位相 第0.5回 写像 [位相入門]
位相 第0.5回 写像
§1 写像
A、Bを空でない集合とする。Aのどの元に対してBの元を1つずつ対応させる規則が与えられたとき、その規則を集合Aから集合Bへの関数または写像という。fがAからBへの写像であることを、
であらわし、Aをfの始域または定義域、Bをfの終域または値域という。
写像f:A→Bによって、Aの元aにBの元bが対応するとき、bをfによる像といい、b=f(a)で表す。このとき、aをfによるbの原像という。
集合Aから集合Bへの2つの写像fとgは、Aのどのような元aについて常にf(a)=g(a)となるとき、写像として等しいといい、f=gまたはg=fで表す。そうでないとき、f≠gまたはg≠fで表す。
A、B、Cを3つの集合とし、f:A→B、g:B→Cを写像とする。Aの元aにg(f(a))、すなわちaのfによる像f(a)のさらにgによる像を対応させるという規則を考えると、集合Aから集合Cへの写像が得られる。これをfとgによる合成または合成写像といい、で表す。すなわち、
が成り立つ。
定理1(結合法則) 写像f:X→Y、g:Y→Z、h:Z→Wの合成写像について、
が成り立つ。
§2 全射・単射
写像f:A→Bについて、Bのどの元bに対してb=f(a)となるAの元aが存在するとき、fは全射であるといい、Aの元a₁、a₂について、a₁≠a₂ならば常にf(a₁)≠f(a₂)であるとき、fは単射という。写像fが全射かつ単射であるとき、fは全単射であるという。
集合Aが集合Bの部分集合であるとき、Aの各元aに対してとなる写像i:A→Bを包含写像という。とくにA=Bのとき、恒等写像といい、で表す。A≠Bならば、包含写像iと恒等写像は等しくない。なぜならば、対応のさせ方が同じであっても、終域が異なるからである。
写像f:A→Bが全単射であれば、Bのどの元bに対してもb=f(a)となるAの元aがただ1つ存在する。そこでb∈Bに対して、b=f(a)となる元a∈Aを対応させることによって、集合Bから集合Aへの写像が定まる。この写像をfの逆変換といい、
で表す。
定理2 f:A→B、g:B→Aを写像とする。ならばfは全射で、gは単射である。さらに、であればf、gともに全単射であり、gはfの(fはg)の逆写像である。
定理3 写像f:A→B、g:B→Cについて次のことが成り立つ。
(1) が単射であれば、fは単射である。
(2) が全射であれば、gは全射であるである。
§3 像と逆像
f:X→Yを写像、A⊂Xを部分集合とする。このときYの部分集合f(A)を
で定義し、fによるAの像という。
f:X→Yを写像、B⊂Yを部分集合とする。このときXの部分集合を
で定義し、fによるBの逆像という。
(注意)
と定義する。
定理4 f:X→Yを写像、A₁、A₂⊂Xを部分集合とするとき、次が成り立つ。
定理5 f:X→Yを写像、B₁、B₂⊂Yを部分集合とする。このとき、次が成り立つ。
定理6 f:X→Yを写像、A⊂X、B⊂Yを部分集合とする。このとき、次が成り立つ。
定理7 f:X→Yを写像、A₁、A₂⊂X、B₁、B₂⊂Yとする。このとき、次が成り立つ。
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