第14回 広義積分の問題2 [広義積分]
第14回 広義積分の問題2
問題1 次の広義積分の値を求めよ。
【解】
(1)
(2)
(3) x=sin²θ(0≦θ≦π/2)とおくと
x=0のときθ=0、x=1のときθ=π/2。
よって、
(4) t=x²とおくと
よって、
ここで、
とおき、n≧1に対して部分積分を用いると、
したがって、
I₀は
だから、
したがって、
(解答終了)
ベータ関数、ガンマ関数を用いると(3)と(4)は次のように解くことができる。
【別解】
(解答終了)
問題2 f(x)が[0,∞)で連続であるとき、次のことを示せ。
(1) f(x)が有界であるならば、は絶対収束する。
(2) f(x)が非負かつ単調減少でが収束するならば、である。
【解】
(1) f(x)は有界だから、[0,∞)においてとなる定数Mが存在する。
したがって、[0,∞)において
したがって、絶対収束する。
(2) と仮定すると、[0,∞)においてf(x)≧c。
となり、は発散する。
が収束することと矛盾するので、である。
(解答終了)無限級数の場合、が収束するならばは成立するが、
広義積分の場合、が収束するならばという命題は必ずしも成立しないので注意。
広義積分と複素積分を用いて定積分を計算 [広義積分]
【解】
まず、
の不定積分を求めることにしよう。
とおくと
になるから
不定積分は求まった。
ここで、
と分解。
u=θ−2πとして、右辺第2項の積分を置換積分すると、θ=πのときu=−π、θ=2πのときu=0、さらに、dθ=duとなるので、
ということで、ε>0として
(解答終了)
不定積分を用いてこの定積分の値を求めようとすると、広義積分になってしまう。
【別解】
(解答終了)
微分積分の範囲で解けてしまったね。
また、複素関数の積分と留数定理を使うと、次のように求めることができる。
【別解2】
とすると、これはガウス平面(複素平面)の単位円|z|=1となり、さらに
となるので、
z²+4iz−1=0の解をα、βとすると
したがって、単位円|z|=1の内部にある極はαのみとなり、その留数を求めると
留数定理より
(別解2終了)
で、お前ら、積分の値は求められたのか? Part 2 意地悪は続く(^^) [広義積分]
まず、上の不定積分を求めることにしよう。
とおくと
になるから
これで、不定積分は求まった。
この結果を使って何も考えずに機械的に問題の定積分を計算すると、
へっ、へっ、へっ、へっ。
この計算のどこがおかしいか、わかるケロか。
おちゃめな動画も埋め込むケロ。
第13回 ラプラス変換入門2 微分方程式への応用 [広義積分]
第13回 ラプラス変換入門2 微分方程式への応用
§1 ラプラス逆変換
ラプラス変換の微分方程式の応用について述べる前に、まず、その前提になるラプラス逆変換の定義をあらためて提示し、ラプラス逆変換の簡単な問題を解くことにする。
関数f(t)のラプラス変換
であるとき、ラプラス逆変換は
で定義される。
例えば、
のラプラス変換は
したがって、
となる。
上では、積分することでラプラス変換を求めているけれど、この計算をすることなく、前回紹介したラプラス変換表を利用してもよい。
下の表を見ればとなることがすぐにわかる。
問 次のラプラス逆変換を求めよ。
【解】
(1) これは
を利用すればよい。
そして、n=3、a=−1とおくと
(2) まず
と部分分数に分解する。
そして、
ここでは、
という公式を使っている。
このばあい、a=−1、a=−−2であることに注意!!
