第14回 二次関数の基本変形とそのグラフ [中学数学]
第14回 二次関数の基本変形とそのグラフ
前回、y=f(x)という関数をx軸の正の向きにp、y軸の正の向きにqだけ平行移動させると、
になるということを話した。
そして、y=f(x)=ax²という2次関数があれば、
になり、この放物線の(対称)軸はx=pで頂点は(p,q)となる。
では、本題!!
という2次関数があるとする。
これを次のように変形する。
このような変形を二次関数の基本変形と言うにゃ。
結果だけを書くと、
となり、このことから、2次関数y=ax²+bx+cは、軸を、頂点をとする放物線であることが分かる。
そして、これはy=ax²を平行移動したものだケロ。
また、このことから、
a>0のときで最小となり、最小値がとなる。
何故ならば、だから、すべてのxについて
となるからだにゃ。
同様に、
a<0のとき、で最大となり、最大値はとなる。
抽象的な話だと分かりづらいと思うので、次の問題を解いてみるにゃ。
問題 次の2次関数の頂点の座標と軸の方程式を求め、グラフをかけ。
【解】
(1) y=x²−3x+2を基本変形するケロ。
a=1、b=−3、c=2として①を使ってもいいけれど、公式なんて覚えるもんじゃないにゃ。
(2) y=x²+2x+1=(x+1)²だから、頂点は(−1,0)で軸の方程式はx=−1となる。
(3) y=−2x²−4x+1を基本変形する。
よって、頂点は(−1,3)で軸の方程式はx=−1である。
このグラフを見ると、a>0のときに軸のところで最小値に、そして、a<0のとき軸のところで最大値になることがわかると思うにゃ。
これは、基本変形すると、y=(x−2)²+1になるので、頂点は(2,1)だにゃ。そして、y≧1だから、x軸(y=0)と交わることはない。
これは何を意味しているかというと、
を満たす実数xは存在しないということ。x軸、つまり、y=0とy=x²−4x+5と交わらないからね〜。
このことは、上の2次方程式の判別式を計算してみれば分かる。
となり、この2次方程式を満たすxは虚根で、実根ではない。
判別式が出たので、
をじっと見つめるにゃ。
だから、①式は次のように書き換えることができる。
a>0のとき、で最小で、最小値はだケロ。
だから、D>0のとき、最小値はマイナスとなり、必ずこの曲線はx軸と2点で交わる。D=0のときは、最小値は0となり、この曲線はでx軸と接する。そして、重根になる。
D<0のとき、最小値はプラスだから、x軸と曲線が交わることは絶対にない。そして、この時、xの値に限らず、y>0となる。a<0のときは、グラフをひっくり返せばいいケロ(^^ゞ
ということで、結果をまとめると次のようになる。
2次関数y=ax²+bx+c
(1) 基本変形(2) 軸の方程式と頂点
(3) 最大・最小
(4) x軸との共有点
判別式をD=b²−4acとすると、D>0ならば共有点(交点)は2つ。D=0のとき共有点(接点)は1つ。D<0のと共有点は無し。a>0のとき、D<0ならば恒等的にy=ax²+bx+c>0である。これの逆、a>0のとき、恒等的にy=ax²+bx+c>0であるならばD<0も成り立つ。
まとめとして書いてあるけれど、(4)以外は絶対に覚えてはいけないにゃ。死んでも覚えてはいけない。
頭の中、または、紙の上でx軸とy軸をかいて、放物線をえがく。そして、頂点を動かして、頂点とx軸との位置関係を考えれば、(1)〜(4)はすぐに出てくるにゃ。
だから、絶対に覚えてはいけない。
何で覚えてはいけないかって?
覚えると忘れるからだにゃ。覚えなければ、絶対に忘れることはない!!
