高校の写像のおさらい [集合論入門]
高校の写像のおさらい
§1 復習
1 写像と関数
集合Xの各要素に集合Yの要素ただ1つ対応しているとき、この対応fをXからYへの写像といい、記号
で表す。
a∈Xに対応するb∈Yとするとき、bをfによるaの像といいなどであらわす。すなわち
また、このとき、aをfによるbの原像という。
特に、XとYが数の集合の場合、写像fを関数という。
2 合成写像
であるとき、XからZへの写像が考えられる。これをfとgとのXからZへの合成写像という。
x∈X、z∈Zとすると、
3 上への写像と1対1の写像
写像で、fの値域とYが一致するとき、fをXからYの上への写像という。
のとき、fはXからYへの1対1の写像という。
4 逆写像
写像が、XからYの上への1対1の写像、すなわち、fがXからYの上への写像、かつ、XからYへの1対1の写像である場合、逆にYからXへの写像gが考えられ、gをfの逆写像といい、記号で表す。
§2 問題
問題1 とし、とする。
(1) XからYへの写像の数はいくつか。
(2) XからYへの1対1の写像の数はいくつか。
(3) XからYの上への1対1の写像の数はいくつか。
【解】
(1) のそれぞれにn通りの対応があるので、写像の数は
(2) これはn個のからm個取り出し、それを並べる場合の数と等しい。
したがって、m≦nのとき
m>nのときは0。
(3) このとき、集合XとYの要素の数は等しい。つまり、m=n。
したがって、
(解答終)
問題2 2つの関数に対して、次の合成関数を求めよ。
【解】
(解答終)
問題3 次の問に答えよ。
(1) のとき、となる関数g(x)を求めよ。
(2) においてfとf⁻¹が一致するようにa、bの値を求めよ。
【解】
(1)
(2) このとき、が成立するので、
fとf⁻¹が一致するので、
任意のxについて成立するので、
したがって、
a=1のときb=0
a=−1のときbは任意の実数
よって、
(解答終)
問題4 とする。
(1) 合成写像を求めよ。
(2) を求めよ。
(3) の逆写像を求めよ。
【解】
(3) だから、g(x)はg(x)の逆写像g⁻¹(x)。
したがって、
(解答終)
(3)の別解として、
【別解1】
【別解2】
y=g(x)とすると、
xについて解くと、
したがって、
だから、
(別解)
読むと、即死の内容。だから、絶対に読むな!!
死にたい奴は読んでも良い。
に写像を対応させると、行列Aがfに、行列Bがgに対応するとき、ABはfとgの合成写像に対応する。
【証明】
とすると、ABは
である。
一方、
よって、ABはfとgの合成写像に対応する。
(証明終)
このことを用いると、問題3は次のように解くことができる。
【解答】
とを対応させる。
(解答終)
なお、上の解答に出てくる記号「〜」は「対応する」くらいの意味。
このことを知っていれば、次の問題は簡単に解くことができる。
問題5 関数の逆関数がであるとき、a、b、cを求めよ。
【解】
とおくと、
したがって、a=2、b=3、c=4。
(解答終)
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