「次の極限値を求めるケロ!!」の答えだにゃ [数列と級数]
「次の極限値を求めるケロ!!」の答えだにゃ
積分を使うならば、次のように解くことができる。
x∈[k,k+1](k=1,2,3,・・・)で、
よって、
また、n≧2のとき
したがって、
この結果を踏まえて、次のように解けばよいだろう。
問題 次のことを証明せよ。
【証明】
n≧2のとき、
また
ハサミ打ちの定理より
である。
(証明終)
これまでに何度も
の証明をしているから、このことは既知として使ったにゃ。
なお、
このことは、とおき、両辺の対数をとると
したがって、
になることから理解してもらえるのではないか。
⑨³を使わずに、⑨を証明するのは結構、大変で、証明も長くなるので⑨³を使った。
したがって、
とおくと、
となり、
公式
より、
である。
次の極限値を求めるケロ!! [数列と級数]
数列の極限をやっているので、数列の極限絡みの問題を一つ!!
問題1 次のことを示せ。
次の公式
を使えば簡単に証明できるが・・・。
公式⑨を使って証明したヒトは、公式⑨使用のペナルティとして次の極限を証明するように!!
問題2 次のことを示せ。
ちゃんとやれ!!
よな。自分で解かないと力にならないけろよ。
数列の問題 [数列と級数]
数列の問題
問題 nを2より大きな自然数とする。
(1) が成り立つことを用いて、
であることを証明せよ。
(2) さらに
であることを証明せよ。
この問題は、実際に大学入試の問題として出題されたもの。
この問題の(1)はともかく、(2)はしびれてしまう。入試問題としては適切だとは思わないが、この問題は非常に興味深い問題だと思う。
というわけで、解いてみることにする。
【解】
(1) nが2より大きな自然数だからよって
上の式の右辺は初項1、公比1/2の等比数列の1〜n項までの和だから
したがって、
(2) nが2より大きい自然数だから
よって、
また、
①に代入すると
(解答終わり)
この問題を真似すると、
したがって、
よって、
である。
とすると、この数列(級数)はnの単調増加で、かつ、任意のnについて
が成立し、有界で、この数列は収束する。この極限をSとおく、つまり、
とおく。
ところで、マクローリン展開のところで
をやった。
x=1を⑨に代入すると
となり、
である。
だから、
という近似値は、結構、いい近似であることがわかる。
さらに、nが4以上のとき
を利用すると、
となり、Sと小数第4位まで一致する。
参考として、ねこ騙し数学の微分・積分の第14回ネイピア数の記事をあげておく。
http://nekodamashi-math.blog.so-net.ne.jp/2015-03-05
級数の収束の番外編 [数列と級数]
級数の収束の番外編
この級数の収束はどう証明したらいいんだろう?
ふっと、そんなことが頭に浮かんだ。
定理
α>1ならば
は収束し、α≦1ならば発散する。
この定理(?)を使えば、この級数の収束の判定はすぐにできる。
しかし、こんな定理を知らなくても、
k≧2のとき、k–1≦x≦kでだから
よって、
これだと1/1²が足りないので、両辺に1を足して
は単調増加数列で有界だから収束する。
と証明すればよい。そして、この証明は、k²やx²をαに変えれば、定理(?)の証明にそのまま流用できる。
しかし、それじゃ〜つまらない。
それで、少し――数秒――考えた。だから、n>1のとき
よって、
は収束する。
あるいは、k≧2のとき
を利用して
で、この両辺に1を足して
とすればいい。
この結果は、積分を使った証明と同じ結果じ。
これは、だから。
かつて、大学入試で次のような問題が出たことがあるらしい。
問題 が収束する。このことを用いてが収束することを示せ。
また、とするとき、SとTの間の関係を求めよ。
証明では何をどこまで使っていいのかがわからないので困ってしまうのだが・・・。
【解】
とする。
だから、
このn→∞極限をとると、
だから、
は収束する。
また、
という関係がある。
番外編 循環小数 [数列と級数]
番外編 循環小数
循環小数については数列と級数の第19回で少しだけ触れておいただけなので、その続編です。
たとえば、0.333・・・という循環小数があるとする。
これは実は
という無限級数の和のことで、
のn→∞の極限値を意味する。
aを1≦a≦9の自然数とする。
