SSブログ

第4回 像の性質 [数学基礎]

第4回 像の性質


ABCを集合とする。
集合の基本的性質として、次のものがある。


(1) A⊂A
(2) A⊂BB⊂CならばA⊂C

(3) A∩B⊂AA∩B⊂B

(4) A⊂A∪BB⊂A∪B


知っているとは思うけれど、念のため、
  A∩B={x|x∈A
かつx∈B}


  A∪B={x|x∈Aまたはx∈B}
のことです。

証明はいらないと思うけれど、(3)だけやってみることにする。
x∈A∩B
とすると、「x∈Aかつx∈B」となり、x∈Aである。

つまり、

  x∈A∩B⇒x∈A

となり、

  A∩B⊂A

である。

A∩B⊂Bも同様。


問題1 (4)を証明せよ。
【証明】
x∈A
ならば「x∈Aまたはx∈B」は成立する。

だから、

x∈Aならば「x∈Aまたはx∈B」となり、

  A⊂A∪B

となる。

B⊂A∪Bも同様。

(証明終わり)

では、次。
(5) A⊂BかつA⊂Cならば、A⊂B∩C
(6) A⊂CかつB⊂Cならば、A∪B⊂C

(5)と(6)の証明は、ベン図を書くなり、好きなように証明して欲しい。

では、いよいよ、本題。

f:X→Y
A⊂XB⊂Xとする。
(Ⅰ) A⊂Bならばf(A)⊂f(B)

(Ⅱ) f(A∩B)⊂f(A)∩f(B)

(Ⅲ) f(A∪B)=f(A)∪f(B)


(Ⅰ)はほとんど明らかだから、証明はしない。

(Ⅱ)の証明は、この(Ⅰ)と(3)、(5)を使う。
A∩B⊂A
だから、(Ⅰ)より

  f(A∩B)⊂f(A)

同様に、

  f(A∩B)⊂f(B)

したがって、(5)より、
  f(A∩B)⊂f(A)∩f(B)

(証明終わり)
(Ⅲ)の証明は以下の通り。


【Ⅲの証明】

f(A)∪f(B)⊂f(A∪B)の証明

(4)より

  A⊂A∪BB⊂A∪B

(Ⅱ)より

  f(A)⊂f(A∪B)f(B)⊂f(A∪B)

となり、さらに、(Ⅰ)より、

  f(A)∪f(B)⊂f(A∪B)

f(A∪B)⊂f(A)∪f(B)の証明

y∈f(A∪B)とは、y=f(x)を満たすx∈A∪B、つまり、「x∈Aまたはx∈B」を満たすxが存在するということ。

x∈Aならば、y∈f(A)となり、

  y∈f(A)∪f(B)

x∈Bならば、y∈f(B)となり、

  y∈f(A)∪f(B)

よって、

  f(A∪B)⊂f(A)∪f(B)

となる。


以上のことから、

  f(A)∪f(B)⊂f(A∪B)かつf(A∪B)⊂f(A)∪f(B)

となり、

  f(A∪B)=f(A)∪f(B)



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。