円周率の計算 その2 [数値解析]
円周率の計算 その2
§1 計算法の改良
前回、円周率πの近似計算に使用したライプニッツの級数(グレゴリーの公式)
は収束が非常に緩慢であった。
そこで、収束を速くする方法について考えることにする。
計算に使用する基礎式は、前回、同様に
いま、仮にとすると、
したがって、
そして、上の式と(2)式から次式を得ることができる((3)式はEulerが発見したもの)。
このようにして新たに得られた級数(4)を用いて円周率πを計算してみる。
と分解し、計算してある。
計算結果を見ればわかる通り、ライプニッツ級数とは異なり、わずか3、4回の計算でπ≒3.14が得られ、しかも、収束の速度が速い。
§2 マチンの公式
のとき、三角関数の倍角公式より
と、tan 4aは1(=tan π/4)に近い値になり、その差は1/119である。
そこで、4aとπ/4の差を求めると、
となる。
したがって、
となる。
このようにして得られた
をマチンの公式と呼び、円周率の(近似)値を求める際によく使用される。
(2)にx=1/5、1/239を代入すると、
これを(5)に代入すると、
が得られる。
この右辺の無限級数の部分和を計算することで、円周率πの近似値を求めることができる。
すなわち、
を用いて、円周率πの近似値を求めることができる。
(7)の右辺の級数の収束は速く、
と、πのよい近似値を与えることができる。
表計算ソフトを使い、(7)式で求めたπの計算結果を下に示す。
(6)の右辺の無限級数の部分和、すなわち、(7)をn=10項まで計算すれば、コンピュータで用いられるπの近似値に到達することがわかる。
なお、表中のA、B、Cは次の通り。
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