からどう証明したらいいのかの目処(めど)がたたず、たちまち、暗礁に乗り上げてしまうに違いない。
しかも、(1)はx₂=x₁のとき、直選の傾きを表すの分母が0になるので2点P、Qを通る直線のすべてを表すことができないので、異なる2点P、Qを通る直線の方程式は、
と場合分けしないといけない。
でも、、学生に評判の悪いベクトルを使うと、次のように、簡単に証明できてしまう。
【証明】
とする。
1次変換fによりPとQは同じ点Rに写るので、
また、P、Qを通る直線(上のすべての点)は
と表すことができる。
この直線と直線lは平行なので、直線l上の一点をとり、その点の位置ベクトルをとすると、直線lは
と表すことができる。ここで、k(k≠0)は実数。
したがって、fによる直線l(上のすべての点)の像は
と、の像に写される。
よって、1次変換fにより異なる2点P、Qが同一の点Rに写されるとき、P、Qを通る直線に平行な直線lは1つの点に写される。
(証明終)
なお、
座標平面上の1次変換によって、異なる2点P、Qがともに同じ点Rに移るとき、この1次変換fを表す行列Aに逆行列は存在しない。
【証明】
fに逆写像f⁻¹(行列Aの逆行列A⁻¹に対応する)が存在すると仮定する。
点P、点Qの位置ベクトルをそれぞれとすると、fによってP、Qは同じ点Rに写るので、
よって、P、Qが相異なる2点であることと矛盾する。
したがって、この1次変換fに逆写像(逆行列)は存在しない。
(証明終)
だから、これらの証明は行列を用いた成分計算をまったく必要としない。しかも、平面ベクトルに限らず、空間ベクトルであろうが、より一般のn次元空間のベクトルであろうが、そのまま通用する。
証明で使っている知識は、線形写像
と逆写像(逆行列)の定義、そして、若干のベクトルの知識のみだ。
ところで、
明治に日本に西洋数学が本格導入され、それが旧制高校や大学で教えらるようになった時、外国人のお雇い数学教師は、「日本の学生は代数はよくできるのに、幾何(の証明問題)は苦手」と嘆いたそうだから、学生の証明問題嫌いは文化的遺伝子に基づくものなのかもしれない(笑)
小・中・高校などで、系統だった、抽象的な思考をする訓練をほとんどして受けていないのだから、証明問題が不得意なのは無理のない話だ。ホニャララの値を求めよといった問題と違って、証明(問題)には、こうすれば解けるという決まった解き方はなく、定義やそれに先行する定理などを組み合せ、それを論理的な文章にしなければならないのだから。「数学=問題の解き方の暗記をするもの」と考えているヒトに定理(もどきの問題)の証明などできるはずがない。
しかも、小中高学校の数学でわずかに残っている抽象的なものは、わかりづらい、学校の先生が生徒や学生に教えづらいなどの理由から、次々と消え去ってゆく。近い将来、高校の数学から抽象的でわかりづらいベクトルも消え去るかもしれない。
そして、ベクトルは、高校の物理の運動や力学などで習うものになるのではないか。
だって、高校の微分積分にベクトルなんてものは必要がないケロ。高校の微分積分には、確かに、速さ、速度、道のりなどの物理的な内容が存在するけれど、ここではベクトルはいっさい使っていない。だから、高校数学の頂点を微分積分とするならば、ベクトルは要らない。また、ベクトルの内積を使う問題は、大体、中学で習った幾何学と三角関数や余弦定理で事足りるから、高校の数学からベクトルを駆逐したところで、実際、何も困ることはないに違いない。
明治初期のお雇い外国人教師の嘆きが、さらにひどい形で、現実のものになっていくんじゃあるまいか。
[線形代数ってなにさ?_2] [線形代数の基礎]
[線形代数ってなにさ?_2]
2.なんで基底なのか?、なんで独立・従属なのか?
