第9回 三角関数の加法定理 [三角比と三角関数]
第9回 三角関数の加法定理
§1 加法定理
前回の第8回で加法定理を証明したのだけれど、三角形限定の証明なので、より一般的な証明を与えることにする。
行列と一次変換(回転)を用いて証明する証明が一般的なのですが、ねこ騙し数学では行列や一次変換をまだ正式にやっていないので、ベクトルの内積を用いた証明を紹介。上図のように、単位円(半径1の円)周上に2点、A、Bがあり、線分OA、OBがx軸と角度α、βをなしているとする。このとき、
であり、
また、
よって
①より、
さらに、
この③を使って
この結果をまとめると、
問題1 次の値を求めよ。
(1) sin75°、cos75°、tan75° (2) sin15°、cos15 °、tan15°
【解】(1) α=45°、β=35°として、加法定理を使うにゃ。
cos75°に対しても、加法定理を使って
と計算してもいいし、三角関数の基本公式
を使って
としてもよい。0°<75°<90°だから、cos75°>0!!
tan30°、tan45°を求めて、さらに加法定理で計算するなんて、阿呆のやることだにゃ(^^ゞ
公式を憶えているから、そんな阿呆な解法を思いつく。(2) α=60°、β=45°やα=45°、β=30°として、sin(α−β)=sinαcosβ−sinβcosαを使えば・・・。
【答】
(1)の答えと似ているが、これは偶然、必然(・・?
15°=90°−75°ではある。
問題2
のとき、sin(α+β)、cos(α+β)の値を求めよ。ただし、αは鋭角、βは鈍角とする。
【解】
sinα=1/2のとき、αは鋭角なのでcosα>0sinβ=1/3のとき、βは鈍角なので、cosβ<0
よって、
sinα=1/2で、αは鋭角なので、α=30°。よって、
としてもよい。
§2 倍角公式と半角公式
に対して、α=βとすると、これを三角関数の倍角公式という。
cosの倍角公式に注目すると、になる。
θ=2αとすると、上の式は
となる。この式を半角公式と呼ぶ。
この半角公式を用いると、問題1(2)のsin15°、cos15°は、θ=30°として
と求めることができる。
問題1の(2)と値が違うように見えますが、これは同じ値だケロ!!
問題3 k=tanxとすると、
となることを証明せよ。
【解】
上の解答では
を使っている。
第8回 加法定理と中線定理 [三角比と三角関数]
第8回 加法定理と中線定理
問題1 加法定理
(1) △ABCにおいてであることを証明せよ。
(2) (1)の結果を用いて、
であることを証明し、sin75°を求めよ。
【解】
(1) 第1余弦定理△ABCの外接円の半径をR>0とすると、正弦定理
これを①に代入すると、
(2)
(解答終わり)
あくまで形式的な議論だけれど、
また、
ゆえに、
と、余弦関数の加法定理を導くことができる。
さらに、
となり、
(1)で、第1余弦定理を使っているけれど、これは次の図を見れば第1余弦定理を覚えていなくても、その場で導くことができる。
問題2 中線定理
余弦定理を用いて中線定理が成り立つ弧を証明せよ。(MはBCの中点)
MはBCの中点だからBM=MC、また、cos(180°−θ)=−cosθ。
よって、
ゆえに、
問題3 (公式?)
