SSブログ

ワンポイとゼミ 1次変換とベクトル [線形代数の基礎]

ワンポイとゼミ 1次変換とベクトル

 

1次変換fによってベクトルがベクトルに写されるとき、fによるといい、

  

で表す。

また、1次変換fを表す行列がAであるとき、

  

で表す。

 

をベクトル、kを実数とするとき、

  

が成り立つ。

 

【補足】

fを集合Xから空でない集合Yへの写像とする。

x₁x₂∈Xkを実数とするとき、

  

が成り立つときfXからYへの線形写像という。

f(x)=axとすると、

  osen-016.png

したがって、線形写像、1次変換はf(x)=axの拡張になっていることが分かる。

 

問1 1次変換fによってベクトルがそれぞれに写されるとき、fを表す行列を求めよ。】

osen-017.png

 

問2 ベクトルをそれぞれを写す1次変換fがある。fによる次のベクトルの像を求めよ。

【解】

1次変換fを表す行列をAとすると、

  osen-001.png

これを1本の式であらわすと、

  

したがって、

osen-003.png

(解答終)

 

問3 1次変換fによって、異なる4点PQRSがそれぞれP’Q’R’S’に写されるとする。このとき、次のことを示せ。

(1) 線分PQm:nに内分する点Tは、fによって、線分P’Q’m:nに内分する点T’に写される。

(2) 

【略解】

PQRSの位置ベクトルを、それぞれ、とすると、点P’Q’R’S’の位置ベクトル

  osen-004.png

 

(1) 線分PQm:nに内分する点Tの位置ベクトルはであるから、fによる像は

  

したがって、線分PQm:nに内分する点Tは、fによって、線分P’Q’m:nに内分する点T’に写される。

 

(2) PQRSは平行だから、ある実数k≠0が存在して

  

である。

(略証終)

 

では、

互いに直交するベクトルの、1次変換fによる像をとするとき、は直交するだろうか。

1次変換fを表す行列をosen-007.pngosen-009.pngとすると、

  osen-008.png

つまり、一般に、1次変換によって直交性は保証されないことが分かる。

 

問4 平面上の点の写像によって、任意の点PQがそれぞれP’Q’に写されるとする。また、fによって原点Oは原点Oに写され、任意の実数mnm+n≠0)について、線分PQm:nの比に分ける点は線分P’Q’m:nの比に分ける点に写される。このとき、次のことが成り立つことを示せ。

【解】

とすると、題意より

  osen-010.png

 

(1) 線分OPk:1−kに内分する点の位置ベクトルは

  osen-018.png

したがって、

  osen-011.png

 

(2) 線分PQを1:1に内分する点の位置ベクトルは

  

したがって、P’Q’の中点の位置ベクトルは

  

(1)より

  

①と②より、

  

【解答終】

 

 

問題 次のうち、線形写像であるものはどれか。ただし、とする。

【解】

(1) 線形写像ではない。

なぜならば、

  osen-012.png

 

(2) 線形写像である。

なぜならば、

  osen-013.png

 

(3) 線形写像ではない。

とすると

  osen-014.png

①と②は一般に等しくないので、この写像は線形変換ではない。

(解答終)

 

問題の(3)は線形写像ではないけれど、

とすると、

  osen-015.png

が成立し、線形写像に近い性質を持っている。

 


nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。