微分方程式よもやま話6 微分方程式を作る [微分方程式の解法]
微分方程式よもやま話6 微分方程式を作る
§1 微分方程式を作る
「定数aを消去し、微分方程式を作れ」といったような問題や例題が微分方程式の教科書の冒頭によく出ている。
そして、次のような説明がなされるのが通例である。
x²+y²=a²をxで微分すれば、
(1)は定数aを含まないから、どんな定数aについても成り立つ。すなわち、原点を中心とする同心円すべてに共通する性質である。
(1)を
と書きなおせばわかるように、(1)はx²+y²=a²上の点P(x,y)における接線と、Pを通るOの半径OPが直交していることを表す。
この解答にならうと、y=Cx(Cは任意定数)からは次の微分方程式をつくることが可能である。
y=Cxをxで微分すれば、
Cを消去すると、
ねこ騙し数学において、現在、最もホットな微分方程式(2)を得ることができた。
(2)はy=Cxから作られた微分方程式なのだから、計算をするまでもなく、y=Cxは(2)を満たす。したがって、y=Cxが微分方程式(2)の解であることは明らかであろう(^^)
さてさて、数学のテストで高得点をとる、数学が得意な高校生向けの受験参考書の中には、次のテクニックが記されているものがある。
たとえば、方程式の解の個数を求めよといった問題などに使われる、「定数は分離」と同一の受験数学のテクニックがここにも適用される。
【受験数学のテクニック】
y=Cxを次のように変形する。
この両辺をxで微分すると、
この高等テクニック(?)にならうと、y²=4axという放物線の方程式から次のように微分方程式を作ることができる。
y²=4axを次のように変形する。
この両辺をxで微分すると、
さすが、数学を得意とする高校生向けの受験参考書である。微分方程式の作り方まで難しい(^^ゞ
問1 関係式xy=C(Cは定数)からCを消去することによって、微分方程式を作れ。
【解】
xy=Cの両辺をxで微分すると、
問2 微分方程式(4)から、放物線(群)y²=4axのもつ共通の性質を導け。
【解】
放物線y²=4ax上の点P(x,y)からx軸に垂線をおろし、その交点をHとする。また、P(x,y)における放物線の接線とx軸の交点をQとすると、
QH = 2OH
よって、原点OはQHの中点である。
(解答終)
§2 微分方程式にすると、妙なものが混入することがある
問題 x軸に中心を持つ半径1の円(群)の方程式
から(任意)定数aを消去することによって、微分方程式を作れ。
【解】
の両辺をxで微分すると、
①と②からaを消去すると、
(解答終)
微分方程式(6)は、円の方程式①から作られた微分方程式だから、①は(6)の解であり、しかも、任意定数aを1つ含む解だから微分方程式④の一般解である。
しかし、(6)の中には、この一般解の他に、定数関数y=1、y=−1という一般解(6)では表わせない特異解が存在する。図から明らかなように、定数関数y=±1はx軸に中心を持つ半径1の円(群)のすべての接線、すなわち、この円群の包絡線である。
このように、微分方程式にすると、元の方程式とは無縁に思える妙なものが紛れ込むことがある、
【余談】
仮に大学入試で、
「aを任意の実数とする。(x−a)²+y²=1で与えられる円のすべてに接する(共通)接線の方程式を求めよ」
という問題が出題されたら、受験生はこの問題をどうやって解くのだろうか。
受験生には判別式マニアが多いから、次のように解くのであろうか。
【謎の答案】
これをaの2次方程式と見て
よって、y=±1である。
【謎の答案終】
(余談終)
問1 次の微分方程式を解け。
【略解】
(略解終)
問2 関係式y=(x−C)³から任意定数Cを消去することによって、微分方程式を作れ。
【答】
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