第13回 平面上の点の移動 [中学数学]
第13回 平面上の点の移動
「急がば回れ」という言葉があるので、今回は、点の移動についてやるにゃ。
§ 平面上の点の移動
xy座標平面上に点A(x,y)があるとする。x軸、y軸に関して対称、さらに、原点OについてAと対称な点は、図から分かるように次のようになる。
(ⅰ) x軸について対称 (x,−y)
(ⅱ) y軸について対称 (−x,y)(ⅲ) 原点について対称 (−x,−y)
そして、点Aを(ⅰ)、(ⅱ)、(ⅲ)の点に対応させれば写像となり、その写像をφとすれば(1) x軸について対称移動 φ:(x,y)→(x,−y)
(2) y軸について対称移動 φ:(x,y)→(−x,y)(3) 原点について対称移動 φ:(x,y)→(−x,−y)
となる。さらに、点A(x,y)をを平行移動させれば、
(4) 平行移動 φ:(x,y)→(x+α,y+β)となる。
今回、こんなことをやりたいわけじゃないにゃ。やりたいのは、平行移動によって関数の像がどう変わるかだにゃ。
今、仮にy=f(x)という関数があるとする。そして、この平面上の点A(x,y)をx軸方向にα、y軸方向にβだけ移動させ、A’(x’,y’)になったとする。この時、(x,y)と(x’,y’)の間には(4)次のような関係がある。
では、これによってy=f(x)の像はどうなるか。⑨をxとyについて解けば、
になるので、これをy=f(x)に放り込む。
そうすると、
となる。
このままだと見た目が悪いので、x’、y’をx,yに直すと、となるにゃ。
たとえば、原点を通る傾きmの直線をy=f(x)=mxとし、これを(α,β)だけ平行移動させれば、
となる。
この式、②は見覚えがないケロか? そうだケロ、これは点(α,β)を通る傾きがmの直線の方程式だケロ。ということで、y=mx上の点をすべて、x軸に沿ってα、y軸に沿ってβだけ移動させたものと考えることもできるというわけ。
じゃぁ〜、中学で習う2次関数y=f(x)=ax²は、この平行移動によってどうなるか。
になる。
たとえば、y=f(x)=x²、α=1、β=−2とすると、
となる。
y=f(x)=x²の対称軸はx=0で頂点は(0,0)で、y=g(x)=(x−1)²−2=x²−2x−1の対称軸はx=1、頂点は(1,−2)になっているので、y=x²を(1、−2)平行移動させた曲線になっていそうだ(^^)
突然、何でこんなことを言い出したいかというと、
という2次関数を、次回、取り上げたいんだにゃ。
そして、このためには、どうしてもこの知識が必要になるので、こういう話をしたというわけ。
②を、次のような形に変形したいんだケロ。
この変形の仕方を次回、やるにゃ。
実は、この変形の仕方は、すでに2次方程式の解の公式のところの平方完成で出ているのだけれど・・・。
ところで、f(x)=a/xとし、これを(p,q)だけ平行移動させると、
になる。
第12回 二次方程式の判別式と解と係数の関係 [中学数学]
第12回 二次方程式の判別式と解と係数の関係
§ 二次方程式の判別式
二次方程式
の解は、
である。
②より根号√の中が負になると二次方程式の解は複素数になるので、二次方程式①が実数解(実根)をもつためにはがD≧0でなければならない。
また、判別式D=0のとき、二次方程式の解はただひとつで、その値は
となる。
ということで、③で二次方程式の解を判別できる。この③をD=b²−4acのことを二次方程式の判別式という。
そして、この判別式を用いると、二次方程式①の解は次のように判別できる。(ⅰ) D>0⇔相異なる2実根
(ⅱ) D=0⇔ 重根・重(複)解 (一つの実根・実数解)(ⅲ) D<0⇔ 相異なる2虚根
これを踏まえて、問題。
問題1 次の二次方程式の解の判別せよ。ただし、文字はすべて実数とする。
