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第1回 2重積分 [重積分]

第1回 2重積分


多変数関数の微分である偏微分をやったからには多変数関数の重積分をやらないわけにはいかない。

しかし、1変数の微分積分、ならびに多変数関数の微分である偏微分と同じように細かいところまでやりだしたら、書く方も読む方もともに討ち死にしてしまうので、理論的に細かい話は避けることにするにゃ。

1変数関数の微分・積分のときもそうであったように、ここで関数と言ったら連続な関数だケロ。


まず、有界な閉区間として単純な閉長方形領域

  

の上で有界な関数f(x,y)のリーマン和を定義する。Kは有界な閉領域で、f(x,y)は最大値、最小値をもち、有界である。

定義1(リーマン和の定義)

有界閉領域[a,b]×[c,d]に対して、[a,b][c,d]の分割

  

をとり、小長方形

  

とおく。

このようなKの分け方をであらわし、Kの分割という。

  

を分割の幅という。

さらに、小長方形の面積を

  

とおく。

各小長方形から代表点を定めたとき、閉区間Kで有界な関数f(x,y)に対して

  

に関するf(x,y)のリーマン和という。

 

そして、2重積分の定義。

定義2(2重積分の定義)

関数f(x,y)が有界閉区間K=[a,b]×[c,d]で有界であるとする。このときある実数αが存在し、分割と代表点のとり方によらず

  

が成り立つとき、f(x,y)K上で重積分可能であるという。このとき

  

とあらわし、これをf(x,y)の重積分、またはリーマン積分という。


定義2について少し説明するケロ。2重積分だと大変なので、1変数の場合で説明するにゃ。

0≦x≦1で定義される次のような有界な関数を考えるにゃ。

  

さて、この関数は[0,1]上でリーマン積分可能か?

リーマン積分可能と仮定するにゃ。そうすると、積分の値は分割の仕方によらないので、[0,1]n等分するにゃ。このとき分割の幅|Δ=1/n

 ―――|Δ|→0n→∞に対応する―――

また、代表点のとり方にも積分の値はよらない。

ということで、代表点

  

を満たすどの点をとっても

  

は同じ値になるはずだにゃ。じゃ〜代表点として有理数の点をとると

  
となる。

として無理数の点をとると

  

となり、代表点のとり方によって値が変わってしまう。

よって、この関数は[0,1]上で(リーマン)積分可能ではない!!

そして、定積分の性質として次の定理を上げる。


定理1(重積分の性質)

f(x,y)g(x,y)K上で積分可能な関数とする。このとき、
acf(x,y)f(x,y)+g(x,y)K上で積分可能であり

  

(b)f(x,y)≧g(x,y)ならば

  

(c)

  


a)に関しては

  eq-01-02.png

とか何とかやるにゃ。

(b)に関しては、(a)よりK上でf(x,y)–g(x,y)は積分可能、しかもf(x,y)–g(x,y)≧0だから
  eq-01-03.png

となるので、ほとんど明らかでしょう。

(c)に関しては

  eq-01-04.png

になるので、この極限をとるとこうなるというわけ。

真面目に記号を書くと、略して書いてあるにゃ。

さらに重要な定理を追加。


定理2(連続関数の可積分性)

関数f(x,y)が有界閉区間K上で連続ならば、重積分可能である。


定理2の証明には、いろいろなことを準備する必要があるので、これは証明なしで受け入れてほしいニャ。


微分積分のおさらい [重積分]

微分積分のおさらい

多変数関数の積分・重積分をやる前に、微分と積分のおさらい。少なくとも1変数関数の微分・積分の簡単な計算が出来ないことには重積分の計算ができるはずない!!


微分係数

開区間Iで定義された関数fが点a∈I微分可能であるとは、

  

が存在することである。f’(a)を点aにおける微分係数という。


例1

  

 


導関数
  


それで導関数を求めることを微分するという。


例1からの導関数はになることは分かるよね。



でだ、代表的な関数の微分公式として少なくとも次の奴くらいは覚えてもらっていないと困る。

  

例2

  


で、さらに

  

が成り立つ。


おさらいなので、証明はしないよ。

例3

  

といったふうに計算できる。


合成関数の微分

y=g(x)w=f(y)が微分可能ならば、合成関数z=f(g(x))も微分可能で

  

である。


例4

  


積分の公式

不定積分は微分の逆演算だから、微分の公式から

  
となる。Cは積分定数と呼ばれるもの。


たとえば、

  

となることから、このことが確かめられると思う。

sinxcosxの積分は、符号を間違えやすいので注意するべし。

置換積分

x=φ(t)のとき、


例5
  siki-00-01.png

こんな感じで置換積分を使う。


偏微分

  siki-00-02.png


正確にはこれは偏導関数だけれど、この極限が存在する時、偏微分可能と言うにゃ。


例6

  siki-00-03.png

これをみるとわかるけれど、xで偏微分するときはyを定数としてxで微分すればいいし、yで偏微分すると時はxを定数としてyで微分していい。


とりあえず、これだけ知っていれば、重積分の計算に困ることはないにゃ。
ということで、次回から多変数関数の積分である重積分をやるケロ。


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