ベクトル空間(線形空間)を前回の[定義-1]で特徴づける最大の理由は、普通にはベクトルに見えないものまでベクトルと考えたいからだと思われます。代表は関数です。ただ関数空間はやはり難しいので(概念としてもぶっ飛んでるし(^^;))、標準的な線形代数の教科書には特異な(?)例として、ちょろちょろっと紹介される程度です。それで[定義-1]の姿を見た学生は「こんなもの無駄にやってらんねぇ~ぜ」って思います。やっぱり公理10個は多いよなぁ~(^^;)。
しかし数学の先生達は、[定義-1]でベクトルを特徴づけると決めたのでした。それは同時に位置ベクトル形式によるベクトル表現を当面あきらめるという事でもあります。座標を使わずに、通常の運用に耐えられるベクトルを「一から手造りする」事になります。そこで目を付けられたのが、次の線形和(線形結合)と言われる表現形式です。その出自は、もちろん位置ベクトルです(^^)。
左辺をv、最右辺の(1,0,0)t,(0,1,0)t,(0,0,1)tをe1,e2,e3とします。
前回約束したように、ベクトルはアルファベット,スカラーはギリシャ文字に従って、x,y,zはλ1,λ2,λ3に変えます。
(1)に、陽な位置ベクトル形式(座標表現)は現れません。また(1)は、e1,e2,e3の意味さえわかってればv=(λ1,λ2,λ3)の事だとすぐにわかります。
しかし前回の[定義-1]に従って、意味の全然わからない妙チクリンなe1,e2,e3が現れた時にはどうしましょう?。ここで人間の意志が働きます。(1)の形に書けるものしかベクトルと認めない、という。後でまた言いますが、「これが基底の定義が公理に入らない」理由と思われます。しかし(1)の形が、[定義-1]の最大の目的であった関数空間と相いれなかったらどうしましょう。そこは前回やったように、関数空間も頑張れば位置ベクトルになるはずだ、という目算が既にあります。
ベクトルの集合{e1,e2,e3}の事を基底と言います。いまは用語を説明してるだけなので、集合とかの言葉には引っかからないで下さいね。何なら「集まり」でもOKです(^^)。
上記状況から基底は明らかに、座標軸の概念の一般化です。それで座標軸の特徴付けをする破目になり、それが基底の定義に化けます。なんで座標軸の特徴付けなんか必要なのさ?。それは位置ベクトル形式(座標表現)をあきらめたからですよ。正式には座標軸は(基底は)まだないんです。これからそれを「一から手造りする」んです(^^;)。
位置ベクトルで座標軸に平行なベクトルの性質を検討します。1次元の場合は、何にも思い浮かびません。せいぜいe1≠0くらいかな?。2次元の場合は、・・・そうそう平行な二つのベクトルe1,e2じゃ駄目だった。e1,e2が平行だと、1次元と同じだ。3次元は?。e1,e2が平行じゃなくて、e3がe1,e2の張る平面内にない事。
n次元では?。・・・たぶん幾何学的説明ではやってらんないです。そこで1~3次元の時、逆を見てみます。
1次元でe1=0とは形式的に、
と書けます。e1=0なら、μ1=1とおけてe1=0です。
2次元でe1とe2が平行という事は、適当なスカラーμ2があり、
という事です。これも形式的に、
と書けます。e1とe2が平行なら、μ1とμ2の少なくとも一方は0でなくてもOKです。何故ならμ1=1とおけて、
でなければならないからです。
3次元でも同様です。e1がe2,e3の張る平面内にあるとは、
と書けます。形式的に、
どのejかがekとeLの張る平面内にあるならば、明らかにどれかのμjは0でなくてもOKです。何故ならejがe1だとすると、μ1=1とおけて、
でなければならないからです。n次元空間でも状況は全く同じです。
という事は、e1が右辺の位置ベクトルの線形和形式で表される点集合から出てこれない意味になります。これを「e1は、{e2,e3,・・・,en}の張る空間内にある」と言ったりします。この時、
におけるμjのどれかは0でなくてもOKです。何故なら「e1は、{e2,e3,・・・,en}の張る空間内にある」ので、μ1=1とおけて、
でなければならないからです。
ここでもしe1も基底ベクトル(座標軸)だと言い張るなら、(2)のようであっては駄目なはずです。e1は、「{e2,e3,・・・,en}の張る空間」の外にも点がある事を示す軸だからです。それは3次元の例で考えれば、十分だと思います。
よってまた逆を取り、{e1,e2,e3,・・・,en}が基底(座標軸の集合)であるならば、
において全てのμjが0である事が必要、となります。これが「独立なベクトル集合」の定義です。対概念として「従属なベクトル集合」の定義も現れます。(3)が、どれかのμjが0でなくても成り立つ事です。
[定義-2]
線形和、
が成立するために、全てのμjが0である必要のある時、e1,e2,e3,・・・,enは独立という。そうでない時、従属と言う。
しかし独立なベクトル集合{e1,e2,e3,・・・,en}が座標軸を全て尽くしているかは、また別の話です。例えば3次元空間で{e1,e2}は明らかに独立ですが、もう一つの軸e3があります。線形和(1)が空間内の全ての点を尽くせなければ、{e1,e2,e3,・・・,en}が全ての座標軸を尽くしてないのは明らかです(あくまで位置ベクトルイメージで考えましょう)。この状況が次元の定義へとつながります。
[定義-3]
ベクトル空間Vにおいて、独立に取れるベクトルの最大本数をVの次元と言い、dim(V)で表す。
