ガリレオ変換 [ねこ騙し物理]
ガリレオ変換
図に示すようにO-xy座標系とこれをOO'平行移動させたO-x'y'座標系があるとする。
O-xy座標系における点Pの座標を(x,y)、点O’の座標を(a,b)とすると、O-x'y'座標系における点Pの座標〈x',y'〉は、
になる。
このあたりの話は、ベクトルを使って議論した方がわかりやすいのかもしれない。
x軸(x'軸)に平行でその正の向きで長さ1のベクトルを、y軸(y'軸)に平行でその正の向きで長さ1のベクトルをとすると、
となり、
となる。
一方、
おけば、
となり、ベクトルの相等の定義から(1)式が出てくる。
これならば、怪しげな記号〈x',y'〉なるものを使わなくてすむので(^^ゞ。
さてさて、O'-x'y'座標系がx軸の正の方向に一定速度uで移動するとする。
つまり、O'-x'y'座標系は慣性系ってわけ。
議論を簡単にするために、時刻t=0のとき、OとO'を一致させるケロ。
すると、O'-x'y'座標系における点Pの座標〈x',y'〉は、
となる。
これがガリレオ変換と呼ばれるもの。
(2)式を時間tで微分すると、
さらに、(3)式を時間tで微分すると、
となる。
ここで、
である。
さてさて、ここで、ニュートンの運動方程式が登場する。
点Pで表される質点Pの質量をmとすると、ニュートンの運動方程式は、
になるにゃ。ここで、f₁とf₂は質点Pにはたらく外力のx(x’)成分、y(y')成分だにゃ。
この運動方程式は、静止しているO-xy座標系の運動方程式。
そこで、(4)式をもちいて、O'-x'y'における運動方程式に書き換えると、
となり、O-xy座標系で運動方程式を立てようが、O'-x'y'座標系で運動方程式を同一の形になる。
つまり、ニュートンの運動方程式はガリレオ変換によって不変というわけだわさ。
と同時に、同じ形になるので、静止している座標系O-xyで運動方程式を立てようが、等速直線運動をしている慣性系O'-x'y'座標系で運動方程式を立てようが、構わない。
もっと突っ込んで言うと、ニュートンの運動方程式は同じ形になるので、ニュートンの運動方程式からは、ドッチが一定速度で動いていて、ドッチが静止しているかわからないんだケロ。
次に、座標系O'-x'y'が一定速度でなく、一定の加速度αで運動している場合について考えるにゃ。
このとき、(2)式は次のようになる。
これを2回時間tで微分すると、
となる。
O-xy座標系で運動方程式を立てると、
だから、(6)式の結果を用いて、O'-x'y'座標系のそれに書き換えると、
となり、今度は運動方程式の形が変わってしまう。
x軸の正の方向に加速度αで座標系が動いていると、外力の他に加速度とは別に、反対向きの方向に−mαという力が質点に働いているように見えるんだケロ。
急ブレーキをかけると、乗っている人の体は前につんのめるだろう。エレベーターが下に降りる瞬間、フワッと体が軽くなったように感じるだろう。
これは、慣性系ではない、加速度一定で運動する座標系で運動方程式を立てることによって生じる、加速度と反対方向に働く見かけ上の力だにゃ。
だから、加速度αで加速度運動をする座標系をあたかも静止している座標系のごとく考えて運動方程式を立てるときには、外力の他に加速度の方向とは逆の力−mαを加えないといけないんだケロ。
さて、ここで問題です。
生まれてからこの方ずっと一定の加速度が常にかかっている環境で生まれ育ったヒトは、生まれ育ったところが一定の加速度をもって運動していることがわかるでしょうか。
このことを確かめる方法はあるんでしょうか。
人類は長い間、太陽や星々は地球のまわりを回っていると信じて疑わなかった。そして、ネムネコは、未だに地動説ではなく天動説の世界で生きている(笑)。
より一般的に
この話は、すべてベクトルで議論したほうが簡潔にいくように思う。
空間上に直交座標系O-xyzを設け、これをOO’平行移動させた直交座標系をO'-x'y'z'とする。
空間上の点Pを考えると、
となる。
は座標系O-xyzにおける点Pの位置ベクトル、は座標系O'-x'y'z'における点Pの位置ベクトルになることに注意。
ここで、簡略化のために
とおく。
座標系O'-x'y'z'が時間によらず大きさと方向が一定の速度(ベクトル)uで移動するとき、
になる。
これを時間tで微分すると、uは定ベクトルなので、
となる。
すこし丁寧に書くと、
これをもう一度、時間tで微分すると、
これを運動方程式
に代入すると、
となる。
つまり、静止した座標系O-xyzと、等速直線運動をする座標系O'-x'y'z'で記述したニュートンの運動方程式は同一の形になる。
対して、座標系O'-x'y'z'が大きさと方向が一定の加速度ベクトルαで移動するとき、
になる。
これを時間tで2回微分すると、
これを運動方程式
に代入すると、
これを成分で書くと、次のようになる。
ここで、F₁、F₂、F₃は、それぞれ、外力Fのx(x')成分、y(y')成分、z(z')成分であり、また、α₁、α₂、α₃は、それぞれ、加速度ベクトルαのx(x')成分、y(y')成分、z(z')成分である。
座標系によらないベクトルの強みが現れているんじゃないだろうか。
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