【解】
(1) a=2、b=−3、c=2として、判別式の値を計算する。
よって、相異なる2虚根。
(2) a=2、b=p、c=−2
よって、相異なる2実根。
(3) a=9、b=−12m、c=4m²
よって、重根。
(3)は、
判別式を使うまでもなく、重根であることは分かる。
問題2 方程式
が重根をもつようにaの値を定めよ。
【解】
二次方程式の根が重根なので、判別式D=0である。よって、
§ 二次方程式の解と係数の関係
二次方程式
の解は
になる。
二次方程式の解をα、βとし、
とする。
このとき、
となり、
になる。
つまり、解と係数には次のような関係がある。
この関係を、二次方程式の解と係数の関係という。
④は、こうやって導いてもいいケロ。
ax²−bx+c=0の解がx=α、βであるならば、
この係数を比較すると、
になるので、④になる。
では、問題を。
問題2 次の方程式の一つの根が−2であるとき、他の根およびaの値を求めよ。
【解】
もうひとつの根をβとすると、解と係数の関係より
になる。
よって、βは②より
①よりaは
もちろん、x=−2として、これを方程式に代入し
として、
を解いてもいい。
問題3 2x²+6−3=0の2根をα、βとするとき、次の値を求めよ。
【解】
解と係数の関係より、
(1)は(α+1)(β+1)を展開すると
(2)は
問題4 次の2数を根にもつ2次方程式を求めよ。
(1) 4,−3 (2) 3±√2
【答】(1) x²−x−12=0 (2) x²−3x+7=0
(ヒント)2次方程式の2次の係数を1とし、解をα、βとすると、求めるべき方程式は
第11回 2次方程式と解の公式 [中学数学]
第11回 2次方程式と解の公式
二次方程式の話をする前に、次のことを確認しておくにゃ。
また、
そして、最後に因数分解の次の公式。
§ 二次方程式
2次方程式とは2次の多項式で表される方程式のことで、そのの一般形は次のようになる。この2次方程式をどうやって解くかというと、先に述べて3つの知識を使って、式を変形して解を求める。
たとえば、
であったら、
といった具合に解く。
あるいは、4を右辺から左辺に移項し、
と解く。最初に上げたように、(x+2)(x−2)=0ならば「x+2=0」または「x−2=0」となり、「x=−2」または「x=2」となり、これがこの二次方程式の解になる。
例1 次の二次方程式を解け。
【解1 因数分解して解を求める】
【解2 平方完成をして解を求める】
x²−3x+2=0を平方完成する。
よって、
例1のように因数分解が簡単にできる場合は、例1を見れば分かるように因数分解をして二次方程式を解いたほうが楽。しかし、次の例のように簡単に因数分解ができない場合がある。
例2 次の方程式を解け。
【解】
【因数分解による解法】
足して2になる、つまり、a+b=2で、掛けて−1になる、つまりab=−1になるaとbは何だろう(・・?因数分解を利用した解法だと、ここで行き詰まってしまう(^^ゞ
【平方完成による解法】
例2を見れば分かるように、【平方完成による解法」の方が利用範囲は広い。だけど、いちいち、平方完成するのは面倒くさい。
ということで、公式を作るにゃ。§ 解の公式
二次方程式の一般形はこれを平方完成の手法を用いて解くことにするにゃ。
ということで、
この最後の式が、二次方程式の解の公式と呼ばれるもの。
そして、この解の公式を覚えておけば、いかなる二次方程式の解も求めることができる。
例2の場合、a=1、b=−2、c=1だからと求めることができる。
ちなみに、
問題1 次の二次方程式を解け。
(1) x²−4x+3=0(2) x²-4x+1=0
【解】(1) これは簡単に因数分解できるので、因数分解して解く。
(2) これは簡単に因数分解できないので、解の公式(または、その大本の平方完成)を使って解く。