そして基底の定義です。
[定義-4]
ベクトル空間Vの独立なベクトル集合B={e1,e2,e3,・・・,en}で、次元に等しい本数を持つものを全て基底と言う。
独立に取れる最大本数のベクトルを集めたら、それは基底に(座標軸のかわりに)なるんでしょうか?。つまり、
によって、空間内の全ての点を尽くせるんでしょうか?。尽くせるんです。証明は[定義-3,4]から馬鹿みたいにというか、トリッキーに簡単です。背理法っぽくやるんですよ(^^;)。
B={e1,e2,e3,・・・,en}をVの基底とし、(4)で表せないen+1∈Vがあったと仮定する。(4)は(3)と同等でした。という事は(3)でen+1まで足してやったものの全てのμjは0である必要があります。何故なら、
においてμn+1が0でなく、μn+1以外のμ1~μnのどれかが0でないとすると、en+1は(4)の形で表せる事になり矛盾。従ってμn+1=0またはμ1~μn=0が必要。
μn+1=0とすると基底の[定義-3]からμ1~μn=0なので、μ1~μn=μn+1=0。よってベクトル集合{e1,e2,e3,・・・,en,e3n+1}は独立。
μ1~μn=0とするとμn+1en+1=0。よってμn+1=0かen+1=0のどちらか。en+1=0だとすると、
en+1=0・e1+0・e2+・・・+0・en
の形で表せる事になるから、このケースはない。μn+1=0なら、{e1,e2,e3,・・・,en,e3n+1}が独立になる事は、ちょっと前に示した。
{e1,e2,e3,・・・,en,e3n+1}が独立は、[定義-3]から{e1,e2,e3,・・・,en}が基底である事に反する。従ってベクトル空間Vに、(4)の形で表せないベクトルvはない。
・・・言葉の遊びって思いました?(^^;)。ある意味その通りです。でもこれが定義の力です。以上の証明は、じつはより大きなwell dified性の証明の一環なんですよ。定義に不備がない事の確認なんです。先走って言うと、具体的に実務にも役立つ行列の固有値と固有空間の話を始めるための、長ぁ~い長ぁ~い準備段階は、線形代数のじつに1/4くらいを占めます。
そういう訳ですから数学の勉強を頑張ろうと思って教科書を読もうと思うなら、下手に練習問題や演習問題に手をつけてわかんないまま無駄に時間を費やすよりも、本文の定義や定理を(特に定義を)了解したと思えるくらいまで読み込んだ方が、よっぽどためになる事が多いです(少なくとも大学以上では)。現代数学は定義が全てです。それは人間の意図と意志の現れです。
基底には絶対に無視できない要求が、もう一つあります。基底による任意のベクトルの線形和表現(4)の一意性です。位置ベクトルイメージだと(4)は、(λ1,λ2,・・・,λn)ですよね?。でも基底による線形和表現に一意性がないとすれば、(4)が(λ1,λ2,・・・,λn)である保証はどこにもありません。この保証も[定義-2]から直接出てきます。
一つのベクトルvが2つの線形和表現で表されたとします。2つの線形和表現は同じベクトルvを表すものなので、等しくなければなりません。
移項して、
e1,e2,e3,・・・,enは独立でした。従って[定義-2]よりλj=μjとなり一意性が成立します。
逆に任意のベクトルvを線形和で一意に表せる{e1,e2,e3,・・・,en}があったとしたらどうでしょう?。(3)はμ1=μ2=・・・=μn=0で成立するのは明らかです。0ベクトルに対する表現の一意性から、常にμ1=μ2=・・・=μn=0です。これって独立の定義に使えますよね?。対概念として従属にも。{e1,e2,e3,・・・,en}が最大本数である事は、任意のベクトルvを表せるんだから自明です!。という事は、
[定義-4’]
ベクトル空間Vの任意のベクトルを線形和で一意に表せる{e1,e2,e3,・・・,en}を基底と言う。
でも本当は良かったんですよ。こっちの方がかなりすっきりなのに、何故かそうなっていません。それはやはり独立,従属,次元,基底概念の動機付けを明確にしたい、という意図からだと思います。[定義-4’]の方がかなりすっきりと思えるのは、それらの動機付けがわかったからですよね?(わかってくれぇ~!(^^;))。
もう一つwell dified性の一環としてやっておかなければならない証明があります。ベクトル空間Vの次元数dim(V)のVに対する一意性です。次元の定義[定義-3]では、独立なベクトルの集め方は特に指定していません。という事は[定義-4]の基底ごとに、dim(V)がバラバラになる可能性は、なきにしもあらずです。
位置ベクトル空間ではそんな事は絶対に起こりませんから、ここをクリアしておかないと通常の運用に耐えうるベクトルを「一から手造りした」とは言えません。ところがこの証明は恐らく、線形代数の証明中で最も馬鹿らしいものになります。
自分の意見では「次元数の一意性の証明」は、行列式と連立一次方程式の解法を整備した後にやるべきだと思っています。行列式と連立一次方程式の解法の整備は、線形代数がもともとそれらのために生まれてきた理論である事を考えると、いずれにしろ絶対やります。ネコ先生が裏技的独立・従属判定のところでやっていた、連立一次方程式で条件を整え行列式判定に持ち込む方法を、使えば良いんです。ちなみにこれ、正攻法ですからね。教科書の証明は行列式も連立一次方程式も整備されてない段階で証明しようとするもんだから、背理法に持ち込まざる得なくなり、そうは見えないだけです。やってる事は同じです。論理的順序を守りたい気持ちはわかりますけれど、図-1のような手順でやっても、論理的破綻はないですからね。