△ABCにおいて、1辺の長さaとその両端の角B、Cが与えられているとき、三角形の面積Sは【解】
正弦定理
これを①に代入すると、
また、
よって、
第7回 三角形の面積 [三角比と三角関数]
第7回 三角形の面積
△ABCの面積Sは
である。
このことは、次の図を見てもらえるとわかると思う。
点Cから線分ABに垂線をおろし、垂線の足(交点)をHとし、△AHCに注目すれば、
になるので、
となるし、△CHBに注目すれば、
なので、
となる。
また、△ABCの外接円をRとすれば、正弦定理
を使えば、三角形の三辺の長さと外接円の半径Rを使って
とあらわすことができる。
△ABCに内接する円があるとする。内接円の半径をrとする。
上図を見ると、△ABOの面積S₁は
になるので、△ABCの面積Sは
になる。
つまり、三角形の面積は、三角形の三辺の長さの和と内接円の半径をかけたものを半分である
問題1 △ABCにおいて、b=4、c=5、面積5のとき、2辺b、cのなす角と辺aの長さを求めよ。
【解】
b、cのなす角度をθとすると、ここで、「わ〜い、θ=30°だ」と喜ぶと、地獄を見るにゃ。
正弦関数の角関係から
が成立するので、θ=30°のとき、180°−30°=150°もこの解になる。
θ=90°の時以外は2つあるケロ。注意が必要だにゃ。
θ=30°のとき、余弦定理を使ってaの長さを求める。
θ=150°のとき
問題2 半径rに内接する正三角形の面積を求めよ。
【解】
正三角形なので中心角∠AOB=120°。
よって、△AOBの面積は
これを③倍したのが正三角形の面積なので、
ちなみに、
と簡単に求まる。
【別解】
①を使うならば、次のようにやればよい。
正三角形の一辺の長さをa、面積をSとする。①より、
また、
よって、
a≠0だから、両辺をa²で割っても構わないから
どっち使っても同じだけれど、
問題3 四辺形の対角線の長さをa、b、それとなす角をθとすれば、この四辺形の面積Sは
で与えられることを証明せよ。
【解】△ABEに注目する。この三角形の高さは
そして、これは三角形ABDの高さでもある。
よって
△AEBに注目すると、この三角形の高さは
よって
ゆえに、四角形の面積は
a=BD、AC=bとおけば、
(証明終わり)
問題4 直角三角形ABCの直角Aの3等分線が斜辺BCと交わる点を、Bの方から順にD、Eとして、AB=p、AD=x、AE=y、AC=qとする。
(1) 三角形の面積を利用してが成り立つことを証明せよ。
(2) p=1、q=2のとき、x、yの値を求めよ。
【解】また、
よって、
この両辺にpqを足す。
(2) p=1、q=2だから
で、
また、
(1)の結果を使えというのかもしれないけれど、コッチのほうが楽でしょう。
第6回 正弦定理 [三角比と三角関数]
第6回 正弦定理
正弦定理を紹介する前に、その前提となる円周角の定理を紹介。
§0 円周角の定理
円周角とは、円周上の1点から、これとは異なる同一円周上の2点に線分を引き、この2つの線分のなす角のことである。
上の図の∠CABが円周角。
円周角の定理
円周角はその弧に対する円周角の半分に等しい。
この定理の証明はしない。これを前提として議論を進めることにする。
さらに、円周角の定理から出てくるのだけれど、半円の円周角は直角90°であることも前提として話を進めるにゃ。§1 正弦定理
正弦定理
△ABCの外接円の半径をRとするとき、である。
【証明】
Cと円の中心Oを通る直線と円の交点をA’とする。円周角の定理より、∠A=∠A’で、かつ、∠A'BC=∠R。
ゆえに、
同様に、各辺に対して行えば
∠Aが鋭角ならばこれで証明終わりだけれど、例によって、直角、鈍角の場合も証明しなければならない。
直角の場合は、∠A'=∠Rの時だからいいでしょう。なので、鈍角の証明をするにゃ。
弦BCに関してAとは反対側の円周上に点Dをとる。
四角形ABDCは円に内接するので、
∠A>∠Rなのだから、∠D<∠Rとなる。
△BDCに関しては
が成立する。
で、三角関数の角関係を使うと
となるので、
(証明終わり)
問題1 △ABCについて、次のものを求めよ。
a=10、b=10√3、A=30°のとき、cとBとCを求めよ。【解】
正弦定理より
よって、B=60°のとき、C=90°、B=120°のとき,c=30°。
正弦定理より
B=60°、C=90°のときc=20、B=120°、C=30°のときc=10。