x²-4x+1=0だから、a=1、b=−4、c=1として、解の公式を使う。
問題2 xについての二次方程式
の解のひとつが1であるとき、aの値ともうひとつの解を求めよ。
【解】
x=1が①の解なので、x=1を①に代入すると、a=−3のとき、①にこれを代入すると、
となり、もうひとつの解は−1。
a=4のとき、
で、もうひとつの解は6である。
独り言ですが、二次方程式をx²+px+q=0とし、その解をα、βとすると、
となり、xの係数を比較すると、
となるので、これを使って解くこともできる。
a=−3のとき、p=0、q=−1。で、一方の解をα=1とすると、解と係数の関係より
になるのだから、β=−1と、もうひとつの解を求めることできる。
同様に、a=4のとき・・・。
第10回 平方根 [中学数学]
第10回 平方根
§ 平方根
2乗するとaになる数、すなわち、
の解(根)をaの平方根という。
前回、y=x²をやった。このグラフは次のようになる。
このグラフを見ると、a>0のとき、y=x²=aを満たすxが正と負、2つあることが分かる。
そこで、x²=aを満たす正の数を+√aとし、負の数を−√aと定義する。ただし、x²=0のとき、x=0とする。
つまり、というわけだにゃ。
これは言葉の問題になるのだけれど、「4の平方根」とは「x²=4を満たす実数x」のことで、x=±2となる。aの平方根は、a>0ならば、2つあるにゃ。
対して、√4、すなわち、「ルート4」は2だにゃ。「aの平方根を求めよ」と言われたら、±√aと答えないといけないにゃ。√aだけじゃ〜、駄目だケロよ。
x²=aを満たす方程式の解、根が±√aだから、当然、
になるケロ。
また、正数a、bに対して
すなわち、
になるにゃ。
このことは、2次関数y=x²のグラフより明らかでしょう。
で、さらに、a≧0ならば
§ 有理数と無理数
有理数とは、整数pとqを用いてと既約分数の形であらわすことのできる数のこと。
そして、有理数は、小数で表した時に、
といったように、有限桁の小数であらわされるものの他に
といったように循環する数字の列で表される循環小数というものがあり、有理数はこの2つで構成されている。
で、こういうふうに整数の既約分数で表せない数のことを無理数という。この代表的な数として、√2や円周率π、ネイピア数eなどがある。
ということで、√2が有理数でないことの証明をするにゃ。
この証明には、悪名高い「背理法」と呼ばれる証明法が使われるにゃ。【証明】
√2が有理数であると仮定する。
であるとするならば、有理数の定義よりと既約分数で表される整数p、qが存在する。
①の両辺を2乗すると、
pの2乗、p²が偶数なので、pは偶数。偶数なので、p=2kと表せる整数kが存在する。これを②に代入すると、
になる。上の議論と同様に、qは偶数となり、q=2lとあらわすことのできる整数lが存在する。
ところで、先に仮定したように
は既約分数。
だけど、分子、分母であるpとqは共通の因数2をもち、既約分数ではない。
――既約分数とは、分子と分母が1以外の公約数を持たない分数。なのに、2という公約数を持っていることになる!!――
何故、このような矛盾が生じたかというと、「√2が有理数である」という仮定が間違っていた、「偽」であったから。よって、√2は無理数である。
(証明終わり)
§ 平方根の計算
a>0、b>0のとき
が成り立つ。
平方根の分母の有理化
問題1 が6と8の間にあるとき、整数nを求めよ。
【解】
だから、
よって、n=6,7,8。
問題2 x=√3−√2、y=√3+√2のとき、x²−xy+y²の値を求めよ。
【解】
真面目に計算してもいいけれど、計算が大変だにゃ。そこで、次のように計算を工夫する。
で、
よって、
これは、よく使う計算上のテクニック!!
