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微分方程式よもやま話9 クレーロー形の方程式のことなど [微分方程式の解法]

微分方程式よもやま話9 クレーロー形の方程式のことなど

 

 

seseen-graph-0001.pngy=x²上の点(x₀,y₀)における接線の方程式は次のようになる。

  

ここで、p=2x₀とおくと、

  

というクレーロー形の微分方程式が得られる。

 

なお、クレーロー形の微分方程式の一般形は

  

である。

 

さて、

(1)を解くには、まず、(1)の両辺を微分するとよい。

  

p'=0のときは、p'=0よりp=ccは任意定数)となり、(1)式から

  

これは少し見栄えが悪いので、C=2cとすれば、

  

y=x²上の点(C,C²)における接線と一致する。

微分方程式(1)はy=x²の接線の方程式から作られたのだから、これは当たり前の結果。

p=2xのとき、

  

この結果を(1)に代入すると、

  

したがって、

  

よって、微分方程式(1)の解は、y=Cx−C²(一般解)とy=x²(特異解)である。

そして、特異解y=x²が一般解のy=Cx−C²の包絡線になっていることは明らかだろう。

 

さてさて、謎の答案では、次の曲線群の包絡線を判別式を用いて求めた。

  

すなわち、上の方程式をaの2次方程式、その判別式をDとし、

  

から包絡線を求めた。

 

しかし、この解法はどこか気持ち悪いので、包絡線の定義に沿ってこの問題を解くことにする。

 

求める包絡線の方程式をy=φ(x)とし、包絡線上の点(x₀,φ(₀))における接線の方程式を求めると、

  

(3)と(4)は同一の方程式にならなければならないから、

  

この2式からaを消去すると、

  

このまま解いてもいいけれど、x₀xに、φ(x₀)=y、さらに、φ'(x₀)=pとおくと、

  

という微分方程式が得られる。

この微分方程式はクレーロー形の微分方程式だから、両辺をxで微分すると、

  

p'=0のとき、p=C(定数)。

よって、

  

これは何かといえば、(3)式で与えられる曲線群に他ならない。

ということで、この解は除外する。

のとき、

  

(7)を(5)に代入すると、c=0

よって、

  

ひょっとしたら、これは(3)の包絡線ではないかもしれないので、(8)を(3)に代入すると、

  

x=−2aのとき、(3)、(8)ともに、y=−a²となり、方程式(3)と(8)は重根をもつことから、曲線群(3)と曲線(8)は(−2a,−a²)で接する。

というわけで、

  

が求めるべき包絡線である。

 

これで判別式を用いた解法の気持ち悪さから解放された(^^)

 

 


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