(3)
ここでは、a=1、ω=1として
を使っている。
(解答終了)
§2 ラプラス変換の微分方程式へ応用
y=f(t)を[0,∞)上の級とする。そして、この導関数y'=f'(t)のラプラス変換を考えることにする。
ラプラス変換はだから、
右辺の広義積分を部分積分すれば、
そして、次の極限が
に収束するとき、導関数f'(t)のラプラス変換は次のようになる。
定理(導関数のラプラス変換)
[0,∞)上の級関数f(t)がある2つの定数a、M>0に対して
を満たすとき、s>aに対して
である。
【証明】
R>0とする。条件より
よって、
(証明終了)
2次導関数f''(t)については、
以上の結果をまとめると、
問2 ラプラス変換を用いて、次の微分方程式を解け。
【解】
L(y)=Yとおくと、
だから、微分方程式の両辺をラプラス変換すると
s+2で両辺を割ると
ラプラス逆変換すると、
(解答終了)
なお、上の計算では、ラプラス変換表の
という公式を用いている。
もっとも、ラプラス変換表を見るまでもなく
と簡単に求めることができる。
ラプラス(逆)変換を用いれば、面倒な積分の計算をせずに、ラプラス変換表と代数的な演算で微分方程式の解を求めることができる。
問3 次の微分方程式の解を求めよ。
【解】
L(y)=Yとおくと
微分方程式の両辺をラプラス変換すると、
ラプラス逆変換すると、
(解答終了)
ラプラス変換を用いると、積分の計算をせずに、微分方程式を解けるという話。
第12回 ラプラス変換入門1 [広義積分]
第12回 ラプラス変換入門1
ラプラス変換の定義
f(t)は[0,∞)で不定積分を持つとする。広義積分
が存在する実数sに対して
とおくとき、このF(s)をラプラス変換といい、記号でであらわす。
また、であるとき、F(s)からf(x)への対応をラプラス逆変換といい、
であらわす。
このとき、f(t)を原関数、F(s)を像関数という。
問1 次の関数をラプラス変換せよ。
【解】
(1)
(2)
したがって、
(3)
(解答終了)
上記の記号
のことで、例えば、(1)の場合、
である。
問2 次の等式が成り立つことを示せ。
【解】
st=xとおくと、t=0のときx=0、t→∞のときx∞、そして、dt=dx/sだから、
また、α=nのとき、
だから、
(解答終了)
代表的な関数のラプラス変換は、ラプラス変換表という表になっており、実際は計算する必要がなく、ラプラス変換表を見ればよい。
代表的な関数のラプラス変換を以下に示す。
定理(ラプラス変換の線形性)
[0,∞)で連続な関数f(x)、g(x)がs>αでラプラス変換可能であるとする。このとき、a、bを実数とすれば、s>αに対してである。
【証明】
(証明終了)
第11回 ガンマ関数、ベータ関数の問題1 [広義積分]
第11回 ガンマ関数、ベータ関数の問題1
問題1 p>0、q>0のとき、次の広義積分をガンマ関数であらわせ。
【解】
とおくと
x=1にはt=0、x=∞にはt=∞が対応するから
ここで、さらにu=ptとおくと
だから、
(解答終了)
問題2 ガンマ関数、ベータ関数を用いて次の値を求めよ。
【解】
(1) 2p−1=3、2q−1=4を解くと、p=2、q=5/2。
したがって、
(2) 2p−1=6、2q−1=4を解くと、p=7/2、q=5/2。
したがって、で、
よって、
(解答終了)
問題3 次の値を求めよ。
【解】
(1) とおくととなり、x=1にはt=1、x→∞にはt→0が対応する。
したがって
p−1=5/2、q−1=1/2を解くと、p=5/2、q=3/2だから
ここで、
故に
(2) t=√xとおくと、x=0にはt=0、x=1にはt=1が対応し、
したがって、
p−1=1、q−1=−1/2を解くと、p=2、q=1/2。
(計算終了)
問題4 次の等式を証明せよ。
【解】
とおくと、x=2t−1。
x=−1のときx=0、x=1のときt=1、そして、dx=2tだから(解答終了)
質問の解答例 [広義積分]
質問の解答例
問1 次の広義積分は収束するか、収束しないかを判定せよ。
【解答】
t>0とする。
よって、発散する。
(解答終了)
【別解】
閉区間[0,1]では連続だから右辺第1項の積分は通常の積分。だから、右辺第2項の収束性について考えればよい。
1≦xのとき、1≦x⁴だからそして、
したがって、
は発散し、
も発散する。
【別解終了】
また、
の収束性に関しては、上記の別解の手法を真似て、次のように解けばよい。
【解答例】
x≧1では
そして、
よって、
は収束し、
は収束する。
(解答終了)
問2 次の広義積分は収束するか、収束しないか、このことを示せ。
【解答例】
x≧eのとき
そして、
したがって、
は発散する。
(解答終了)
は、t=1+x⁴とおいて置換積分すれば出てきます。
はt=logxとおいて置換積分すればよい。
また、右辺を微分し、左辺の被積分関数と一致することを示してもよい。
お前ら、次の広義積分の収束性を判断するケロ!! [広義積分]
お前らに質問するが、次の広義積分は収束するか、収束しないか、どちらだ?
