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ド・ブロイの物質波 [ねこ騙し物理]

ド・ブロイの物質波

 

§1 少しだけ相対論的力学

 

ド・ブロイの物質波の話をするには、相対論的な力学についての知識を有していたほうがよいであろうということで、少しだけ相対論的な力学の数式を紹介。

 

速さvで移動する物体の質量mは、

  

になる。

ここで、m₀は物体が静止している、つまり、v=0のときの質量で、cは光の速さである。

 

運動量p

  

 

エネルギーE

  

 

問題 次のことを示せ。

【解】

(1) (3)式より、

  

したがって、

  

 

(2) (1)式より

  

だから、

  

(解答終)

 

光(量)子は質量は0と考えられている。光子に静止質量m₀を考えるなど無意味とも言えるが、m₀=0とすると、問題の(2)より

  

pは運動量ベクトルpの大きさ、つまり、

  

だから、

  

になる。

だから、光量子は質量を有さないけれど運動量をもっていることになる。

アインシュタインの光量子仮説から、振動数νの光量子は

  

というエネルギーを持っているので、

  

という運動量(の大きさ)を持っていることになる。

ここで、λは光の波長で、

  

という関係がある。

 

上の(5)式を導くためだけに相対論的力学を引っ張りだしたにゃ。

 

 

§2 ド・ブロイの物質波

 

これまで波だと信じられていた光が粒子ならば、これまで粒子と信じられていたものが波であったっていいじゃないか。

このように考えたド・ブロイは、(5)式に基づき、運動量pをもった粒子は

  

という波長をもった波(のようなもの)であるという物質波という考えを提唱した。この式をド・ブロイの関係式といい、この波長をド・ブロイ波長という。

そして、この物質波によって、ボーア・ゾンマーフェルトの量子条件に物理的な意味を与えることが可能になるbusshituha.png

水素原子核(陽子)を中心に半径aの円運動を電子がしているとき、ボーアの量子条件は、

  

であるが、これをド・ブロイの関係式(6)を用いると、

  

と書き換えることができる。

この式は、右の図のように、波長λの正の整数倍が円周2πaに等しい電子の物質波のみが許されるということを意味している。というわけで、この波は円周上の定常波ということになる。

 

ウィキペディアの「閉曲面上の定常波」にアニメーションが出ているので、このアニメーションを見てみるといいと思うにゃ。

 https://goo.gl/fwAz1H

 

ド・ブロイの物質波というアイデアによって、ボーア・ゾンマーフェルトの量子条件に物理的意味を与えることができた。

そして、これがシュレディンガーの波動方程式へと発展してゆくのであった。

 

 


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