そして、と定義することにする。
この極限値は簡単に求められて、
となる。
ここでは、
を使っているよ。
ということで、最初の例として出した0.3・・・は、a=3のときなので
となる。同様に、
となる。
そして、
だケロ。0.999・・・というのは、1を循環小数の形式で表したものに過ぎない。だから、「0.999・・・と1は同じか違うのか」という問は、実は、まったくナンセンスというわけ。
もっとも、こんな難しい計算をしなくても、
と安直に求めることもできるのだが・・・。
で、もっと拡張して、
という循環小数を考える。
これは、
となる。
だから、たとえば、0.517517517・・・という循環少数は
ということになる。
ちなみに、a₁a₂a₃は数の並びで、a₁とa₂、a₃の掛け算ではないので、この点は注意してほしいニャ。
では、問題。
問題1 次の連立方程式を解け。
【解】
よって、
また、
となる。
これを解くと、
となる。
問題2
a、b、cは1<a<b<c<9となる整数で、
は等比数列をなしている。
(1) a、b、cの値を求めよ。
(2) この等比数列の第四項を循環小数であらわせ。
【解】
(1)
これが等比数列をなしているので、
これを満たすa、b、cはa=2、b=4、c=8。
(2)
よって、第四項は
ちなみに、(1)α、β、γが等比数列であるとき、公比をrとすると、
になるということを使っている。
第7回 番外編 お絵描きの練習2 [数列と級数]
第7回 番外編 お絵描きの練習2
中点連結定理
三角形ABCの辺AB、ACの中点をそれぞれM、Nとするとき、である。
証明は、ベクトルを使うと、次のようになるにゃ。
【証明】
(証明終わり)
ちなみに、三角形AMNと三角形ABCは相似で相似比は1/2である。だから、面積は
になる。
ここまではイントロ。
では、問題を解いてみることにするにゃ。問題
図のように△ABCの確変の中点を結び、△A₁B₁C₁をつくり、次々にこの操作を行って△A₂B₂C₂、△A₃B₃C₃、……を作るとき、その面積をS₁、S₂、S₃、……とすれば、
(1) △ABCの面積がSのとき、無限級数
を求めよ。
(2) △ABCの週をl、△A₁B₁C₁の周をl₁、△A₂B₂C₂の周をl₂、……とするとき、
をlであらわせ。
(1) △A₁B₁C₁の面積は△ABCの1/4だから
(2) △A₁B₁C₁は辺の長さがそれぞれ△ABCの各辺の長さの半分になっているのだから、△ABCとの周の長さには
という関係がある。
よって、
ここでは、等比数列の無限級数の公式
を使っている。(1)のときa=S/4、r=1/4で、(2)のときa=l/2、r=1/2。
この級数は一様収束するか? [数列と級数]
この級数は一様収束するか?
昨日の夜、「重積分のいい問題はないか」と、数学の演習書をちらっと覗いて、こんな問題を見つけた。
問題 次の関数列級数が一様収束することを示せ。
【解】
とする。
だから、f(x)はx=−1/√nで極小(最小)、x=1/√nで極大(最大)となる。
よって、
ということで、
で、
となり、ワイエルシュトラスのM判定法より一様収束する。
(問題終わり)
上の解答では、ワイエルシュトラスのM判定以外にも
α>1ならば
は収束する、ということも使っている。
ちなみに、f(x)という関数はf(−x)=−f(x)が成り立つので奇関数。ということで、0≦xだけを調べてもいいにゃ。
n=1の時のグラフは、次のようになる。このグラフを見れば、奇関数であることがよく分かるんじゃないだろうか。
また、問題の関数列級数がx∈Rで収束するのだから、
は0に収束する。
何故ならば、xを一つの値に固定すると、
と置くことができるにゃ。そして、
となることから分かるケロ。
もっとも、
だから、ハサミ打ちの定理よりn→∞のときに極限値が0になることからも分かる。
そして、このことから、この関数列も0に一様収束することが分かるケロ。
この問題一つでこれまで勉強してきたことを色々と復習できるので、この問題はいい問題だと思うにゃ。
ただ、これだけポンと出されると、どうやって問いたらいいのか、途方に暮れることになるかもしれない。
そして、この関数の場合、
が成り立つのであった。
何故、成り立つのかは、過去の記事を読んで欲しいにゃ。
第33回 関数項級数の一様収束の判定