収束するならばその値を求めよ。値は求められないヒトは収束することを証明するケロ!!
収束しないならば、収束しないことを示すケロ。サービス問題だケロ。
「あっ!!」と気づけば秒殺問題。しかし、
「あっ!!」と気づかずにこれを解いた奴は、気づいて秒殺した奴よりもっと凄いと思うにゃ。そして、何かに気づくはずだにゃ。みんな、頑張るにゃ。頑張れったら、頑張るにゃ(^^)
次の動画の4:30秒過ぎを参照!!!
こんなのチョロいというヒトは、次の広義積分にチャレンジするにゃ。
問 次の広義積分は収束するか、収束しないか、このことを示せ。
解答は、午後10時過ぎくらいに(^^)
第10回 ベータ関数、ガンマ関数の定積分の計算への応用2 [広義積分]
第10回 ベータ関数、ガンマ関数の定積分の計算への応用2
三角関数の積分へのベータ関数の応用について述べることにする。
その前に、今回使う公式を示し、その証明を与える。
公式 (ベータ関数の三角関数による表現)
【証明】
ベータ関数
に、x=sin²θとして、置換積分を施す。
このとき、x=0にはθ=0、x=1にはθ=π/2が対応し、
したがって、
(証明終了)
問1 次の積分の値を求めよ。
【考え方と解】
(1)は2p−1=3、2q−1=0、つまり、p=2、q=1/2、(2)は2p−1=4、2q−1=0、つまり、p=5/2、q=1/2と考えればよい。
そうすると、(1)と(2)は、ベータ関数を使って次のように積分の値を求めることができる。(解答終了)
上の計算では、ベータ関数とガンマ関数の重要な次の関係
と、ガンマ関数の以下の性質
を使っている。
同様に、
と、定積分の値を求めることができる。
問2 次の値を求めよ。
【解】
(1) 2p−1=5、2q−1=3を解くと、p=3、q=2。
したがって、
(2) 2p−1=4、2q−1=2を解くと、p=5/2、q=3/2だから
で、
よって、
(解答終了)
このように、ベータ関数とガンマ関数を用いると、三角関数の定積分の値を求めることができるという話でした。
第9回 ベータ関数、ガンマ関数の定積分の計算への応用1 [広義積分]
第9回 ベータ関数、ガンマ関数の定積分の計算への応用1
この話をする前に、復習をかねて、ガンマ関数とベータ関数の重要な性質について記す。
ガンマ関数とベータ関数の定義
ガンマ関数の重要な性質と値
ベータ関数とガンマ関数の関係
上記のガンマ関数とベータ関数の性質を使って、実際に、定積分の値を求めることにする。
問1 ベータ関数とガンマ関数を使い、次のことを証明せよ。
【考え方と解】
問の積分をベータ関数に帰着させるために、とおき、置換積分を施す。
このとき、
そして、積分区間の限界については、x=0のときt=0、x=βのときt=1になる。
また、
これで準備はすべて整った。
これを使って、(1)、(2)、(3)の計算をすることにする。
(1)
そして、
とベータ関数に帰着させることができる。
だから、
(2)
そして、
したがって、
(3)
(考え方と解終了)
(1)と(2)ならば、
と計算したほうが速いけれど、ガンマ関数とベータ関数の定積分の計算への応用のコツをつかむために、あえてこのように計算した。
問2 次の広義積分の値を求めよ。
【解】
この積分をベータ関数に帰着させるために、とおくと、p=q=1/2になるので、
(解答終了)