f(x)がx∈R上の連続関数であるとき、y>f(x)で定まる集合{(x,y)∈R² | y>f(x) , x,y∈R}は開集合 [位相入門]
問題 実数全体の集合をR、f(x)をx∈Rで連続な関数とする。
このとき、は開集合であることを示せ。
【解】
a∈Rとし、b>f(a)とすると、
仮定より、f(x)はRで連続なので、任意のε>0に対して、
となるδ>0が存在する。
そこで、
とし、
となるようにδを定め、
とすると、
になる(右図参照)。
よって、Aは開集合である。
(解答終)
記号
は、すなわち、aとbのうちの大きくないほうの値の意味。
図を頼りにし過ぎというという批判が来るかもしれないけれど・・・。
ちなみに、とは、(a,b)を中心とする半径ε'の円の内部、すなわち、
のこと。
上の問題の【解】ようにε’を定めれば、
になる。
また、の場合は、b<f(a)とし、
とすればよく、このことからも開集合であることを示すことができる。
したがって、
も開集合となり、この補集合、
つまり、曲線y=f(x)上の点すべてを集めたものは閉集合であり、これはAとAの外部と境界となる。
また、Aの補集合
Cの補集合
は、AとCが開集合であることより、は閉集合となる。
2018-10-10 12:22
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コメント(2)
たぶん、この適度に一般的な解法が妥当な線なんだよなぁ~。これなら大学の数学担当教官も、「良く考えたぁ~!」と激賞してくれそう(^^)。
ところで話をちょっと脇へふります。自分はけっこう仕事柄、プログラムで多角形領域内に、ある点が存在するかどうかの判定に迫られます。まぁ~基本的には一つの多角形領域に対して、内部点の候補の総当たりで済ますわけですが、そのとき利用するのが、次のような考えです。
多角形領域は、左回りに頂点が順序付けられているとします。頂点番号をj=1~n,頂点(x(n+1),y(n+1))=(x(1),y(1))と定義しておいて、判定したい問題の点の座標をp=(x0,y0)とします。そして、
v1=(x(j+1)-x0,y(j+1)-y0)
v2=(x(j)-x0,y(j)-y0)
T=Σj[ベクトルv1とv2の成す角度]
を計算します。もちろん組み込み関数のAcosやAsinを使う訳ですが、AcosやAsinの定義域の制限は、内積と外積を併用する事で対処できます。Tの結果は以下です。
(1) pがどれかの(x(j),y(j))に一致する場合はT=k(j)π。
ここにk(j)πは、頂点jの内角。
(2) pがどれかの(x(j),y(j))に一致せず、辺上にある場合は、T=π。
(3) pが領域内点の場合は、T=2π。
(4) pが領域外点の場合は、T<π。
実際には(1)ではTを計算せずに(x0,y0)=(x(j),y(j))かどうかを判定し(それはすぐできる(^^))、そうでなければTを計算します。
結果は、T=2π,π、もしくは明確にT<πになるので、数値誤差にもかなり強い方法になります。(1)~(4)になる理由は、絵を描けば速攻でわかります(^^)。
でも(1)~(4)の結果ってのは、ユークリッド距離を入れた位相構造の位相情報の明確な現れと思えませんか?。
こういうイメージがあるので、じつは次の証明で十分じゃないか?、と個人的には思っています。なんか使うと数学担当教官にぐちゃぐちゃ言われそうだったので、大学では使用しませんでしたが(^^;)。
1) y>f(x)で定義される領域Aを考え、p=(x0,y0)∈Aとする。
2) pとy=f(x)の最短距離は0でない。何故なら最短距離が0なら、pはf(x)上の点だから。最短距離をδとする。
3) pから半径εの円板による開近傍をV(ε),その周をC(ε)とする。
4) 任意のε>0に対して、V(ε)⊂Aにならないと仮定する。すなわち任意のε>0で、C(ε)とf(x)は交点を持つ。
5) pから、C(ε)とf(x)との交点への距離は、明らかにεである。
6) しかしながら4)より、任意の0<εがpとf(x)との距離になるので、ε<δが可能。
7) これは1)と2)に矛盾。
8) 従って4)の否定として、少なくとも一つ、V(ε)⊂Aとなる0<εのある事が必要。
9) これは、p=(x0,y0)∈Aが内点である事を意味する。
という訳で、この前の回答は「V(ε)⊂Aとなる0<ε」は絶対あるよ!(^^)、というイメージに基づいた回答だった訳です。
ネコ先生。1)~9)は、有効な証明と思えますか?。本当に知りたいです。
自分としては、εーδの鑑のような証明と思えるんですけど(^^;)
by ddtddtddt (2018-10-10 19:01)
コメント、ありがとうございます。
1)〜9)の証明では、fが連続関数であることを使っていませんよ(^^)
「4)のC(ε)と曲線y=f(x)が交点を持つ」というところに入っているといえば、入っているんでしょうが・・・。
曲線y=f(x)が、所々で切れていたら、つまり、連結していないければ、交点を持たないこともありますから。
この問題の場合、f(x)が連続であることと曲線y=f(x)がつながっている(連結している)こととは、ほとんど同じことだから、
うるさいことを言わなければ、これでもいいのかな。
でも、連結と連続は別の概念ですよ。
あと、
☆ 4) 任意のε>0に対して、V(ε)⊂Aにならないと仮定する。すなわち任意のε>0で、C(ε)とf(x)は交点を持つ。
は、
◇ 4’) 「あるε>0があって、V(ε)⊂A」にならないと仮定する。すなわち任意のε>0で、C(ε)とf(x)は交点を持つ。
になるんじゃないですか。
わたしが読み違えていなければ・・・
でも、まぁ、こんな定理もあるしな。
(X,d)を距離空間とし、AをXの空でない部分集合とする。Xの点xに対して、
xと集合Aの距離を
d(x,A)=inf{d(x,a) | a ∈A}
で定義する。
定理
xがAの触点であるための必要十分条件はd(x,A)=0である。
ddt³さんの主張はこれに限りなく近いもののように思います。
by nemurineko (2018-10-10 19:46)