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初等的な微分方程式の解法4 クレーローの微分方程式 [微分積分]

初等的な微分方程式の解法4 クレーローの微分方程式

 

次の微分方程式

  ku-001.png

クレーローの微分方程式という。

  

(1)式の両辺をxで微分すると、

  ku-002.png

したがって、p'=0またはx+f'(p)=0である。

p'=0のとき、pは定数だからこれをcとおくと、

  

となり、これが一般解である。

また、x+f'(p)=0、すなわち、x=−f'(p)のとき、

  

これが特異解である。

 

以上より、クレーローがの微分方程式(1)の解は、

  ku-003.png

 

 

問1 次の微分方程式を解け。ただし、とする。

 ku-004.png

【解】

y'=px+p^2.png(1) y=px+p²の両辺をxで微分すると、

  ku-005.png

p'=0のとき、pは定数だからこれをp=cとおくと、一般解は

  

x+2p=0のとき、x=−2pとなり、これを用いて微分方程式y=px+p²からpを消去すると、特異解は

  ku-006.png

 

(別解)

x+2p=0のとき

  ku-007.png

だから、両辺を積分すると

  ku-008.png

これを微分方程式y=px+p²に代入すると

  ku-009.png

したがって、

  

は(任意定数を含まないので)特異解。

 

(2) 微分方程式の両辺をxで微分すると、

  ku-010.png

よって、p'=0のとき、

  

、すなわち、のとき、

与えられた方程式の両辺を2乗すると、

  ku-011.png

したがって、

  ku-012.png

 

y'=px+1÷p.png

 

(解答終)

 

クレーローの微分方程式

  ku-013.png

の特異解ku-014.pngの表す曲線は、一般解y=cx+f(c)が表す直線族の包絡線である。

 

問3 クレーローの微分方程式

  ku-013.png

の特異ku-014.png解の表す曲線は、一般解y=cx+f(c)が表す直線族の包絡線であことを示せ。。

【解】

のときだから直線と曲線は共有点を有する。

この点における曲線の接線の勾配は

  ku-015.png

だから、直線y=cx+f(c)はこの曲線の接線である。

(解答終)

 

包絡線

αをパラメータとする曲線群f(x,y,α)=0の各曲線とただ1点で接する(共通接線)を曲線を、この曲線群の包絡線という。

f(x,y,α)を3変数の級の関数とすると、曲線群f(x,y,α)=0の包絡線は、2曲線

  

の交点の軌跡で、この2式からαを消去した曲線に含まれる。

 

 

問2 次の曲線群の包絡線を求めよ。

ku-016.png

【解】

(1) y=αx+α²の両辺をαで偏微分すると、

  ku-017.png

αを消去すると、

  ku-018.png

よって、包絡線は

  ku-021.png

 

(2) の両辺をαで偏微分すると、

  ku-019.png

よって、

  ku-020.png

したがって、包絡線は

  

(解答終)

 

問2から問1のクレーローの微分方程式の特異解が一般解の包絡線になっていることが分かる。

 

特に、

クレーロー型の微分方程式の一般解がcの代数方程式の場合、その判別式=0が特異解である。

 

たとえば、問1の(1)の場合、一般解は、y=cx+c²だから、これをcの2次方程式と考え、

  ku-022.png

(2)の場合、一般解はだから両辺をc倍してcy=c²x+1とし、これをcの3次方程式と考え、

  ku-023.png

と特異解を求めることができる。

 

 

問4 次の微分方程式を解け。

  

【解】

y=px+p²の両辺をxで微分すると、

  ku-024.png

ゆえに、p'=0またはx+3p²=0

p'=0のとき、p=cで、一般解は

  

x=−3p²のとき、

  

この2式からpを消去すると、特異解は

  

(解答終)

 

【別解】

一般解はy=cx+c³だから

  

cについての3次方程式だから、その判別式=0とすると、特異解は  

  ku-035.png

(別解終)

 

(※)

3次方程式x³+px+q=0の判別式D

  ku-026.png

 

 

クレーローの微分方程式ではないが、次の問題も挙げておこう。

 

問5 次の微分方程式の一般解と特異解を求めよ。

  ku-027.png

【解】

両辺をxで微分すると、

  ku-028.png

p'=−1のとき

  ku-029.png

これを与えられた微分方程式に代入すると、

  ku-030.png

よって、

  ku-031.png

は一般解。

p=1/2のとき、

  

これを微分方程式に代入すると、

  ku-032.png

よって、

  

は(任意定数を含まないので)特異解。

(解答終)

 

したの図を見ると、この問題の場合も、特異解が一般解(の曲線群)の包絡線になっていることがわかる。

 

 

 

問6 曲線群f(x,y,α)=x-−2y+α−α²=0の包絡線を求めよ。

【解】

  ku-033.png

したがって、包絡線は

  ku-034.png

(解答終)


 


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