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第7回 開球と集合の内点 [数学基礎]

第7回 開球と集合の内点

§1 開球

距離dを決めることが可能な集合Xがあって、a∈Xとする。さらに、εを正の実数とする。

このとき

  

開球開球体)という。

dを通常の距離(ユークリッド距離)とすると、一次元だと、開球は

  

という開区間になる。

開球に球という言葉がついているけれど、これはいわゆる三次元の球体、たとえば、原点を中心とする半径rの球

  

とは違う。

1次元、2次元、3次元といった次元から離れたもっと一般的な球で超球。


2次元で、デカルト直交座標系における点aの座標を

  

とし、点xの座標を

  

とすると、
  

という点を中心とする半径εの円の内部、開円板になる。

同様に3次元ならば、

  

になる。

そして、これから話す内容は、次元や距離の決め方の違いを超えたもっと一般的な話。
また、この開球のことをaε近傍と呼んだりもする。


§2 集合の内点

A⊂XというXの部分集合があるとする。

a∈Aに対して

  

とすることの出来るε>0が存在するとき、aA内点と呼ぶ。

たとえば、A=(0,1)⊂Rという開区間、つまり、0<x<1、より正確に書くならば

  

があるとする。

このとき、任意のa∈Aに対して

  

εを取ると、

  

となる。

仮に、a=1/4にすると、ε=1/4だから

  

となるので、

  

となる。

このことから、1/4(0,1)の内点ということになる。


では、閉区間[0,1]、つまり、0≦x≦1の内点はどうなるか。
(0,1)⊂[0,1]
だから、a∈(0,1)[0,1]の内点であることは、先にやったことから明らかだろう。
すると問題になるのは、a=0a=1

0ε近傍は

  

となる。で、例えば、ε>0x=−ε/2をとると、εをどんなに小さく取ったとしても

  

になってしまう。

もし、[0,1]に属するとすれば、

  

となって、ε>0に反してしまう。

よって、a=0[0,1]の内点ではない。
では、a=1はどうか。もしa=1[0,1]の内点だとすると、

  

となるε>0が存在することになる。

  

で、0<ε/2<εなのだから、

  

しかし、

  

にならない。

もし、なるとすれば、

  

ε>0に反してしまう。

よって、a=1は内点ではない。


ということで、
[0,1]
の内点は(0,1)ということになる。

A
の内点の集まりをAの開核Aの内部とかいって、記号でなどで表す。

このAの右肩に付いているi開核演算子などと呼んだりする。

これは、i:A→Aという写像にみなすことができるので。

つまり、

  

というわけだ。

ちなみに、を難しく書くと

  
以上のことから、(0,1)[0,1]の内部だ、開核だということになる。

つまり、

  

というわけ。

そして、

  


次回により詳しくやるけれど、

  
となる集合を開集合という。

(0,1)は開集合。

そして、開集合の補集合を閉集合と呼ぶ。
で、[0,1]は閉集合。
何故、[0,1]が閉集合になるかといえば、(−∞,0)∪(1,∞)が開集合で、[0,1]はこの補集合になっているからだ。


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