第50回 留数を求める方法 [複素解析]
第50回 留数を求める方法
留数とは、孤立特異点αを中心とする関数f(z)のローラン展開を
とした時の−1次の係数のことで
のことですにゃ。また、αにおける留数をRes(α)と簡単にあらわす。
と、前回の内容を復習し、今回は留数を求める方法を紹介しますにゃ。
最もオーソドックスな方法としては、実際に関数f(z)を孤立特異点αのまわりでローラン展開するというものがある。たとえば、次のような関数の場合を考えてみるにゃ。
この関数の特異点はz=0だにゃ。
この関数の分子であるは複素平面全体で正則だから、z=0で次のようにテーラー展開(マクローリン展開)ができる。
だから、f(z)のローラン展開は次のようになる。
よって、z=0における留数は
となる。
で、前回、1位の極αにおける留数の求め方を紹介したにゃ。その方法とは、
というものだにゃ。
上の関数の場合だと、z=0は1位の極だから、この方法を使うことができる。
当然の話だけれど、同じ値になる。
1位の極αにおける留数を求める方法は次のようなものがある。
g(z)をαを1位の零点とする正則関数、h(z)をαを零点としない正則関数とするとき、z=αにおけるh(z)/g(z)の留数は
である。
この証明は次回に回すことにするケロ。
この方法を使うと、次のように計算できるケロ。
とすると、g(z)は正則であり、零点はα=0である。h(z)は正則でz=0でh(0)=0にならないのでz=0は零点ではいので②を使うことができる。
となるにゃ。
当然のことながら、求めた値は同じになる。
また、この方法を使うと、前回やった
の特異点での留数は次のように簡単に求めることができる。計算を簡単にするために、特異点をαとするにゃ。
α=±iaだから、これを上の結果に代入すれば良い。
この場合くらいならば、①の方法でも②の方法でも大差はない。だけど、
となると、計算量が全く違ってくるにゃ。
計算を簡単にするために、a=1とするけれど、②を使うならば、
となるにゃ。そして、あとは
を解いて、代入すればいい。
ここで改めて言うけれど、①と②が使えるのは、αがf(z)の1位の極の場合だけだにゃ。1位の極以外では使えないので注意するケロ。
で、より一般のn位の極の場合は、
αをn位の極とすると、そのまわりのローラン展開は
となるので、
これを(n–1)回微分し、z→αという極限をとると、生き残るのはだけなので
となるにゃ。
問題 次の関数の特異点における留数を求めよ。
【解】
なので、z=0は2位の極、z=1は1位の極である。
z=1における留数Res(1)は、①より
z=0における留数は、③より
となる。
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