C=30°=Aになるので、c=a=10として出してもいいにゃ。
チョット先取りになるけれど、△ABCの面積Sは
正弦定理より
よって、
ここで、Rは△ABCの外接円の半径。
問題2 △ABCにおいて、A:B:C=2:3:7、b=10のとき、△ABCの外接円の面積を求めよ。
【解】A:B:C=2:3:7より、B=45°。
外接円の半径をRとすると
よって、円の面積Sは
何故、Bが45°になるかというと、
よって、B=3k=3×15°=45°になる。
問題3 次の等式を満たすとき、△ABCどんな三角形か。
【解】
正弦定理より
(1) これを代入すると、
よって、B=90°の直角三角形。
(2) 代入すると、
よって、
よって、C=30°、またはC=150°の三角形。
第5回 余弦定理 [三角比と三角関数]
第5回 余弦定理
余弦定理には、第1余弦定理、第2余弦定理の2つがある。そして、一般に余弦定理と呼ばれているものは、第2余弦定理だケロ。
第1余弦定理
第2余弦定理
§1 第1余弦定理
第1余弦定理を証明するにゃ。
【証明】Aから線分BCに垂線をおろし、その垂線の足をHとする。
この時、
よって、
b、cについても同様。
(証明終わり)
なのですが、次のような∠Bが鈍角の鈍角三角形の場合もある。
このときは、
∠B=∠R(直角)のときは、
で、これは三角比の定義そのものだから成り立つ。
鋭角三角形、直角三角形、鈍角三角形であろうが、いずれにせよ、成り立つというわけです。
この定理は、実は、意外に使い道がない(^^ゞ
§2 第2余弦定理
【証明】
点Bから線分CAに垂線をおろし、その垂線の足をHとする。また、△CHBも直角三角形なので、
となる。
そして、三角比より
これを代入すると、
あとは、同様に・・・。
(証明終わり)
ここでも、先の第1余弦定理の証明と同じように、鋭角、直角、鈍角三角形に分けて証明しないといけないけれど、面倒なのでしないにゃ。
これは循環論法で証明になっていないという話もあるが(^^ゞ
気が向いたら、証明を付け足すにゃ。
余弦定理から三角形の三辺の長さが与えられていると、次のように角度を求めることができる。
非常に美しい式の形をしているので、この式が好きだというヒトは結構いるにゃ。
問題 △ABCにおいて、BC=4、CA=5、AB=6のとき、
(1) cosBを求めよ。
(2) sinBを求めよ。
(4) 辺AB上の点EをAE=4となるようにとったとき、CEの長さを求めよ。
【解】
(1) a=BC==4、b=CA=5、c=AB=6とすると、余弦定理より
(2) sin²B+cos²B=1だから
(3) AH=AB×sinBだから
(4) △BCEに対して余弦定理を用いると
実は、(1)、(2)は、ヒントとなるように付け足した小問なんだけれど、余弦定理の使い方がよくわかるいい問題だと思う。
(3)、(4)は、三平方の定理と2次方程式を用いれば、余弦定理を使わなくても解けることは解けるけれど、計算が大変だケロよ。
第4回 三角関数の角関係 [三角比と三角関数]
第4回 三角関数の角関係
§1 三角関数の角関係
三角関数には、角関係と呼ばれる次のようなものあります。
(1)の関係については、この図を見れば、何故こうなるのか、わかると思うにゃ。
(2)は、次の図を見ればわかると思うにゃ。
なのですが、
と導くことができる。
(3)は、次の図から、何故こうなるか、わかると思うにゃ。
三角関数の角関係については、お絵描きにまさるものはない。そして、繰り返し言っていますが、これらの公式は絶対に覚えてはいけない。覚えると、絶対に忘れるにゃ。忘れるだけでなく、覚え間違いをしているかもしれない。
とにかく、お絵描き。そして、sinθは、単位円のx座標の成分、cosθはy座標の成分という基本さえ掴んでおけば、間違えることはない。
§2 問題
問題1 次の不等式を同時に満たす角度θは何象限か。
(1) sinθ<0、cosθ>0 (2) cosθ<0、tanθ>0【解】
単位円(半径1の円)上の点P(x,y)とする。そうすると、x=cosθ、y=sinθ。
(1) x=cosθ<0、y=sinθ>0。よって、第2象限。
(2)
よって、xとyは同符号。
また、x=cosθ<0より、y<0。
よって、x<0、y<0となり、第3象限。問題2 θは第3象限の角であり、
のとき、tanθの値を求めよ。
【解】
θは第3象限にあり、tanθ>0。
よって、
