ワンポイントゼミ 原点を通る直線の対称移動2 [線形代数の基礎]
ワンポイントゼミ 原点を通る直線の対称移動2
問題 R²のベクトルの内積をとする。を長さ1のベクトルとし、直線による折り返し写像をとする。
(1) 次の関係が成立することを示せ。
(2) Tが線形写像(1次変換)であることを示せ。
【解】
(1) 原点を通る直線Lに関して点と対称な点をとする。
問題の条件より、
1 との中点は直線L上にある
2 とは平行(※)だから、
は直線L上にあるので、
また、
①より、
したがって、
(2)
したがって、fは線形写像(1次変換)である。
(解答終)
(※) 直線L(の方程式)はだから、直線Lとは直交し、と直線Lは直交するので、とは平行である。
幾何的には、原点を通るに平行な直線に点Pからおろした垂線をHとすると、
となる。
図を見るとわかるとおり、点Pと点P'の中点をMとすると、
したがって、
このことをベクトルの演算で求めたのが問題の(1)である。
この図の場合、とは逆向きのベクトルになっているけれど、の値によって、つまり、とのなす角度によって同じ方向になったり、逆方向になったりする事に注意!!
図形的な解法だと、こうした位置関係が問題になるので、注意が必要。
大学入試で、このような問題が出題されたら、限りなく全滅に近いかもしれない(笑い)。
だって、高校生の多く――理系の大学生の多くですら――はベクトルが苦手で、内積はうまく使えないもん。
【公式至上主義者向けの力技による(1)の別解】
とすると、直線Lの方程式の方程式は
cosφ≠0のとき、
ここで、m=tanφとおくと、y=mxに関する折り返しを表す行列は
だから、
ここで、
とおくと、
一方、
だから、
したがって、
また、cosφ=0のときは、はx軸に平行な単位ベクトルとなり、直線はy軸。
このとき、
となる。
よって、
(別解終)
このように、公式に基づき、力技だけでこの問題を解くこともできる(^^)
どうせ、お前ら、こんな解答が好きなんだろう?
(※) のとき、を計算すると、これが成立することを確かめるように!!
の計算は、どこかセンスが悪い。
別解を作っているとき、かなり強い不満を憶えた。
そこで、次のようにしてみた。
計算は楽になっていないけれど、なんとなく格好良くてオシャレだにゃ。
内積は実数(スカラー)だから
と交換ができ、
も成り立つので、やましいことは何もやっていない。
ということで、
ではなく、
とした方がいいに違いない。
ところで、この変換は、
とおくと、
となる。
ここで、で単位行列。
を平面上のベクトルとすれば、
は、原点を通る単位ベクトルに垂直な直線の方程式。
を空間のベクトル、つまり、R³のベクトルとすれば、(2)式は、原点を通る単位ベクトルに垂直な平面の方程式になる。
そして、
とすれば、
そして、
さらに、
とすれば、
この写像は何を表しているんだろう。
(1)をテンソル的に書き換えれば、
ここで、
で、クロネッカーのデルタと呼ばれるもの。
試しに、とすると、
このとき、が表すのはyz平面で、(4)式はyz平面(x=0)に関する対称変換を表しているではないか。
ということは、空間ベクトルの場合、(1)式で表される写像は、原点を通るに垂直な平面に関する対称移動を表している(・・?
本当だろか?
では、
点を通り単位ベクトルに垂直な直線(平面)、
の場合、変換式(1)はどのように書き換えたらいいのだろうか。
これを求めよ。
だから、最初に、読むと呪われると警告したんだケロ!!
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