問題3 √2の小数部分をaとするとき、√32の小数部分をaを用いてあらわせ。
【解】1<√2<2だから、a=√2−1になる(※)。
また、 だから、この小数部分は
(※) √2=1.414・・・=1+0.1414・・・=1+aだから、a=√2−1となる。
第9回 2乗に比例する関数 [中学数学]
第9回 2乗に比例する関数
§ 2乗に比例する関数
2乗に比例する関数yがxの2乗、x²に比例する関数のことで、これは次のように表される。
aを比例定数と呼ぶ。
中学校ではこのように教えるらしい。要するに、もっとも簡単な二次関数のことだケロ。
y=x²のとき、値は、次のようになる。
次のグラフを見れば分かる通り、y=ax²のグラフはy軸について対称であり、また、y=ax²とy=−ax²はx軸について対称である。
知っていると思いますが、x²とは
のことで、たとえば、
である。
変化率
x=x₁とx=x₂のy=ax²の変化率は
となる。
これはもっと簡単になって、
になる。
ここからは逸脱になるけれど、もし、x₂が限りなくx₁に近づけば、
となり、y=ax²のx=x₁における微分係数になる。そして、この値は、y=ax²のx=x₁の接線の傾きである。
あまりに書くことがなかったので、もののついでに書いただけだにゃ。
§ 放物線と直線の交点
y=ax²とy=bx+cの位置関係をあらわすグラフを以下にしめすにゃ。a、b、cの値によって、2点で交わるときもあれば、1点で接するとき、そして、交わったり接したりしない3つの場合がある。
交点のx座標は、
という連立方程式から求められて、
とい二次方程式から求められる。
もっとも、解(実数解)があればだよ、あれば。
中学校では虚数や複素数を数として認めていないからね。この点は重要だケロ。
この流れで一気に解の公式や二次方程式の判別式の話をしてもいいけれど、今はしないにゃ。
問題2 yがxの2乗に比例し、x=2のときy=−12である。このとき、x=−1のときのyの値を求めよ。
【解】y=ax²とする。x=2のとき、y=−12なので、これをy=ax²に代入すると、
よって、x=−1のとき
問題3 y=ax²のグラフが(4,4)を通るとき、次の問いに答えよ。
(1) aの値を求めよ。
(2) xの値が4から6まで増すときの変化の割合を求めよ。【解】
(1) y=ax²が(x,y)=(4,4)を通過するので、
(2) 変化の割合は
変化の割合は、⑨を使って、次のように計算してもいいケロよ。
問題4
(1) 点Aは原点以外のx座標とy座標が等しい放物線上の点である。点Aの座標を求めよ。(2) 直線ABのy切片が4のとき、この直線の傾きを求めよ。また、点Bの座標を求めよ。
(3) △OABの面積を求めよ。【解】
(1) 点Aのx座標をaとすると、点Aは放物線上にあるので、点Aのy座標はy=a²/2となる。
よって、点Aは原点ではないので、a=0は不適。よって、a=2となり、点Aの座標は(2,2)。
(2) 直線ABの傾きは
y切片は4なので、直線の方程式は
この直線と放物線の交点を求める。
よって、Bのx座標はx=−4となり、
以上のことから、点Bの座標は(−4,8)。
(3) △OABの面積は△OCAと△OBCの面積の和。
(2)でBのy座標と求めるとき、直線の方程式を使って
としてもいいケロ。
第8回 直線 [中学数学]
第8回 直線
これまでやってきたことの復習と”まとめ”をかねて、中学数学の延長として高校数学の内容を少し含めて話をするにゃ。
1 直線の方程式
(1) 傾きa、y切片bの直線 y=ax+b(2) 点(x₀,y₀)を通り、傾きaの直線 y−y₀=a(x−x₀)
(3) 2点(x₁,y₁)、(x₂,y₂)を通る直線の方程式(4) x切片p、y切片qの直線の方程式
(4)の式ははじめて出てきたと思うんで、これだけ、説明することにする。
