コーヒーブレイク 直線ax+by+c=0と点(x₀,y₀)の距離 [線形代数の基礎]
コーヒーブレイク 直線ax+by+c=0と点(x₀,y₀)の距離
最近、抽象的で難しい話ばかりしていたかもしれないので、少しばかり、コーヒーブレイクを入れて、一休みしよう。
問題
直線ax+by+c=0(a≠0またはb≠0)と点(x₀,y₀)の距離dは
であることを示せ。
「どこがコーヒーブレイクだ」と怒られそうですが、まあ、そう怒らないで。
この式(1)は、高校の数学に出てくる公式(のようなもの)だから、見覚えがあるだろうし、実際、数学の試験などで使ったことがあるのではないか。
何はともあれ、問題を解いてみようじゃありませんか。
【解】
点P(x₀,y₀)から直線ax+by+c=0におろした垂線の足をHとする。
直線ax+by+c=0とベクトルは垂直だから、はは平行。
したがって、
H(x,y)は
と表すことができる。
①をax+by+c=0に代入すると、
よって、
(解答終)
このように、ベクトルをうまく活用すれば、Hの座標を求めることなく、直線と点との距離の公式(1)
を求めることができる。
では、ここで宿題
宿題
直線ax+by+c=0に関してP(x,y)と対称な点Q(x',y')を求めよ。
わからないって!!
①と②を使えば、Hの座標を求めることができるでしょっ。
そして、HはPとQの中点だから、
あるいは、
って、これでは答を教えたようなものじゃないか!!
どうやら、書きすぎてしまったようだ(^^ゞ
そして、これは、原点を通る直線に関する対称移動2の別解にもなっている。
この宿題ができたヒトは、宿題で求めたPからQへの写像が一般に1次変換にならないこと、そして、c=0のときに線形写像、つまり、1次変換になることを示し、この1次変換を表す行列を求めてみるといい。
特に、a²+b²=1のとき、つまり、が単位ベクトルであるとき、どうなるか調べよ。
この記事に何が書かれているかわからないヒトは、次の問を解いてみるとよい。
そうすると、問題の解答で何が書かれているのかがわかってもらえるのではないか。
問 直線y=2x+1がある。このとき、次の問に答えよ。
(1) 直線y=2x+1に垂直な直線の傾きを求めよ。
(2) 点(2,1)を通過する直線y=2x+1に垂直な直線lの方程式を求めよ。
(3) 直線y=2x+1と直線lの交点を求めよ。
(4) 点(2,1)と直線y=2x+1と直線lの交点の距離を求めよ。
【解】
(1) y=2x+1に垂直な直線の傾きをmとすると、
(2)
(2)の別解
直線lの方程式を
とする。
点(2,1)はこの直線上にあるので、
よって、直線lの方程式は
(3) y=2x+1とより、
よって、
よって、交点は
(4) (2,1)と(2/5,9/5)の2点間の距離は
(解答終)
直線y=2x+1は直線2x−y+1=0と同じ。
したがって、(1)式より、直線2x−y−1=0と(2,1)の距離は
⑨未満の一つ覚えのように、公式(1)を使って、直線y=2x+1と点(2,1)の距離を求めるよりも、一度、この問の解答のように手順を踏んで直線の距離を求めた方が具体的なイメージをつかむことができ、実り多いものになるのではないかと思う。
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