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第53回 留数定理の実積分への応用2 [複素解析]

第53回 留数定理の実積分への応用2


タイプⅢ
 

f(z)は複素平面の上半平面Imz≧0で有限個の極を除いて正則であり、またはとする。

このとき、

  siki-53-01.png

である。


これを知っていると、


例題

  

という積分が簡単に計算できるんだケロ。


この場合、

  

とおけば、

  

となり、タイプⅢの条件を満たしている。

  の上半平面の極はz=iaのみ。そして、

  

だから、①より積分の値は

  


こういうふうに簡単にこの積分の値を求めることができる。

ちなみに、

  
と計算してもいいし、z=ia1位の極なので

  

と計算して求めればいい。


このあたりの計算法は留数の求め方を読み返してほしい。


また、f(x)が偶関数のとき、①式から

  
f(x)
が奇関数のとき

  


f(x)が偶関数のとき、f(−x)=f(x)となるにゃ。

で、

  

で、x=−tとすると右辺第1項は

  

ということで、

  

とかやれば、②式が出るにゃ。

②の時と同じようにやったんじゃ芸がないので、③に関しては少し変えるケロ。
  

となる。右辺の第2項の積分に関してはx=−tとおいて置換積分すると

  

ということで、

  

となるにゃ。



問題1 次の値を求めよ。

  

【解】

  

は偶関数。

②式と例題の結果を使って

  


問題2 次の値を求めよ。

  siki-53-07.png

【解】

  siki-53-08.png
これは奇関数なので③を使うケロ。

答はたぶん

  siki-53-09.png

だケロ。



さてさて、①の証明。

十分大きなrを取ってf(z)の上半平面上の極を半円と実軸[−r,r]の間の領域にすべて収めるようにする。

そうすると、留数定理より

  

となる。

  siki-53-11.png

ということで、証明すべき内容は

  siki-53-13.png

そして、これは次回のジョルダンの補助定理へと続くのであった。


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