x切片とは、直線とx軸(y=0)の交点のx座標のこと。だから、(4)の直線は2点(0,q)、(p,0)を通る直線。(x,y)=(0,q)、(x,y)=(p,0)をに代入すれば、左辺は1になるので、これがその直線の方程式であることが分かる。
論より証拠というわけで、次の図を見れば、このことが分かるにゃ。
2 2直線の位置関係
2直線y=mx+n、y=m'x+n'について(1) 平行条件 m=m' (さらに、n=n'ならば2直線は一致)
(2) 垂直条件 mm'=−1ネムネコは、高校数学の教科書を持っていないので、教科書で(2)の垂直条件をどのように導いているかは知らない。だけれども、ベクトルを使うのならば、y=mx+nの方向ベクトル、y=m'x+n'の方向ベクトルになる。この2直線が垂直なので、この2つの方向ベクトルが垂直ということになり、ベクトルの内積を使うと、
と簡単に出てくる。
中学レベルの知識を使ってこのことを示そうと思ったけれど、これは図に頼った証明になるのでやめるにゃ。mとm'が異符号であることを無前提に使っているから、こういう証明はちょっと危ないにゃ(^^)
問題1 次の直線の方程式を求めよ。
(1) 傾きが3で点(2,−4)を通る。(2) 点(2,−5)を通りy軸に平行な直線。
(3) 2点(−5,3)、(2,−1)を結ぶ直線。(4) x切片が3、y切片が-4。
【答】
問題2 2直線y=2x+a+3、y=3x+2aが第2象限で交わるためのaの値の範囲を求めよ。
【解】2直線y=2x+a+3、y=3x+2aの交点を求める。
yを消去すると、
よって、
交点が第2象限(x<0、y>0)にあるので、
よって、3<a<9
問題3 次の直線の方程式を求めよ。
(1) 点(−1,1)を通り、直線x+3y=0に平行な直線および垂直な直線。(2) 2点(6,−2)、(−3,1)を結ぶ線分の垂直2等分線。
【解】(1)
よって、この直線に平行で点(−1,1)を通る直線は
に垂直な直線の傾きをmとすると、
よって、
(2) 欲しいのは2点(6,−2)、(−3,1)を結ぶ直線の方程式ではなく、傾きだけだケロ。ということで、傾き求める。
この線分に垂直な直線の傾きmとすると、
垂直二等分線なので、(6,−2)、(−3,1)の中点を通る。
ということで、中点求める。
よって、求める直線は
第7回 二元一次方程式のグラフと連立一次方程式 [中学数学]
第7回 二元一次方程式のグラフと連立一次方程式
§ 二元一次方程式のグラフ
二元一次方程式の一般形は、
ただし、aとbは同時に0でない。
a≠0、b≠0のとき、①は
となり、傾きがでy切片がの直線になる。
a=0のとき、となり、x軸に平行な直線になる。
b=0のとき
となり、y軸と平行な直線になる。
いずれにせよ、ax+by=cを満たす(x,y)は直線の方程式になる。
例
(1) 5x−3y=−15これをyについて解くと、
だから、傾きが5/3、y切片が5の直線になる。
(2) y=5
(3) x=2
グラフで表現すると、次のようになる。
問題 直線kx−y=3kについて
(1) y切片が3であるときのkの値を求めよ。(2) 直線y=2x+1と平行となるようなkの値を求めよ。
(3) kがいろいろな値をとるとき、この直線はある決まった点(不動点)を通る。その点の座標を求めよ。【解】
(1) kx−y=3kにx=0、y=3を代入すると、
(2)
y=kx+3kとy=2x+1が平行だから、傾きが等しく、k=2となる。
(3)
だ・か・ら、kの値にかかわらず、x=3、y=0のとき、⑨式は0になる。よって、(3,0)。
§ 二元一次方程式のグラフと連立方程式の解
次の二元一次連立方程式があるとする。①と②ともに直線なので、この連立方程式の解はこの2直線の交点になる。
具体的な例をだしたほうがわかりやすいので次の連立方程式を考えることにする。
②は①の両辺を2倍にしたものだから、この連立方程式の解はy=−2x+3という直線上のすべての点となり、解は一つに定まらない(不定)。
②が①の0以外の定数倍のときも事情は同じ。
