点と直線、点と平面の距離の公式とラグランジュの未定乗数法 [多変数関数の微分]
点と直線、点と平面の距離の公式とラグランジュの未定乗数法
点と直線の距離の公式
(a,b)≠(0,0)とする。xy平面において点A(x₀,y₀)から直線l:ax+by+c=0におろした垂線の足をHとする。このとき、線分AHの距離dを点Aと直線lの距離といい、
である。
直線l上の点P(x,y)とすると、点Aと点Pとの距離APは
である。
したがって、点Pが直線l:ax+by+c=0上にあるという条件のもとでの
の最小値問題に帰着することができ、その最小値がd²になる。
点Aから直線l:ax+by+c=0におろした垂線と距離は一意的に定まるので、条件付きの最小値(極小値)はただ1つだけ存在する。
そこで、ラグランジュの未定乗数法を用いて、条件付きの極値問題を解くことにする。
とおくと、ラグランジュの未定乗数法より極値をとるx、yは
の解になる。
②と③式より
これを①に代入すると、
よって、
が極小値(最小値)。
したがって、
このようにラグランジュの未定乗数法を用いて点と直線の距離の公式を導くことができる。
なお、(1)は、ラグランジュの未定定数を用いることなく、次のように導くこともできる。
AHとベクトル(a,b)は平行なので、垂線の足Hの座標を(x,y)とすると、
ここで、tは媒介変数(パラメータ)。
(ta+x₀,tb+y₀)は直線l:ax+by+c=0上にあるので、
よって、
点と平面の距離の公式
(a,b,c)≠(0,0,0)とする。xyz空間上の点A(x₀,y₀,z₀)から平面ax+by+cz+d=0におろした垂線の足をHとする。このとき、線分AHの長さを点Aと平面ax+by+cz+d=0の距離といい、
である。
問 (a,b,c)≠(0,0,0)とする。ラグランジュの未定乗数法を用いて、ax+by+cz+d=0という条件で、
の最小値を求めることによって、(2)を導き出せ。
【略解】
とおくと、極値をとる点(x,y,z)では次のことが成り立つ。
②、③、④より
これを①に代入すると、
の時に極小(最小)になるので、
そして、これはAHの距離の平方である。
よって、点A(x₀,y₀,z₀)と平面ax+by+cz+d=0の距離は、
である。
(略解終)
ベクトルを使うならば、例えば、次のように(2)を導くことができるだろう。
(a,b,c)は平面の方程式ax+by+cz+d=0の法線ベクトル。
したがって、A(x₀,y₀,z₀)から平面ax+by+cz+d=0におろした垂線の足をH(x,y,z)とすると、と(a,b,c)は平行。
よって、
(ta+x₀,tb+y₀,tc+z₀)はax+by+cz+d=0上に存在するので、
したがって、
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