http://nemuneko-gensokyou.blog.so-net.ne.jp/2015-06-29-5
ここにほとんど同じ問題が出ていて、ここでも解いているようだが・・・。
ねこ騙し数学? ウサギさんと数学 [数列と級数]
ねこ騙し数学? ウサギさんと数学
ブラゲロのところで、フィボナッチ数列(Fibonacci Sequence)が出ているようなので、この話を少し。
ブラゲロはこのことにまったく気づいていなかったと思うけれど(^^ゞ
ねこ騙し数学でも少しだけ取り上げたけれど、
フィボナッチ数列というのは、
という漸化式で与えられる数列のことにゃ。
これは、
となり発散してしまうんだけれど、
となりまして、
と置きますと、
と、フィボナッチ数列を書き換えることができるだケロ。
で、オレはこの数列の収束についてどっかでやったと思うんだけれど、
これを表計算ソフトで計算させると、
グラフにすると、こんな感じ。
で、
この数列の極限値をαとすると、
になるんだけれど、
これは美の比率といわれる黄金比といわれるものだにゃ。
この値は8/5=1.6で近似できる。
この5:8という数字、5と8という数字は、たぶん、音楽の音階の方で重要な数だと思う。
―――オレは音楽の専門家じゃない。この部分はTastenkastenさんの領域だ!!―――
で、このフィボナッチ数列は、ウサギさんと深い関係があるんだケロ。
http://www.cwo.zaq.ne.jp/bfaby300/math/fibona.html
ねこ騙し数学 不等式を証明したくなる [数列と級数]
ねこ騙し数学 不等式を証明したくなる
ネムネコ、突然、不等式を証明したくなる。
となるので、
だケロ。
うしろの不等式
などは証明の必要すらないだろうけれど、
等号が成立するのは a = b = 0のときだにゃ。
こんなことを突然書き出したのは、ちょっと、理由があるんだケロ。
に収束する数列とがあって、これをx座標、y座標の成分に持つ点列があるとするにゃ。
このとき、この点列の収束は、
任意の正の数εに対して
となる自然数Nが存在する
と書くことができるんだケロ。
このとき、
と書くんだケロ。Aはx成分がa、y成分がb の点ね。
で、この点列の収束と、は同値、同じ意味なんだケロ。
になるんで、
となるケロ。
で、
の証明は、
これから、
となり、証明終わり。
前回、数列の諸性質は、1次元であろうが、2次元であろうが、それよりも高い次元であろうが、変わらないといったケロ。
第38回 指数関数と三角関数 [数列と級数]
第38回 指数関数と三角関数
前回、正弦関数sinxは
になるという話をしたにゃ。そして、これは収束半径が∞だから、実数全域で項別微分ができて、
となるケロ。
で、指数関数のべき級数は
になるんだけれども、これを実数から複素数(虚数)まで拡大すると、
となるんだ。iは虚数単位で、√(−1)にゃ。
つまり、
関数の定義域を複素数まで拡大すれば、指数関数と三角関数には深い結びつきがあるんだケロ。
この両者は、無関係じゃないんだにゃ。
になるので、
正弦関数、余弦関数は、
と、指数関数で表すことができるんだケロ。
愛(i)によって、全く別物と考えられたものが結びつくんだから、すごいと思わないケロか?
なお、y=πを①式に代入すると、
というとっても美しい式が出てくるにゃ。
数学で最も基本的な数字、0、1、そして、円周率πと自然底eが結びつくんだ。
ちなみに、数学にはド・マーブルの定理
というものがあるけれど、
これは簡単に証明できるんだにゃ。
となるだろう。
そして、
となるけろ。
よって、
が証明された。
三角関数の倍角公式は、このド・マーブルの定理を使うと、
と出てくるケロ。
の定義域を実数から複素数z
= x + iyに拡張すると
と三角関数を拡張することができる。
この世界では、
三角関数の有名な関係
は、もはや成立しない!!
今すぐに、定義域を実数から複素数まで拡大した微分積分の話をするのはさすがに無理なのですが、年内にはやりたいと思います。
ネムネコが突然死んだりしない限り、やると思います。
それから、数列、級数、関数項級数、そして、べき級数などの諸定理は、一次元であろうが、二次元、三次元、それどころか、複素数を対象としたものでも、基本的に成り立つんだケロ。
ということで、
数列と極限の話は、これでおしまいだにゃ。