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今日のクラシック、ファリャ作曲『アトランティーダ』 [今日のクラシック]

今日のクラシックは、ファリャ作曲『アトランティーダ』(モセン・ハシント・ベルダゲールの詩に基づく序曲と3部からなる舞台カンタータ)です。


約80分の大曲ですが、非常に充実した曲なので、決して、全曲を聞き通すことが苦にならない名曲だと思います。
作曲技法的には、中期〜後期ロマン派的な作曲技法が用いられているようですが、ファリャならではの、スペイン舞曲のような布のよい鋭いリズムが現れたり、ドイツのロマン派音楽にはない新しい響きも随所に現れていて、聞く者を飽きさせない。これくらいの大曲になると、通常、どこかに弛緩したところがあって、「なんか、たるいな〜」と思ったりするものですが、そういった箇所はないようです。これだけでも、ファリャという作曲家の才能が並々ならぬ非凡なものであったことの証明になるのではないでしょうか。
世俗的なカンタータなども存在しますが、カンタータといえば、キリスト教と深い関係がある宗教的な音楽だから、この『アトランティーダ』もそこはかとなく宗教音楽的なものを感じさせるようです。

ところで、ネムネコの秘密の情報源に、ファリャについての詳しい説明があったので、ここで紹介します。

ファリャは、単純に印象派の作曲家という分類にはならないですね。最初から印象主義的技法と民族音楽の融合で、独自の様式を作っていますので、もしこれを印象主義に分類するなら、ストラヴィンスキーも、『火の鳥』だけではなく、『ペトルーシュカ』も、そして『春の祭典』でさえも印象主義の語法の延長といえます。しかし、これらの作品には、「原始主義」という別の名称があります。もちろんこれは、技法からくる命名ではなく、題材が古代で、原始的なリズムを強調しているからというだけですが。

ファリャの作品は、技法的にはもちろん印象主義の作曲家の影響はかなりはっきりあります。たとえば、『三角帽子』組曲の、開始から17分20秒当たり以降、ドビュッシーの『イベリア』や、ラヴェルの『スペイン狂詩曲』『ラ・ヴァルス』などとよく似た書法があります。そして、『ラ・ヴァルス』はウィーンへのオマージュなので別ですが、『イベリア』と『スペイン狂詩曲』は、題名が示すように、スペインが題材です。つまり、フランスの印象主義の作曲家が、そもそもスペインの民族音楽の要素を取り入れることが多かったということがあります。それにラヴェルは、父親がスイス人、母親がバスク人ということで、もともとスペイン系です。シャブリエにも、狂詩曲『スペイン』がありますし。また、ファリャの『スペインの庭の夜』なども、技法的にはかなり印象主義的な作品といえます。

『クラブサン協奏曲』も昔から知っているのですが、新古典主義的な作品はこれしかないと思っていました。そもそも作品数があまり多くなく、オペラとバレエが2曲ずつあるほかは、作品表に載っている作品があまりにも少ないのです。ウィキペディアのカタロニア語版に詳しい作品表が出ていますが、やはり、初期の小品や歌曲を除くと、作品は非常に少ないです。未完成に終わって、エルネスト・アルフテルによって完成された舞台用カンタータ『アトランティーダ』というのが新古典的な作品なので、『クラブサン協奏曲』以降、新古典主義に移行したのは間違いないでしょう。
 (ネムネコ、秘密の情報源)

ネムネコだけが知るにはあまりにもったいないので、長々と引用。
『アトランティーダ』という名曲、ともども、この文章は世に埋もれさすのはあまりにもったいなさすぎる!!

なお、ここに登場する、『クラヴサン協奏曲』とは


この曲は、新古典主義的な語法で作曲されています。

そして、参考までに、新古典主義期のストラヴィンスキーのこの曲も合せて紹介!!



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