第9回 連続写像 [位相入門]
第9回 連続写像
連続写像
を位相空間とする。写像がX₁の点xで連続であるとは、位相空間における点f(x)の近傍Uのfによる逆像が常ににおける点xの近傍になることである。
また、Xのすてての点xでfが連続であるとき、fはからへの連続写像という。
問題 を実数直線とする。関数がxで連続であることと、
をみたすことと同値であることを示せ。
【証明】
fがxで連続であるとする。任意のε>0に対して、はf(x)の近傍であるから、よってはxの近傍である。
よって、あるδ>0があって、
すなわち、
より、
となるので、
逆を示す。
をみたすならば、f(x)の任意の近傍Uに対して、実数直線の近傍の定義より、あるε>0が存在して、
となる。
このεに対して、(1)を適用すると、あるδ>0が存在し、
よって、
これと、を合わせると、
(証明終)
定理 を位相空間とする。写像について次の4つの条件は同値である。
(1) fはX₁の各点で連続
(2) X₂の任意の開集合Oのfによる逆像は、常にX₁の開集合
(3) X₂の任意の閉集合Fのfによる逆像は、常にX₁の閉集合
【証明】
(1)⇒(4)
とおけば、Uは位相空間の開近傍。fがX₁の各点で連続であるから、は位相空間における点xの近傍である。
さらに、
対偶をとれば、
(4)⇒(3)
が成り立つ。
したがって、
となり、はX₁の閉集合となる。
(3)⇒(2)
OをX₂の開集合とし、とおく。
が成り立ち、(3)より、はX₁の閉集合。よって、は開集合。
(2)⇒(1)
X₁の点xおよびにおけるの近傍をUとし、とおく。だから。(2)より、は位相空間におけるxの開近傍。が成り立つので、はにおける近傍。よって、写像fはXの各点xで連続である。
(証明終)
連続射像の例
(1) 恒等写像は連続写像
(2) を位相空間とし、をその部分空間とすれば、包含写像は位相空間から位相空間への連続写像。
(3) を位相空間、を写像とする。fがからへの連続写像、gがからへの連続写像であれば、合成写像はからへの連続写像である。
開写像と閉写像
すべてのX₁の開集合Oに対してOのfによる像f(O)がX₂の開集合であるとき、fはからへの開写像、単にfはX₁からX₂への開写像という。
すべてのX₁の閉集合Fに対してFのfによる像f(F)がX₂の閉集合であるとき、fはからへの閉写像、単にfはX₁からX₂への閉写像という。
fがX₁からX₂への全単射であるとき、fが開写像であることと閉写像であることは同値である。
このとき、AをX₁の部分集合とすると、
が成り立つ。
AがX₁の開(閉)集合、fが開(閉)写像のとき、f(A)はX₂の開(閉)集合となるので、Aの補集合は閉(開)集合の像は閉(開)集合になるためである。
同相写像
およびを位相空間とする。写像が全単射であり、fが位相空間からへの連続写像で、fの逆写像が位相空間からへの連続写像であるとき、fは位相区間からへの同相写像であるといい、位相空間とは同相または同相位相であるという。
コメント 0