微分方程式よもやま話12 特性方程式の解が重複解の場合 [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話12 特性方程式の解が重複解の場合
微分方程式
の基本解はであり、したがって、(1)の一般解は
になる。
(1)の特性方程式は
となることから、(1)の基本解がであることは理解できる。
しかし、何故、が基本解になるのか、これがなかなか理解できなかった(というか、なかなか納得できなかった)。
とすると、
これらを(1)の左辺に代入すれば、
となり、これからが(1)の解であることはわかる。
多少、計算は複雑となるが、(2)を(1)の左辺に代入することで、(2)が微分方程式(1)の一般解であることを確かめることだって容易にできる。
だが、が(1)の基本解であることが納得できないまま、微分方程式の特性方程式の解がt=αと重解のときは例外で、「このとき、微分方程式の一般解は
になるのだ」と自分に言い聞かせ、記憶したものだった。
のちに少し知恵がつき、次のことに気づいた。
とおくと、(1)は
となる。
(4)は変数分離法を用いて、
u=0のとき、
C₁=0とすればu=0
と簡単に解くことができるが、u=0のときの扱いが少し厄介なので、ここでは違う解法を使おう。
(4)の両辺にをかけると、
したがって、
これならばu=0のときの場合分けをする必要がなく、変数分離法で解いたときの疚しさが消える。
さてさて、これで(4)の解を求めることができ、これから
という微分方程式を得ることができる。
そして(6)の両辺(?)にをかけると、
ここで、A=C₂、B=C₁とおくと、
が得られる。
このことに気づき、ようやく、(2)が微分方程式(1)の一般解であることに納得したのであった。
「だったら、そう書けばいいだろう」と思うのだが、微分方程式の教科書や演習書にはなぜかこうしたことは書いていない。
ただ、
微分方程式の特性方程式が重解αのときの一般解は
であると書いてあるのみである。
このことは当たり前すぎることで、こうした誰にもわかる低レベルのことは書かないのであろうか?
問 αを0でない実数とするとき、微分方程式
の一般解は
であることを示せ。
また、α=0のときにも、これは成り立つか。
次の定理を用いて解くこともできるが・・・。
定理
y₁、y₂を同次の2階微分方程式
の解とする。
y₁、y₂が基本解であるための必要十分条件は、ロンスキー行列式(ロンスキアン)
が0にならないことである。
また、y₁,y₂が基本解ならば、一般解はである。
なお、基本解とは、微分方程式の1次独立な解の(組の)ことである。
は微分方程式(1)の解で、
となるので、は互いに1次独立で、微分方程式(1)の基本解。
したがって、(1)の一般解は
となる。
ところで、
ロンスキー行列式W≠0のとき、なぜ、y₁とy₂が1次独立になるのであろうか?
ご存知ですか(^^)
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