ただ非常に長い準備期間は必要なので、公式の教科書ではやっぱ無理なのかなぁ~?。
自分程度だったら「この事はまた後で持ち出すから忘れないでね!」くらいで先へ進んじゃいます(^^;)。そういう訳でここでは「次元数の一意性の証明」はしません!(^^)。
最後に「(1)の形に書けるものしかベクトルと認めない」に戻ります。もう大丈夫と思うんですけど「(1)の形に書けるとわかる」という事は、[定義-1]を満たすだけで、意味の良くわからない妙チクリンな奴ではないという事です。意味が良くわかるから、(1)の形に書けるとわかるんですよ。
それでも[定義-1]からは、妙チクリンな奴が現れる可能性はあります。その時は、独立も従属も次元も基底もやめて、新境地と新理論を拓いて下さい!という事になります。これが独立,従属,次元,基底は定義であって、公理に入らない理由と思われます(^^;)。
(執筆:ddt³さん)
ワンポイントゼミ 1次変換と行列 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 1次変換と行列
§1 1次変換と行列
(x,y)に対応する(x',y')が
すなわち
で与えられるとき、この対応関係を1次変換といい、を1次変換をあらわす行列という。
1次変換によって原点は原点に写される。
また、1次変換によって(1,0)が(a,c)、(0,1)が(b,d)に移るとき、この1次変換を表す行列Aは
である。
【略証」
とすると、題意より
よって、
(略証終)
問1 点(1,0)、(0,1)を、それぞれ(1,2)、(3,4)に写す1次変換fを表す行列を求めよ。
【答】
問2 点(2,3)、(−2、−1)を、それぞれ、(5,18)、(−1,−10)に写す1次変換を表す行列を求めよ。
【解】
1次変換を表す行列をAとすると、
これを1本の式で書くと
とおくと、|B|=2・(−1)−(−2)・3=4≠0だから、
したがって、
(解答終)
§2 回転移動
である。
【略証】
fによる(1,0)の像は(cosθ,sinθ)、fによる(0,1)の像は(−sinθ,cosθ)。
したがって、fを表す行列は
である。
(略証終了)
問3 原点のまわりに、120°ど回転させる1次変換を表す行列を求めよ。この変換により、点(2,3)はどの点に写されるか。
【解】
回転を表す行列は
したがって、
よって、(2,3)はに写される。
(解答終)
問4 次の行列はどのような1次変換を表すか。
【解】
(1) cos30°=√3/2、sin30°=1/2だから、この行列は原点まわり30°回転させる行列を表す。
(2) cos(−45°)=1/√2、 sin(−45°)=1/√2だから、この行列は原点まわり−45°回転させる行列を表す。
(解答終)
§3 対称移動
原点、ならびに原点を通る直線に関する対称移動は1次変換になる。
(1) 原点Oに関する対称移動
原点Oに関する対称移動によって、点(x,y)は(−x,−y)に移動するので、1次変換を表す行列は
(2) x軸に関する対称移動
(x,y)→(x,−y)だから
(3) y軸に関する対称移動
(x,y)→(−x,y)だから
(4) 原点を通る直線y=xに関する対称移動
(x,y)→(y,x)だから
(5) 原点を通る直線y=−xに関する対称移動
(x,y)→(−y,−x)だから
問5 点Aを原点以外の点とする。点Aに関する対称移動は1次変換にならないことを示せ。
【解】
A(x₀,y₀)とする。ただし、x₀≠0またはy₀≠0。
点Aに関する対称変換fによって、P(x,y)がP'(x',y')に写されるとする。
このとき、点Pと点P’の中点はAになるので、
したがって、fは
の形で表すことができない。
よって、1次変換ではない。
(解答終)
§4 問題編
問題 行列で表される1次変換によって、原点以外に動かない点が存在するように、kの値を定めよ。また、このとき、y軸上の点はすべてそれ自身に写されることを示せ。
【解】
よって、動かない点が原点以外に存在するためには、A−Eが逆行列を持ってはいけない。
だから、
よって、k=0。
また、このとき、y軸上の任意の点(0,y)は
と自分自身に写される。
(解答終)
1次変換(より広く、写像)によって自分自身に写される点を不動点、自分自身に写される直線を不動直線という。
問題1より、y軸上の点はすべて行列で表される1次変換の不動点であり、また、y軸はこの1次変換の不動直線であることが分かる。
[線形代数ってなにさ?_1] [線形代数の基礎]
[線形代数ってなにさ?_1]
線形代数は理工系の必修で必須の技術ですが、たぶん理想的に抽象化・整理され過ぎてて(ブルバキの影響?)、初見では目が点です(^^;)。それは理論の意図と目的がわからない(そして先生は、それを語ってくれない)からだと・・・。
1.なんでベクトル空間なのか?。
なんでベクトル空間なんでしょうねぇ~?。なんでベクトル空間なんか定義する必要があるんでしょう。ネコ先生にならって、ベクトル空間の公理をあげてみます。
[定義-1]
ベクトル空間(線形空間)Vとは、集合Vと体Kのペアがあり、次の公理を満たすもの。
(V1) a,b∈Vなら、a+b∈V。
(V2) a,b,c∈Vとして、(a+b)+c=a+(b+c)。
(V3) 0∈Vがあり、任意のa∈Vについて0+a=a+0=a。
