微分方程式よもやま話13 危ない話 [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話13 危ない話
次の微分方程式があるとする。
の形の解を求めると、
であるから、これを(1)に代入すると、
となるので、は(1)の解になる。
このロンスキー行列式の値を求めると、
したがって、は1次独立で、(1)の基本解になる。
よって、微分方程式(1)の一般解は
になる。
同様に、
α、βが相異なる実数のとき、
がこの微分方程式の基本解であり、その1次結合
が(2)の一般化であることを示すことができる。
ところで、も微分方程式の解であり、この1次結合
が0になる、つまり、
になるのは、のときだけなので、も(1)の基本解である。
また、
も(1)の解であり、の組み合わせも基本解になる。
つまり、基本解(の組み合わせ)は一通りではなく、無数に存在する。
同様に、
の組み合わせも、微分方程式(2)の基本解になる。
そこで、基本解の1つ
の、β→αの極限をとると、
となる。
だ・か・ら、
は、微分方程式(2)のβをαに限りなく近づけた、つまり、βをαにした微分方程式
の基本解になるんじゃ〜ないか。
そして、は、(3)の基本解(のセット)になり、(3)の一般解は
になるのではないかという危ない話で、もっともらしい、あと付けの理由をつけることもできたりするのであった。
オマケ
微分方程式(4)
は、
と変形することができるので、
とおくと、
になる。
したがって、
(4)式に代入すると、
両辺にをかけると、
β−α≠0、つまり、α≠βのとき、
ここで、
とおけば、
α=βのとき
だから、
ここで、
とおけば、
よって、微分方程式(4)の一般解は次のようになる。
ここで、C₁、C₂は任意定数。
このように解けば、何故、特性方程式が重根のとき、つまり、α=βのとき、特別扱いをしないといけないのか、その理由がよくわかるのではないか。
ddt^3です。
関数空間の発想で行けば、α、βが相異なる実数のとき、
y"-(α+β)y'+αβy=0
の解空間は、基底{exp(αx),exp(βx)}で張られるという事なので、適当な基底変換により基底{exp(αx),(exp(βx)-exp(αx))/(β-α)}に移るというのは、全然危ない話じゃないと思います。
よってβ→αの時、(exp(βx)-exp(αx))/(β-α)→xexp(αx)なので、{exp(αx),xexp(αx)}をβ=αの時の基底に選べるというのも。
この方法は重根を持つ特性多項式に対して、けっこう一般化できると思います(^^)。
by ddtddtddt (2018-06-18 17:49)
コメント、ありがとうございます。
この話は「関数空間や線形代数などをベースにすれば」ですよね。
微分方程式の解法を習うのは、理工系の場合、大学2〜3年ですから、そんな難しい、高等な話はわかりませんって。
素朴な微分積分から迫ったほうがわかりやすいに違いありません。
特に、高校数学のカリキュラムから行列が消え去って線形代数の馴染みが薄れていますし(^^ゞ
by nemurineko (2018-06-18 19:10)