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ワンポイントゼミ 行列の固有値と固有ベクトル [線形代数の基礎]

ワンポイントゼミ 行列の固有値と固有ベクトル

 

Aを(2次の)正方行列とする。

  

を満たすkを行列A固有値kに対する固有ベクトルという。

と変形できるから、が存在するための必要十分な条件は

  

である(註1)。

とすると、

  kono-001.png

だから、

  

これを行列Aの固有方程式という(註2)。

 

(註1)

行列式|A−kE|≠0のとき、A−kEは逆行列を持つ。

  kono-002.png

となり、に反する。

 

(註2)

ケイリー・ハミルトンの公式

  

と、(2)は同じ形をしている事に注意。

 

 

問 次の行列の固有値と、固有値に対する固有ベクトルを求めよ。

kono-003.png

【解】

とし、kAの固有値、kに対する固有ベクトルをとする。

 

(1)

  kono-005.png

(x,y)(0,0)以外の解を持つためには、

  

①は

  kono-006.png

k=1のとき、

②、③式より0x=0y=0

したがって、固有ベクトルは

k=2のとき、

②、③式より、−x=00y=0

したがって、固有ベクトルは

 

(2)

  kono-007.png

(x,y)(0,0)以外の解を持つためには、

  kono-008.png

k=2のとき、

  kono-009.png

k=7のとき

  kono-010.png

したがって、固有ベクトルは

  

 

(3)

  kono-011.png

①が(x,y)=(0,0)以外の解を持つためには

  kono-012.png

k=1のとき、①は

  kono-013.png

したがって、固有ベクトルは

  

(解答終)

 

定理

(2次の)正方行列Aの固有値が相異なる実数のとき、それに対する固有ベクトルは1次独立である。

【証明】

Aの相異なる2実根をλ₁λ₂とし、λ₁λ₂に対する固有ベクトルをそれぞれとすると、

  

そこで、の一次結合を

  

とすると、

  

を消去するために、①×λ₂−②を計算すると、

  

だから、

  

a=0だから、①は

  

だからb=0

したがって、は1次独立である。

(証明終)

 

上の定理より、問の(1)、(2)で求めた固有ベクトルは互いに1次独立であることがわかる。

h=1l=1とすると、(1)の固有ベクトルkono-14.pngはが1次独立であることは明らか。

また(2)の固有ベクトルkono-019.pngの1次結合を作り、それをと置くと、

  kono-015.png

になる。

とおくと、|A=11−2(−1)=3≠0だから、Aは逆行列を持ち、

  

となり、 1次独立である。

 

今すごく大切なことをさり気なく書いていたけれど、列ベクトルkono-016.pngが1次独立か否かの判定は、kono-016.pngから作った行列

  kono-017.png

の行列式

  kono-018.png

の値から、|A|≠0ならば1次独立、|A=0ならば1次従属と判定できる!!

 

 


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