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考えるネムネコ この積分に留数定理を使いますか [複素解析]

考えるネムネコ この積分に留数定理を使いますか

 

つい最近、

「次の(広義)積分の値

  kan-shine-001.png

は、留数定理を使うと

  

と、簡単に求められます。:

といった記述を目にし、ネムネコは思わず目が点になってしまった。

何故に、この積分に留数定理を(・・?

 

留数定理

(複素)関数f(z)が閉曲線Cの内部に有限個の特異点、をもち、これらの点以外では曲線C上およびその内部で正則(微分可能)であるとき、次の関係が成り立つ。

  kan-shine-002.png

 

さらに、(1)を求めるためには、

f(z)は上半平面Im z≧0で有限個のを除き正則であり、かつ、実軸上に極を持たず、かつ、

  

であるとする。

このとき、

  kan-shine-003.png

である。

などを使わないといけない。

 

全然、簡単じゃない。

しかも、(4)で求められるのは、普通の意味での(広義)積分の値ではなく、コーシーの主値積分と呼ばれるものなので注意。

 

さて、(1)は

  kan-shine-009.png

を使うと、

  kian-shine-005.png

と、簡単に求められる。

うるさいことを言うと、

  

などと書くべきなのでしょうけれど、簡略表現として認められている。

 

そして、留数定理を使ってこの広義積分を求めたいのであれば、たとえば、次のようにすればよいだろう。

 

sekibun-ro-fig-001.pngR>1とし、積分経路である閉曲線C

  

に分解する。

ここで、

  

である。は原点を中心とする半径Rの円の上半分、半円の円弧。

そして、

  

とおく。

すると、f(z)は閉曲線Cの内部に、z=iiは虚数単位)を1次の極にもつ。

したがって、z=iにおける留数は

  

になる。

また、

  

になるので、f(z)は(3)の条件を満たしている。

したがって、(4)より

  kougi-tukaimasuka-000.png

 

これは簡単だろうか?

 

では、ここで、一つ、宿題を。

 

宿題 次の広義積分が存在することを証明しなさい。

  kan-shine-001.png

ただし、

  kan-shine-009.png

は証明に使用してはならない。

 

原始関数がどうたらかんたらってのは、この宿題の解答として絶対に認めない。そんなことを書いたら、即、0点!!

定積分、広義積分の定義に従って証明して欲しい。

 

「上に有界な(単調)増加数列は収束し、極限値を持つ」の類(たぐい)、あるいは、コーシーの収束判定条件などは使ってもいい。

あと、x∈[a,b]において、f(x)≧g(x)ならば

  

も使ってよし。

 

こういうのは、いかにも数学って感じがして、いいと思わない?

 


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コメント 1

ddtddtddt

 じつはこの積分、ラプラス型方程式の境界要素法のFree Termの計算に出てきます。

 で自分は、留数定理は使いません。使うと余計に訳わかんなくなる(^^;)。ちゃんとアークタンジェントで積分せぇ~!。

 という訳でアークタンジェント禁止ってのは、ちょっとつらいな(^^)。
by ddtddtddt (2018-04-03 18:17) 

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