微分方程式のよもやま話1 微分方程式の一般解、特殊解、特異解 [微分方程式の解法]
微分方程式のよもやま話1 一般解と特殊解、そして、特異解
微分方程式の一般解、特殊解、特異解についての定義を次のように与えることにする。
n階微分方程式の解の中でn個の任意定数をもつものを一般解といい、一般解の任意定数に特別な値を与えたものを特殊解という。特殊解でない解を特異解という。
例1 は、任意定数をC₁、C₂と2つ持つので、2階微分方程式の一般解であり、C₁=1、C₂=1を与えたは特殊解(特別解)である。
例2 は1階微分方程式の一般解であり、は特異解である。
では、次の問題を解いてみることにする。
問題1 次の微分方程式がある。
次の問に答えよ。
(1) 微分方程式の一般解を求めよ。
(2) (x,y)=(1,2)を満たす微分方程式の解を求めよ。
【解答(?)】
(1)
(2) 問題の条件より、x=1、y=2だから、
よって、
【解答(?)終】
y=1/x+Cは1階微分方程式を満たし、しかも、任意定数が1つだから、これが一般解であることは明らかだろう。
(2)で求めたx=1のときy=2という条件を満たしている。したがって、この答は正しそうに見える。
しかし、
も、この条件を満たす解である。
さらに、いえば、
も、x=1、y=2の条件を満たす1階微分方程式の解である。
つまり、(2)の条件からは、問題の微分方程式の解は1つに定まらないのだ!!
――(1)で求めた一般解(?)①のうちでx=1、y=2になるものはy=1/x+1と1つに定まる。しかし、底意地の悪いネムネコは、問題1の(2)で「(1)で求めた一般解の中で、(x,y)=(1,2)を満たすものを求めよ」とは問うていない!!――
さらに都合が悪いことに、③は任意定数を1つだけ持っている。上で与えた一般解の定義に従うとすれば、これも一般解になりうるはずである。
であるとすれば、(1)も正しくないということになるのではないか。
さてさて、
とすると、これは問題の1階微分方程式の解である。
これは任意定数を2つ持っているので、問題1の微分方程式の一般解ではない。そして、一般解①にある特別な値を与えた特殊解(特別解)でもない。したがって、これは問題の微分方程式の特異解ということになってしまう。
C₁=C₂=Cとすれば、一般解①になるというのに、何とも悩ましい話である。
混迷はますます深まるばかりだ。
問題2 次の微分方程式の一般解を求めよ。
【答(?)】
問題2の微分方程式でも、問題1の微分方程式と同じような問題点が発生する。
⑥は、任意定数を1つもつ1階微分方程式の解だから、これも一般解と呼ぶべきものなのかもしれない。
そして、
は特異解に分類されるに違いない(^^ゞ
微分方程式の一般解という概念、そして、それに基づく、特殊解、特異解という分類法が、実は結構胡散臭いものであることがわかってもらえたのではないか。
問題1、問題2で、こういった異常事態が発生したのは、x=0で微分(方程式)が定義されていない、dy/dxがx=0でつながっていないためと考えることもできるだろう。
確かに、そうかもしれない。
しかし、この話はそんなに単純なものなのだろうか。
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