第7回 集合の内点、内部、外部、境界 [位相入門]
第7回 集合の内点、内部、外部、境界
を位相とし、AをXの部分集合とする。Aに包まれる開集合全体の和集合をで表わせば、もに属するから、はAに包まれる最大の開集合である。をAの内部または開核といい、の点をAの内点という。
Xの各部分集合をその内部に対応させることによって、Xの冪集合からへの1つの写像が定まる。この写像をの開核作用子という。
定理1 の開核作用子は次の性質をもつ。
【証明】
(1) よりXに包まれる最大の開集合はX自身である。
(3) はそれぞれAとBに包まれる開集合だからはA∩Bに包まれる開集合であり、一方、はA∩Bに包まれる最大の開集合。よって、
同様に
よって、
したがって、
(4) は開集合だからを包む最大の開集合は自分自身。よって、
(証明終)
問 X={1, 2, 3}とし、この密着位相について次の問に答えよ。
(1) {1}と{2, 3}はXの開集合か。
(2) {1}と{2, 3}の内点を求めよ。
【解】
(1) だから、{1}と{2, 3}はともにXの開集合ではない。
(2) {1}に包まれる最大の開集合は空集合∅、{2, 3}に包まれる最大の開集合は∅。
よって、
したがって、内点は存在しない。
(解答終)
を位相空間とし、AをXの部分集合とする。 Aを包むような閉集合全体の共通部分をまたはで表す。自身も閉集合であるから、はAを包む最小の閉集合である。をAの閉包といい、の点をAの触点という。Xの各部分集合にを対応させることによって、Aの冪集合からへの1つの写像が定まる。この写像をの閉包作用子という。
【証明】
(1) ∅は閉集合で、は∅を包む最小の閉集合。
(2) 定義より明らか。
(3) はそれぞれA、Bを包む閉集合だからはA∪Bを包む閉集合。一方、A∪Bを包む最小の閉集合はだから、
はA∪Bを包む最小の閉集合であり、したがってAを包む閉集合。
また、はAを包む最小の閉集合だから、
同様に
よって、
ゆえに、
(4) は閉集合だから、を包む最小の閉集合は自身。したがって、
(証明終了)
を位相空間とし、AをXの部分集合とする。Aの補集合の内部をAの外部と言い、で表し、の点をAの外点という。
Aの外部は、Aと交わらない最大の開集合である。実際、はAの補集合の内部だから開集合であり、だから。OをO∩A=∅である開集合とすると、だから、
また、
Aの内点でも外点でもないXの点をAの境界点といい、Aの境界点全体の集合をAの境界といい、やで表す。
距離空間の場合と同様に、
が成り立つ。
Xの点xが集合の触点であるとき、xをAの集積点という。Aの集積点全体の集合を導集合といいで表す。また、の点をAの孤立点という。
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