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ワンポイントゼミ 行列の微分方程式への応用 [線形代数の基礎]

ワンポイントゼミ 行列の微分方程式への応用

 

§1 連立微分方程式への応用

 

次の連立微分方程式があるとする。

  sine-001.png

行列を用いてこれを表すと、

  shine-002.png

2次の正則行列Pをとり

  shine-003.png

とおき、この両辺をxで微分すると、

  shine-004.png

これらを(1)に代入すると、

  shine-005.png

となる。

したがって、行列が相異なる実数の固有値λ₁λ₂を持つならば、適当な行列Pを用いて

  shine-006.png

と対角化が可能となり、(2)は次のようになる。

  shine-007.png

この微分方程式を解くと、

  

したがって、連立微分方程式の解は

  

となる。

固有値λ₁λ₂に対する固有ベクトルをとすると、P

  

したがって、

  shine-011.png

 

問1 次の連立微分方程式を解け。

  shine-012.png

【解】

とすると、この行列の固有方程式は

  shine-009.png

固有値λ=1のとき

  

よって、その固有ベクトル(の1つ)は

  shine-010.png

λ=3のとき

  

よって、

  

したがって、(6)より

  shine-013.png

(解答終)

 

【別解】

  shine-014.png

①−②

  shine-015.png

①+②

  shine-016.png

③と④より、

  shine-017.png

ここで、

  

とおくと、

  

(解答終)

 

1階の連立2元微分方程式を例に取り説明したが、これは1階の連立n元連立方程式

  shine-018.png

にもそのまま拡張が可能で、係数行列

の相異なる固有値をとし、それに対応する固有ベクトルを

  shine-019.png

としたとき、

連立微分方程式の解は

  shine-020.png

になる。

 

 

§2 2階同次線形微分方程式(定数係数)への応用

 

次の2階の同次線形微分方程式があるとする。

  

これは

  

とおくと、上の微分方程式は

  shine-021.png

となるので、

  shine-022.png

と、1階の連立微分方程式に書き換えることができる。

行列を用いて、これを書き換えると

  shine-023.png

したがって、行列の固有値、固有ベクトルを求めることによって、この微分方程式を解くことができる。

 

問2 次の微分方程式を解け。

  

【解】

  

したがって、

  

とおくと、微分方程式は


と書き換えることができる。

とおくと、この固有方程式は

  shine-025.png

λ=1のとき

  

よって、固有ベクトル(の1つ)は

  shin-024.png

λ=2のとき

  

よって、この固有ベクトルは

  shine-026.png

したがって、

  shine-027.png

ゆえに、

  

(解答終)

 

【別解】

微分方程式の特性方程式

  

よって、

(解答終)

 

 


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