(V4) 任意のa∈Vについて、-a∈Vがあり(-a)+a=a+(-a)=0。
(V5) a+b=b+a。
(V6) 任意のα∈Kとa∈Vについて、αa∈V。
(V7) α,β∈K、a∈Vとして、(αβ)a=α(βa)。
(V8) α,β∈K、a∈Vとして、(α+β)a=αa+βa。
(V9) α∈K、a,b∈Vとして、α(a+b)=αa+αb。
(V10) 1をKの単位元として、1a=a。
※ ネコ先生は(V1)と(V6)を公理に含めず背景条件としてます(含めない方がわかりやすい)。
体K(ネムネコの言い訳)とはせいぜい複素数の集合Cと思ってもらってけっこうです。ここでは単純にスカラー(ベクトルでないの意)と呼び、スカラーはα,β,γなどのギリシャ文字で表します。ベクトルはa,b,cなどのアルファベットです。
ところで演算+や、スカラーとベクトルの積演算(αaを一瞬だけα・aで表します)とは何なのか?の定義がどこにも出てきませんよね。つまり+や・の意味は、現場に合わせて勝手に解釈してくれて良い、という事です。とにかく(V1)~(V10)を形式的に満たせば、なんでもベクトルです。という事は、+や・を使いたくなる現場が既にあって、それらに合わせて[定義-1]は作られたという事です。数学の公理はこのように、そうは見えないかも知れませんが、常に広い意味での実務での作業を念頭に書かれています。
しかし(V1)~(V10)は普通に使ってるベクトル、例えば位置ベクトルの運用規則をただ羅列しただけです。ここまで手をかける必要はあるんでしょうか?。
一つには代数学の歴史があります。線形代数というくらいですから、線形代数も代数系の一部です。(V1)~(V4)を満たすものを群と言います。(V5)まで満たすものは加群と(可換群,アーベル群とも)呼ばれます。
スカラーとベクトルの積演算α・aは、スカラーαがベクトルaに作用し、関数として新しいベクトルb=α(a)を生み出したと見る事が可能です。いまスカラーとして複素数Cや実数Rを想定すると、CやRは少なくとも(V1)~(V4)を満たすので、これらは群です。これらのメンバーが積として加群Vに作用する事になります。こういうのを作用域を持つ加群といい、これが体の定義です(ブルバキではたしか)。
CやRでは、加群としてのCやRのメンバーに(+演算)、群としてのCやRのメンバーが直接作用し(・演算)、CやRは体になります。よってベクトル空間も体です。数学の定義はこのように、入れ子になってるのも日常茶飯です(^^;)。
で、これら群,加群,体は線形代数よりも先に研究されました。従って[定義-1]のようにベクトル空間の出自を明確にしとくと、先行理論の全面支援が可能になります。ベクトル空間は群だから、こんな定理はあったりまえだよねぇ~などと。【零元の唯一性の証明】や【逆元の唯一性の証明】は「当然」の一言で片づける事も論理的には可能です。既に加群,群理論で証明し終わったものだから(^^)。学校の教育過程は違いますけど(^^;)。
(ネムネコの言い訳)
真面目な線形代数の教科書などでは、「体」という数学用語を用いて、ベクトルを定義する。しかし、ネムネコは、「線形代数の基礎」で体という言葉は使用せず、「実数」としたと思う。
「体」って何だ、「群」って何だ、という話になるから、使わなかったケロ。
ところで、
昔の高校数学ⅡBには、行列、1次変換のあとに、取ってつけたような「群」というものが、教科書にあった。今の高校の教科書とは異なり、昔の高校数学ⅡBは現代的(な数学)だった。
しかし、まず「群」が高校数学から消え去り、そして、つい最近、行列と行列を用いた1次変換まで高校の教科書から消え去ってしまった。
短い期間だったようだけれど、「公理的な幾何学」も数学ⅡBにはあった。ただ、大学入試で「公理的な幾何学」の問題が出題されることほとんどなかった――神戸大学では、公理的なパズルのような問題が出されたことはあった――ので、高校の数学の先生は、「ここは自分で読むように」と言うだけで、実際にこの授業をすることはなかったようである。
幾何学は、高校生が公理に基づく現代的な数学を学ぶテーマとしてふさわしくないという強い批判はあったようですね。しかし、公理的な数学の元祖は、ユークリッドの「原論」だから、歴史的に言えば、これは正しい流れ。
それはそれとして、抽象的なものが学校の数学からドンドンと消えてゆくにゃ。その昔、集合の初歩は小学校で習うものであった。集合は抽象的で小学生には無理だという理由で削除された。
大学の微分積分で、「わかりづらい」からという理由から、ε−δ論法の使用はご法度扱いになりつつあり、近い将来、数学科の学生を対象とした微分積分、解析学以外の教科書や講義以外では、ε−δ論法は絶滅するに違いない(^^ゞ
その一方で、具象的なソロバンが消え、電卓を使った計算が小学校に導入された。十進数とその計算の仕組みを知るためには、ソロバンはいい教材だと思うんだけれどね〜。
また、昔、統計は、数学Ⅲにあった。しかし、東大を始めとする難関大学の入試問題で統計の問題が出題されることはほとんどなかった。だから、難関大学合格に特化した私立高校では、数学Ⅲの授業で統計はやらなかったかもしれない(笑)。
(ネムネコの言い訳終)
以下一瞬だけ、スカラーにもアルファベットを用います。
二つ目は、(大学以上での)微積分との関連です。高校までは微分(導関数)を、
と書き、これを通分して、
などと書こうものならこっぴどく叱られましたが、大学(以上)ではこういう形が好まれます。f'(x)=df/dxに注意すると、
