微分方程式のよもやま話17 微分演算子法 [微分方程式の解法]
微分方程式のよもやま話17 微分演算子法
定数係数の非同次線形方程式
の特殊解を求める方法に演算子法と呼ばれるものがある。
次の微分演算子を導入すると、
微分方程式(1)は次のように書くことができる。
ここで、
とおけば、(1)は形式的に
と書くことができる。
ここで、Dの多項式φ(D)の逆数(逆演算子)1/φ(D)を次のように定義する。
定義
φ(D)をDの整式とするとき、
を
と満たす関数とする。
この定義から、
であることは明らかであろう。
さてさて、新たに導入した微分演算子Dを用いると、次の定数係数の非同次線形微分方程式
は、次のように書き換えることができる。
ここで、φ(D)=D²+aD+bとおけば、
となる。
そして、この(6)がy''+ay'+by=f(x)の特殊解である!!
ではあるが、(6)は形式的なものであって、実際にこれを用いて(5)の特殊解を求めることはできない。
そこで、次の便利な公式を紹介する。
公式1
この公式を用いると、たとえば、次のような微分方程式の特殊解をすぐに求めることができる。
問1 次の微分方程式を解け。
【解】
同次形微分方程式y''−y'−2y=0の特性方程式は
よって、同次形方程式の一般解(余関数)は
微分方程式①は、
と書けるので、特殊解y₀は
よって、①の一般解は
(解答終)
公式(ⅰ)を知っているだけで、問題1のようなタイプの問題は簡単に解けてしまう。
さらに、次の公式を。
ここで、は実数部、は虚数部を表す。
どっから、この公式が出てきたという野暮なことを聞いてはいけない。
公式だと割りきって憶えることが重要!!
問2 次の微分方程式を解け。
【解】
同次方程式y''−2y'+3y=0の特性方程式
よって、同次方程式の一般解は
である。
ここで、
なる微分方程式を考える。
この特殊解は
したがって、
よって、一般解は
(解答終)
⑨の実数部分は
である。
したがって、微分方程式
の一般解は
である。
公式(ⅲ)、(ⅳ)を使わず、上のように解いたほうがいいように思う。
こんな公式なんて絶対に憶えるものじゃない!!
【公式(ⅰ)の略証(?)】
よって、
とおくと
(略証終)
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