問題3 0≦θ≦π/2のとき、
の最大値と最小値を求めよ。
【解】
グラフを書くと次のようになる。よって、θ=π/3のとき最大で最大値は3、θ=0のとき最小で最小値は2。
ちなみに、このグラフは、
を左にπ/6、上に1だけ平行移動したもの。
問題4 次の関数の最大値と最小値を求めよ。
【解】
(1) −1≦cosx≦1だから、yはcosx=−1のとき最小で最小値は1、cosx=1のとき最大で最大値は5。
(2) 答えだけ。最大値は5、最小値は1。(1)の結果を使えば、こうなるにゃ。問題5 次の方程式を満たす角θを求めよ。
【解】
(1)
ここで、単位円を書く。
単位円なのでcosθは点Hだにゃ。直角三角形OAHで考えると、OH=√3/2だから、α=30°=π/6だにゃ。
ということで、
これを見るとわかるけれど、
と書ける。
なので、一般角は
をみて、θ=150°=5π/6という数字が頭の中に浮かぶヒトはこんな面倒なことをする必要はないけれど、θ=−5π/6が解であることを見落としたりするので、頭の中でこの図をイメージしたほうがいいと思うにゃ。
(2)
−π/2<2θ<π/2の範囲でtan(2θ)=√3になるのは、2θ=60°=π/3(rad)のとき。tanは周期πだから、一般角はこの値にnπをつけないといけない。
(3)
第3回 三角関数 [三角比と三角関数]
第3回 三角関数
§1 円と扇型(小・中学の復習)
上の図に示すような半径rの円と、中心角をx°とするその扇型があるとする。
このとき、円弧ABの長さlは次のような簡単な比例関係から
と求められる。
また、同様な比例計算から扇型の面積Sは
となる。
§2 弧度法
(1)、(2)を見ればわかるけれど、この180°や360°という定数が邪魔で何とも目障りだにゃ。円周率πも定数だし、そこで、
という新たな角度θを導入すれば、(ⅰ)、(ⅱ)は次のように非常にシンプルな形で表される。
そして、上の⑨から円弧の長さlと半径rを用いて、新たな角度θが次のように定義される。
このように定義された新たな角度θを弧度法による角度とかいい、その単位をrad(ラディアン)とする。
度数法から弧度法への角度の変換式は(a)で与えられるのだけれど、180°がπ(rad)なので、
と覚えておけば、すぐに度数法から弧度法へ、そして、弧度法から度数法へと変換できるにゃ。
数学(の問題)でよく出てくるのは、
だから、この変換くらいはすぐにできるようになって欲しいにゃ。
180°がπ(rad)だから、覚える必要もないもないけれど・・・。
§3 三角関数
三角比は直角三角形の辺の比で次のように定義される。だから、当然のことながら、角度の範囲は0<A<90°だにゃ。A≧90°だと、直角三角形にならないケロ。
これでは何かと不便なので、三角比を元に三角関数を次のように定義するにゃ。
原点を中心とする半径rの円周上の点Pのx座標、y座標をx、yとし、さらに、線分OPとx軸となす角度をθ(半時計回りが正、時計回りは負)とする。
と定義する。
このように定義すれば、三角比の角度の制限がなくなり、θを実数全体に拡張できるにゃ。
そして、このように定義された関数を三角関数と言う。r=1、つまり、原点を中心とする単位円の場合、三角関数の定義は簡単になり
どちらで三角関数を定義しても構わないにゃ。
ところで、円周上の点Pに対して
が成立し、さらに、r>0なので、r²で両辺を割ると、
となる。
また、
が成立し、三角関数が三角比の自然な延長になっていることが理解できると思う。
さらに、sin²θ+cos²θ=1の両辺をcos²sθで割ると、
結果をまとめると、
§3 三角関数のグラフ
y=sinx、y=cosxのグラフを書くと次のようになる。xは弧度法の角度で単位はrad。
この図を見るとわかるけれど、sinxとcosxともに2πという周期をもつ周期関数で、当たり前といえば当たり前だけれど、
ちなみに、周期関数とは定義域内のすべてのxに対して
が成り立つ定数pを有する関数のことで、この定数pを周期という。
tanxをグラフにすると、次のようになる。
この関数は定義からわかると思うけれど、分母である余弦関数cosxが0になるところ、つまり、cosx=0で不連続になる。そして、周期はπだにゃ。
§4 一般角
複素関数のところでも少し話したけれど、角度は一意じゃ〜ない。
度数法で書くと、角度α°とぐるりと一周した角度α°+360°、さらにn周した角度α°+360°nと区別することができない。ということで、