つぎに、という連立方程式を考える。
①は傾き−2でy切片は3。②は傾き−2でy切片は5。傾きが同じなので、①と②の直線は平行で、この②直線が交わることはない。つまり解はない(不能)。
といことで、という連立方程式の解が一つであるためには、①と②が平行でないことが必要な条件になる。
このことは行列を使うとわかりやすい、この連立方程式を行列で書くと
となる。
で、もし
という行列が逆行列をもつと
がただひとつの解になる。
Aが逆行列をもつ条件は、
よって、これが二元連立一次方程式が解をもつための必要十分条件になる。
今、書いている部分の話は、中学の数学の範囲を超えているので、①と②が平行のとき、この連立方程式は解けない、ということだけを覚えて欲しい。
――内緒話だが、③はが平行でない必要十分条件!!――
問題2 2直線x+y=6、x+ay=−6が直線y=2x上で交わるとき、aの値を求めよ。
【解】x+y=6とy=2xは、互いに平行じゃないから解を持つケロ。
だから、まずこの交点を求めるにゃ。y=2xをx+y=6に代入すると、
y=2xだから、x=2のとき、y=4になるにゃ。
この(2,4)をx+ay=−6が通過するので、
問題3 −x+y=1、x+y=3、y=k(x+3)が三角形を作らないようにkの値を定めよ。
【解】−x+y=1、x+y=3の交点は(1,2)。この点をy=k(x+3)が通過するとき三角形にならないケロ。
だから、
これだけではないケロ。
−x+y=1とy=k(x+3)が平行のとき、この2直線は交わらない。ということで、k=−1。
同様に、x+y=3とy=k(x+3)が平行のときにもこの2直線は交わらない。よって、k=1。だから、答えは
第6回 一次関数とそのグラフ [中学数学]
第6回 一次関数とそのグラフ
§一次関数
一次関数とは、2つの変数xとyの関係がで表される関数のこと。
上の式から明らかなように、b=0のときは、y=axとなり、yはxに比例する。
と変形すれば、y−bがxに比例すると考えることもできる。
(x₁,y₁)、(x₂,y₂)という点がy=ax+bを満たすならば、
となるので、③−②は
となり、
になる。
このことは、y=ax+bをグラフに描いた次のものを見ればよくわかると思う。
また、②にこの結果を代入すれば、
これを①式に代入し整理すると、
となる。
そして、これは、2点、(x₁,y₁)、(x₂,y₂)を通る直線の方程式と呼ばれるものだケロ。
④式は高校の数学の範囲になるので、中学数学に戻ることにするにゃ。
問題1 yはxの一次関数で、xの値が1増すごとにyの値は3ずつ増し、x=2のときy=−1である。この一次関数を求めよ。
【解】
この一次関数をy=ax+bとする。
このとき、だから、
また、x=2のときy=−1なので、これをy=ax+bに代入すると、
よって、y=3x−7
§一次関数のグラフ
一次関数y=ax+bのグラフは、直線y=axに平行で、点(0,b)を通る直線。このaを直線の傾き、bをy切片という。
これも中学の範囲を逸脱するけれど、傾きがmで点(x₀,y₀)を通る直線の方程式は
で与えられる。
上の式にx=x₀を代入すれば、y=y₀になるし、y=y₀を代入すれば、x=x₀になることから、これが条件を満たしていることは明らかでしょう。
ちなみに、2直線
があるとき、m=m'ならば、この2直線は互いに平行であり、平行であるならばm=m'でならなければならない。
では、問題。
問題2 次の直線を求めよ。
(1) y=−3x+1に平行で、点(3,2)を通る直線。(2) 2点(1,2)、(3,8)を通る直線。
【解】(1) y=−3x+1と平行な直線なので、傾きは−3。
で、⑤を使うのならば、(x₀,y₀)=(3,2)なので使わないのならば、y=−3x+bとおき、これが(3,2)を通るので、x=3、y=2を代入し
よって、求める直線はy=−3x+11
(2) この直線の方程式をy=ax+bとする。