さらに微分の定義にまで遡ると、dfはxがx+dxまで微小にずれた時の関数fの増分、f(x+dx)-f(x)です。
f(x)を移項すれば、
ですが、この形を「微分」と呼びます。
これは物理屋さんの書き方。
数学屋さんは
などと書く。
と書くと、「dx(xの微分)とΔx(xの増分)の区別をしていない」と怒られる。
さいわい、fがxの1変数関数のときは、dx=Δxなので問題はないが。
ただし、
だから、一般にΔf≠df。
dfはxにおける接線でΔfを近似したものなんだケロよ。
一般にf(x)の導関数f'(x)を求めることを微分(する)と言うけれど、dfが微分だケロ。
そして、これは以下に述べられている、2変数関数の(全)微分に拡張される。
は、曲面z=f(x,y)の(x,y)における接平面の方程式に他ならないにゃ。
(ネムネコの註終)
fが一次関数の場合、df(x)/dxはxに関わらない傾きaとなり、当然の式です。さらに(2)では実質的にxは固定で動くdxが独立変数です。xとdxを任意の実数として関数方程式、
からは微分可能とか特別な仮定を設けずに、解がg(x)=axである事を導けます(ネムネコの註)。
これらを考え合わせると(2)は、固定されたxの近傍dxでxで微分可能なfは、傾きdf(x)/dxの一次関数になると読めます。「関数の局所線形化(一次関数化)が微分である」が、微分の正式な定義です。
なぜ局所線形化するのか?。一次関数は簡単なのでサルでも(人間でも(^^))理解できるからですよ。グニャグニャ曲がった高次関数でも、微分して局所的に一次関数に直せば色んな情報が得られる。じっさい増減表なんて、そういう発想じゃないですか。
ところが大学では、多変数関数ってのが出てきます。これも現場がそういうのを要求するからです。「関数の局所線形化」の精神に則って多変数関数の微分を(1)の形で正直に書いてやったのが、全微分です。
ところが大学では、多変数のベクトル値関数なんてものまで出てきます。これも現場が要求するから(^^;)。
ただし(dx,dy)=(dx1,dx2)と書きました。上記を行列記法で表すと、
と書けます。(3)右辺の行列はヤコビ行列の名がありますが、これと(1)を比較すると、ヤコビ行列は明らかにベクトル値関数f(x1,x2)=(f1(x1,x2),f2(x1,x2))の導関数であり微係数です。(3)からは3つの事がわかります。
まず、「微分して局所線形化し線形代数に載っけてカッコよく処理しよう」という意図の現れ(^^)。2番目に高次元ベクトルが必要という事。3番目に行列は一次関数の高次元への一般化でなければならない、という事。
1番目はより高次の目標なので、ここでの話とは直接には関係しません。2番目の高次元ベクトルは、高次元の位置ベクトルなんか明らかじゃんと思うかも知れませんが、数学ですからね(^^;)。高次元の位置何たらが本当にベクトルかどうかを、いちいち確認する必要がありますが、それは定義なのでほとんど手をかけたくありません。そのときベクトルの定義が[定義-1]のように明確に決まっていると、「あったりまえじゃん!」と言い切れます。
3番目の一次関数の高次元への一般化は線形写像の話になり、最終的には線形写像の行列表現にいたります。そこでも[定義-1]の明解さは、かなりの威力を発揮します。だって書かれてる事だけ考えてればOKなんだもん(^^)。
(ネムネコの註)
xが有理数であれば、特別な仮定を必要としない。
ただし、xを実数とするとき、関数fが連続関数であるといった条件が必要になる。
例えば、
ウィキペディアのこの記事中にあるツォルンの補題というのは、後に出てくる選択公理や整列可能定理――「空でない、どんな集合も、その元・要素に適当な順序(まあ、大小関係だね)を与えられ、それをもとに最小の元・最小元を決められる」といったナゾの定理。このような集合を整列集合という。ただし、それがどんな順序かまでは教えてくれない。――とほとんど同値のもの。
(ネムネコの註終)
三つ目は、普通にはベクトルのようには見えないものも、ベクトルとして扱いたいがためにです。その代表は関数です。どうして関数をベクトルとみなさなけりゃいけないのさ?。そうした方が他現場で便利になる事が多々あるからですよ!。他現場ってほとんどは、数学の他理論においてですが(^^;)。
関数をベクトルと捉える考えの根底には、「関数は表だ!」というデジタルな考えがあります。関数f(x)を知っているとは、どういう事でしょう?(まだ一瞬が続てます(^^))。
f(x)の定義域に属する任意のx=x1,x2,・・・に対して関数値(f(x1),f(x2),・・・)が全てわかってれば良いですよね?。これを行う最も明解な方法が、関数を式で与える事です。例えばf(x)=x2+2x+3みたいに。関数を式で与えれば、任意のxに対する関数値は当然計算できます。
しかし事の本質が、x=x1,x2,・・・に対して関数値(f(x1),f(x2),・・・)がわかっている事であるなら、関数を式で与える必要はありません。(f(x1),f(x2),・・・)さえあれば良い事になります。じっさい(f(x1),f(x2),・・・)というデータをExcelに表として落とせば、グラフを描けます(^^;)。
次に(f(x1),f(x2),・・・)に幾何学的解釈を与えます。これ、高次元の位置ベクトルに見えませんか?。そこで(f(x1),f(x2),・・・)を、直交する座標軸ξ1,ξ2,・・・を持つ座標空間Fの一点だと考えます。ξj軸はもちろん、単位ベクトル(上付きtは転置)、
