数列の収束の復習2 [位相入門]
数列の収束の復習2
集合が上に有界なとき、数列は上に有界であるといい、集合が下に有界なとき、数列は下に有界であるという。
定理6 (単調数列の収束)
数列が単調増加かつ上に有界(単調減少かつ下に有界)ならばは収束する。
【証明】
上に有界な単調増加数列の場合について証明する。
上限の定義より、
(1) すべての自然数nについて、
(2) 任意の正数εに対して、
となるが存在する。
したがって、n>mであるすべてのnについて、
よって、上に有界な単調増加数列は収束する。
(証明終)
定理7 (カントールの区間縮小法の原理)
閉区間がを満たすならば、
である。
さらに、ならば、共通部分
とただ1点からなり、である。
【証明】
である。
よって、数列は上に有界な単調増加数列、数列は下に有界な単調減少数列となり、定理6より収束する。
とおくと、より、α≦βである。
また、なので、
である。
したがって、
である。
また、より、α=β。
とすると、すべての自然数nに対して
となるので、c=α。
よって、
(証明終)
φをNからNへの狭義単調増加関数(n₁<n₂ならばφ(n₁)<φ(n₂)とする。数列が与えられたとき、数列を数列の部分列という。
定理8 (部分列の収束)
すなわち、
【証明】
数列の極限値をαとすると、任意の正数εに対して、ある自然数mがあって、
である。
φ(n)≧nなので、
よって、収束する数列の部分列はの極限値に収束する。
(証明終)
定理9 (Boltano-Weiestrassの定理)
有界な数列は、収束する部分列をもつ。
コーシー列
数列が任意の正数εに対して、ある自然数pが存在し、n>p、m>pを満たす任意の自然数m、nに対して
が成り立つとき、はコーシー列であるという。
定理10 (コーシー列の有界性)
コーシー列は有界である。
【証明】
数列はコーシー列であるとする。ε=1とすれば、ある自然数pが存在し、
となる。
m=p+1とすると、
となるから、
そこで、
とおけば、任意の自然数nに対して、
(証明終)
定理11 (コーシーの収束条件)
数列が収束するための必要十分条件は、コーシー列であることである。
関数の極限値と数列の極限
定理12
という極限値が存在することの必要十分条件は、となる任意の数列に対してとなることである。
定理13
関数fが点aで連続であることの必要十分条件は、aに収束する任意の数列に対してとなることである。
【証明】
fは点aに対して連続なので、任意のε>0に対して、あるδ>0が存在して、
をみたす。
また、数列はaに収束するので、δ>0に対して、ある自然数mが存在して、
よって、
である。
次に、逆を示す。
対偶法を用いるために、(1)を否定すると、
となるxが存在する。
ここで、
とし、n=1,2,・・・に応じて
すると、任意のnについて
よって、証明された。
(証明終)
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