この直線は2点(1,2)、(3,8)を通るので、x=1、y=2、さらに、x=3、y=8を代入すると、
となる。
代入法を使って上の連立方程式を解いてもいいけれど、②から①を引くとbが消えるので
となる。
①と②のどちらにa=3を代入してもいいけれど、①の方が計算が楽なので①に代入し、
よって、求める直線はy=3x−1となる。
④を使うならば、(x₁,y₁)=(1,2)、(x₂,y₂)=(3,8)として、
と出てくる。
あるいは、傾きaは
とすぐに出るから、y=3x+bとし、これが(1,2)を通過するので、x=1、y=2を代入する。
と計算してもいい。
x=3、y=8のときは
となる。
問題3
(2) 直線y=3x+bが線分ABの中点を通るようにbの値を定めよ。
【解】
(1) 図よりy切片は4。傾きは
よって、y=−2x+4。
(2) 中点の座標は
この点をy=3x+bが通るので、x=1、y=2を代入し、
第5回 比例・反比例 [中学数学]
第5回 比例・反比例
§比例
比例2つの変数、xとyの間に次のような関係があるとする。
このとき、yはxに(正)比例するといい、定数aを比例定数という。
これはy=3xという関係があり、yはxに比例し、比例定数a=−3となる。
になる。
aは、定数だから、当然、変化しない。もし、xとyの値によってaの値が変わるのならば、xとyは比例関係にないことになる。
y=axのグラフから明らかなように、a>0ならば右上がりの原点を通る直線となりa<0ならば右下がりの原点を通る直線となる。
問題1 yはxに比例し、x=3のときy=−6である。x=−4のとき、yの値はいくらか。
【解】y=axとすると、x=3、y=−6なので、
よって、x=−4のとき
たぶん、こう解くのが模範解答なのでしょう(^^ゞ
【別解1】
x=−4のときのyの値をyとする。xとyは比例関係にあるので、
【別解2】
小学校レベルの知識を使うならば、内項の積=外項の積だから、
どう解かなければならないということはないだろう。一番楽なのは別解1だと思うけれど、別解2で解いても構いやしない(笑)。
問題2 直線y=axが点A(1,2)と点B(3,1)を結ぶ線分ABを通るとき、aはどんな範囲の数か。
【解】こういう時こそ、グラフの出番だケロ。
この図からほとんど明らかだけれど、aが最小の時は点B(3,1)を通るときで、aが最大の時はA(1,2)を通るとき。
点Bを通るとき、点Aを通るとき
よって、
§反比例
反比例
2つの変数、xとyに次の関係があるとき、yはxに反比例するという。上の関係からxy=a=一定となるにゃ。
グラフは次のようになる。
a>0のとき、y=a/xの曲線は第1象限、第3象限にあり、a<0のときy=a/xは第2象限、第4象限にある。また、この曲線は原点について対称である。
問題3 反比例をあらわすグラフが点(1.5,8)を通るとき、このグラフ上の点(x,y)で、x、yがともに整数である者はいくつかるか。
【解】反比例なのだから
よって、
x>0で考えると、xとyが整数になるのはxが12の約数のとき。だから、x={1,2,3,4,6,12}の6個。x<0の時も同様に6個あるので、12個。
こんな問題ばかり解いていると⑨になりそうだにゃ(>_<)。
問題 x>0で定義された
という曲線があるとする。この曲線上の点Pに接する接線とy軸との交点をA、x軸との交点をBとする。
このとき、
(1) Pは線分ABの中点であることを示せ。(2) △OABの面積は点Pの位置によらず一定であることを示せ。
【解】とし、点Pのx座標をaとする。
接線の方程式は、
だから、
よって、点Aのy座標は
点Bのx座標は
(1) 線分ABの中点を求めると
で、点Pである。
(2) △OABの面積Sは
よって、Pの位置にかかわらず一定値2kである。
この問題は、ひょっとしたら微分積分の時にやったかもしれないけれど、面白い性質なんじゃ〜あるまいか。
そして、こうしたことを面白い、何故だろうなんだろうと思う感性は大切なんじゃなかろうか。