を一般角というにゃ。
弧度法だと一般角は
となる。弧度法単位はrad(ラディアン)なので、この点は注意して欲しいにゃ。
第2回 三角比2 [三角比と三角関数]
第2回 三角比2
前回やった三角比の応用として、三角比を使って幾何的な問題をいくつか解くことにするにゃ。
問題1 A=∠R(直角)の直角三角形ABCにおいて、頂点Aから斜辺BCにおろした垂線の足をDとするとき、ADを辺BC(=a)と∠Cであらわせ。
△ABCで
また、△ADCで
①を②に代入して、
【別解】
△ABCで
また、△ABDで
よって、
問題2 下の図を用いて、tan22.5°、tan67.5°を求めよ。
【解】
線分BC上に、∠ABC=∠DAB=22.5°となるような点Dをとる。そうすると、三角形ABDはBD=DAの二等辺三角形になる。
このとき、∠ADB=45°になり、三角形ADCはDC=CA=aの直角二等辺三角形。三平方の定理を使うと、ADの長さは
よって、BD=AD=√2a。
また、tan66.5°は
問題にはないけれど、三角形ABCは直角三角形なので、三平方の定理が成り立ち、
これから、ABの値が求まる。
だから、sin22.5°、cos22.5°の値が求まるにゃ。
また、前回やった
から、cos22.5°、そして、sin22.5°の値が順に求められる。
この計算をして、同じ値になることを確かめて欲しいにゃ。
問題3 次の図のように、観測者の目の点Eから木の頂上を見上げたら、∠AEC=45°、また点Eから木の根元Bを見下ろしたら、∠CEB=30°で、EからBまでの距離は3mであった。木の高さBAを求めよ。
【解】
△EBCに注目!!
だね。
また、
△ECAは、∠ECA=∠R、CE=CAの直角三角形だから、
よって、
【別解】
頭は飾りじゃないケロよ。少しは頭を使うべきだと思うケロ。
第1回 三角比1 [三角比と三角関数]
第1回 三角比1
これまで、三角関数についての話はしてきたけれど、三角関数のベースになる三角比についてはやって来なかったので、今回、その話をすることにするにゃ。
下に示すような、∠C=90°、AB=c、BC=a、CA=bの直角三角形があるとする。
このとき、三角比は次のように定義される。
△ABCは∠C=90°の直角三角形なので、三平方の定理(ピタゴラスの定理)が成立する。
c≠0なので、上の式の両辺をc²で割ると、
となり、①を使うと、
この導出過程を見れば明らかなように、②は三平方の定理⑨と同等で、三平方の定理を三角比で書き直したものである。
②を辺の長さであらわし直せば、になり、この両辺にc³をかければ、a²+b²=c²になることから、このことがわかると思う。
また、
が成立する。
さらに、cosA≠0のとき、②の両辺をcos²Aで割ると、
になり、上の式に③の関係を用いると、
ということで、早速問題を解いてみることにする。
問題1 cosA=0.8のとき、sinA、tanAの値を求めよ。
【解】sinAとcosAの間には、
という関係がある。
よって、
よって、
小数のままだと気づきにくいと思うのだけれど、これは、中学校で習った、辺の長さの比、a:b:c=3:4:5の直角三角形なんだケロ。
で、ピタゴラス数というやつだにゃ。
ちなみに、tanAは④を使っても求まるケロ。
今やっているのは、三角関数ではなく、(直角三角形の)三角比だケロ。これは直角三角形の辺の長さの比だから、三角関数とは違って、0や負の値になることはないにゃ。正の値しかとりえないにゃ。
さらに、もう一問。
問題2 次の等式を証明せよ。
【解】
ところで、直角三角形△ABCを次のように置くにゃ。
そうすると、
になる。
また、A+B=90°だから、B=90°−Aとなり、
という関係が出てくるにゃ。
あと、三角比で知っておくことは、
そして、
だにゃ。
A=45°のとき、直角三角形ABCは直角二等辺三角形になるのだから、
よって、
30°の場合は、一辺の長さがaの正三角形ABCの頂点AからBCに垂線をおろし、BCとの交点をHとする。
となり、
cos30°は、三平方の定理を使ってAHを求めてもいいし、
として求めてもよい。
要するに、
だけ覚えておけば、あとは、三平方の定理、または、
などから、cosAとtanAの値は求められってわけだ。
ちなみに、三角比の覚え方としては、次のものがあります。これで覚えるのが一番てっとり早くて安全です。。