・・・という事は、任意の関数fは高次元の座標空間Fの一点として表せる事になり、逆にFの一点の(f(x1),f(x2),・・・)という情報から一つの関数が決まります。つまりFは、関数全体の集合と同等です。このFを関数空間と言います(←こんな説明で良いのか?(^^;))。
他現場からの要請により、Fはベクトル空間でなければなりません。ここで次のように思うのは当然です。
「そんなの当たり前じゃん。だって(f(x1),f(x2),・・・)は高次元の位置ベクトルなんだから!」
でも違うんですよ。このままでは(f(x1),f(x2),・・・)は高次元の位置何たら「らしい」と予想したに過ぎないんです。[定義-1]に戻れば、ベクトル空間であるからにはメンバーの和とスカラー倍が定義されてる必要があります。まだ関数空間に対して、座標点の和とスカラー倍を定義してませんよね?。
「馬鹿かお前は!。そんなの位置ベクトルの常識にてらして普通にやれば良いだろう!」
「下らねぇ事を言うな!」
そこが違うんですよ。位置ベクトルの常識にてらした関数の和とスカラー倍の定義は、関数をf,g、スカラーをλとして、
ですよね?。こう定義すれば、関数空間Fはほとんど明らかにベクトル空間です。しかし(5)は、関数の和とスカラー倍の「自然な定義」に合致するんでしょうか?。合致しなければ恐らく、(5)なんて使い物にもなりません。関数空間が扱いたいのは「あくまで関数」だからです。
関数の和とスカラー倍の「自然な定義」は以下だと思います。
いやぁ~幸いな事に一致しました(^^)。こういう作業を、well dified性の証明と言います(ちゃんと定義できる事の確認)。多くの場合その作業はルーティンワークとなり、何のためにそれをやるのか、最初はさっぱりわからないと思います。でも一言いっておきます。(f(x1),f(x2),・・・)の全体Fは無限次元空間ですからね。例えそうであっても関数空間Fがベクトル空間であるカタ(証文)を、いま取ったんです。
それにしても関数空間の作り方には、ものすごい違和感と不自然さを感じたと思います。要するに強引過ぎる!。しかし論理的首尾一貫性さえあればそれで良いんです。
個人的な思いですが、自分は数学の中に自然を反映したような美しさとか、論理的世界の素晴らしさとかは余り見ようとは思いません。数学も間違いなく現実世界の観察に根を持つものなので、そのような特質を持つのはわかります。例えばコーシーの実数の構成なんかは、ほとんど現実の量と見分けがつかないくらいの理想化モデルを提示してくれます。でもコーシー方式の実数構成は、人間の計算能力の限界をじつに見事に理論化しモデル化したものです。自分は工学系なので数学の中に、道具造りとしての面白さを見てしまいます。
そういう意味で関数空間は他現場の要請を愚直に反映したものであり、人間が人間のために役に立つように造った意志を感じます。数学は人工的構築物です。じっさい19世紀以降の数学は「宇宙は数学の言葉で書かれている」という審美主義的な仮面をかなぐり捨て、20世紀には人間の意志の塊になりました。それが抽象化であり形式化であり、一つの到達点が圏論です。それは数学に非常な自由を(と鬱陶しさも)もたらしました。だって数学は人工的構築物なんですから、便利にやりゃ~良いんです(^^;)。関数なんて[定義-1]がなかったら、絶対ベクトルなんて思えないはずです。数学は自由だ!。
四つ目の話題は、数学は自由だ!に関連した小さな話です。
戦後の最初から、位置ベクトルと矢線ベクトル(幾何ベクトル)の区別を、初等教育(高校くらい)で教えようという企みはずっとありました。ありましたが、ずっと成功してません(←ざまぁ~みろ(^^))。それは次の同値関係(註)に基づく商集合を考える必要があるからです。位置ベクトル全体の集合をVとします。これはベクトル空間になります。
a,b,c,d∈Vとして、
R:e=a-b=c-d=f
という関係Rを考えると、Rは同値関係になります。ここでeとfはベクトル空間の定義より、e,f∈Vです。じつは上記はeとfに関する関係R(e,f)なんです。ここからしてもう(高校生には)だめですよね(^^;)。
Rは同値関係なので、土台となった集合V上の部分集合として同値類C(e)などを考える事ができます。C(e)全体の事を、同値関係Rによる集合Vの商集合といいV/Rで表します。V/Rは集合の集合です。このV/Rが位置ベクトル空間Vから定義された矢線ベクトル全体で、それがベクトル空間である事の証明は、なれればルーチィンワークになります。
要するに位置ベクトルの差を、「概念を格上げして」矢線ベクトルとみなしますよ(同一視する)という事です。考えてみればいっつもやってる事ですが、ここまでの話、理解できなくてOKです(^^)。
言いたいのはこんな話、集合もおぼつかない高校生が理解できまっか?という点です。体験した話で言うと、数学が得意で数学の専門課程に入ったはずの学部初年生は普通、商構造を全く理解できません。高校生ならもっとです。こんなのを理解できる高校生はきっと中二病罹患者に違いない。だって矢線ベクトル空間は集合の集合で、集合そのものがベクトルなんですよ(^^;)。
位置ベクトルと矢線ベクトルの区別を高校くらいで教えよう、という企みの意図はわかるんですよ。それに成功したら世界初ですから。その動機は、高校生は位置ベクトルと矢線ベクトルを混同して(同一視して)使ってるから。でも位置ベクトルと矢線ベクトルの定義って、この二つを「混同して使え、混同して使え」と言ってるように見えませんか?。だから混同して使って良いんですよ!。それが工学的に最も有用で、それこそが矢線ベクトルの作り手の意志。矢線ベクトルは、それが出来るように非常に注意深く造られてます。高校生に位置ベクトルと矢線ベクトルの区別は教えるな!。
この例は[定義-1]の非常な自由さを表していると思います。と同時に非常な難解さ(鬱陶しさ)も。でもそれは人間の意図と意志の現れです。同じ人間なら、きっと読み解けるはずです(^^)。
(執筆ddt³さん)
(註)
Rを集合A上の2項関係とする。Rが同値関係にあるとは、任意のa,b,c∈Aに対して
が成り立つことをいう。
集合Aの元xに対してをxのRによる同値類といい、などで表す。同値類全体をAのRによる商集合といい、記号で表す。
たとえば、集合Aを実数(全部の集まり)とし、2項関係
と定義すれば、
が成立するので、等号「=」は同値関係である。
このあたりの話をするには、(大学の)集合論などの知識が必要になるので、今はひとまず保留だケロ。
そのうち、書くネタに困ったら、「(大学レベルの初等的な)集合」や「位相」やると思うので、その時のお楽しみだにゃ。
おそらく、その時には、ddt³さんが、「(公理的な)集合論」の記事を多数投稿したくださると思うにゃ。
「カントールの対角線論法」(自然数程度の無限(可算無限)よりも実数程度の無限はずっとずっと大きく、比較にならないほど、実数は有理数の数よりも多いという話)などが出てくるにゃ。つまり、無限は1種類ではなく、無限には等級があるといったお話)や選択公理など、常識(?)に反するような話が出てくるケロ。
なお、「数学は自由だ」は、(無限)集合論の創始者であり、ほとんど独力でその分野を開拓したカントールの有名な言葉。
行列や線形代数などでよく使われるクロネッカーのデルタ
に名を残す、当時のドイツ数学界のドン的存在のクロネッカーから、カントールはひどいイジメを受け、カントールはこの執拗なイジメが原因で精神を病み、精神病院送りにされたとか、されなかったとか。
第9話 いじめで名を残す
ワンポイントゼミ 連立1次方程式 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 連立1次方程式
2元1次連立方程式
は、行列を用いると
と書くことができる。
したがって、ad−bc≠0のとき、の逆行列を用いて、連立方程式の解を次のように求めることができる。
ad−bc=0のときは、c=ka、d=kb(k≠0)と置くことができて、
となる。
(1) q=kpならば、解は、(不定)
(2) q≠kpならば、解は存在しない(不能)。(もし、解が存在するとすると、②−k①=q−kp=0。故に、q=kpとなり、q≠kpと矛盾する)
したがって、
ad−bc=0のとき、
(1) aq−bp=0のとき、解は不定で、
(2) aq−bp≠0のとき、解は不定
したがって、
とするとき、
連立方程式AX=O、すなわち、
がO以外の解を持つ必要十分な条件はA⁻¹をもたないこと、すなわち、|A|=ad−bc=0である。
問1 次の連立方程式を行列を用いて解け。
【解】
行列を用いると、連立方程式は次のように書くことができる。
とおくと、|A|=7・4−(−5)・3=43だから、
①の両辺にA⁻¹を掛けると
(解答終)
問2 aが定数のとき、次の方程式を解け。
【解】
行列を用いると、連立方程式は
と表せる。
とおくと、|A|=a²−4。
したがって、|A|=a²−4≠0、すなわち、a≠±2のとき、A⁻¹が存在する。
よって、
|A|=a²−4=0のとき、
a=2のとき
②=2①だから、解はである。
a=−2のとき、連立方程式は
④÷(−2)=−2x+y=2となり、この連立方程式は解をもたない。
以上のことより、
a≠±2のとき、
a=2のとき、(不定)
a=−2のとき、解はない。(不能)
(解答終)
問3 x、yの連立方程式2x+5y=kx、3x+4y=kyについてx=0、y=0以外の解をもつとき、kの値を定めよ。
【解】
この連立方程式は、
と書き直すことができる。
行列を用いると、
とおくと、x=y=0以外の解を持つとき、|A|=0でなければならない。
(解答終)
ワンポイントゼミ 転置行列 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 転置行列
m×nの行列Aの行と列を入れかえてできる行列を転置行列といい、記号などであらわす。
とすると、
Aのi行j列(i=1,2,・・・,m : j=1,2,・・・,n)の成分をとあらわすと、のi行j列の成分はである。
2次の正方行列の転置行列は
である。
また、
問1 に関して、次のことが成り立つことを示せ。
【解」
(1)
(2)
一方
(3)
(解答終)
問2 Aを正方行列とする。
であるときAを対称行列、であるときAを交代行列という。
次の問に答えよ。
(1) Aは対称行列と交代行列の和の形であらわすことができることを示せ。
(2) を対称行列と交代行列の和の形で表わせ。
【解】
(1) Aを
と分解すると、
よって、は対称行列。
また、
よって、は交代行列。
したがって、Aは対称行列と交代行列の和としてあらわすことができる。
(2)
したがって、
これは対称行列。
また、
これは交代行列。
(1)より、Aは
と対称行列と交代行列に分解できる。
(解答終)